令和 8年 1月
FISH FOOD TIMES 終刊のお知らせ
引導を渡される
読者の皆さんの中には、この告知に少し驚かれた方もいらっしゃるかもしれない。新年早々こういう知らせをするというのもどうなのかと思うところもあるが、先月2025年12月でWeb版FISH FOOD TIMES はちょうど22年間の264号となり、20年以上続けてきた月刊誌風のサイトを締め括ることにした。このタイミングが切りの良い潮時だと判断したのである。
この場に及んで言い訳をするつもりはないのだが、コンテンツを作成してきた筆者が病気にかかり身体的な理由で継続出来なくなったということではない。このことは明確に申し添えておきたいのだが、一般的に齢も七十台ともなると、ほとんどの人が避けられなくなる健康維持のための服用薬などは、筆者にとって今のところ無縁な存在であり、体組成計によると体年齢はまだ60代前半が表示されている。
昨年9月の健康診断で筆者はあることを指摘された。それは肝臓の機能が健康かどうかの度合いを示す指数の一つである γ-GTPが基準値を大幅に超える200に達していたのである。その原因は筆者がアルコール度数の高いウイスキーを、毎晩あれやこれやと銘柄を変え、楽しみながらガンガン飲んでいたからだとハッキリしていた。この数字を改善するには「断酒するのが一番効果的」という情報を得て、長く習慣化していた年に365日毎晩欠かさなかった晩酌を昨年9月から絶って、γ-GTPの指数100以下を目指すことにした。しかしお付き合いのお酒は基本的に100%お断りしないことにしているし、一日の中で何かしら嬉しいことや目出度いことがあると必ず祝杯をあげるので、まだ目標値には到達していない。だが休肝日は週の半分以上はあることから、月日を重ねるごとに指数は200を下回った下位レベルへと低下していて、次の血液検査がある1月を楽しみにしている。11月時点で肝臓の健康度合いを示す別の指数の一つである、ASTは27、そしてALTは29であり、それらは何とか基準値以内におさまっているので、この指数を含めた総合的な肝臓の健康度合いというのは、それほど心配することもない状態だとみている。
筆者の健康面はこのような状態なので、先月12月初め頃までは2026年も引き続き、色々な面でまだまだやる気満々だった。ところが、筆者が水産コンサルタントを開始した約35年前の頃から、長くお付き合いしてきていただいた会社から、12月初めに「引導を渡された」のである。
その会社は35年間もの長い間にわたり、筆者の仕事だけでなく、人生も支えてくれた福の神的存在であり、このような時が来ても、その会社にたいしてこれまでお付き合いしていただいたことに感謝こそすれ、何ら恨みがましい思いを抱くことなど一切無い。
この会社のお引き立てとご支援のお陰があって、筆者はここまで水産コンサルタントの仕事を続けることができたし、また生きる糧を得て家族を養うことができた。だから、ここに至っても感謝の気持ちはいっさい変わることはないのである。
今のところ水産コンサルタントとしての筆者の仕事は、細々とだが指導開始以来14年目と13年目になる会社が2社あり、これらの会社からも引導を渡されるようなことがない限り、筆者の思いとしては今年もこれまで通りに仕事を継続していくつもりでいる。
ただこの2社についても長いお付き合いなので、いつどんなことを言われても仕方ないとの覚悟は出来ている。だが筆者の場合は、ある会社で水産部門の指導を始めると、だいたい長いお付き合いになることが多いのだ。この他に、これまでお付き合いが一番長かった会社は24年、次が20年、17年、14年、13年などがあったし、それ以外にも10年以上関係したところが何社もあったのだ。そういうことだから、現在の指導先もこれからまだまだ付き合ってくれるだろうと勝手に期待しているところである。
そして、Web版FISH FOOD TIMESについても、やはり22年という長い期間を継続してきた。それ以前は紙に印刷したFISH FOOD TIMESを平成3年1月から平成7年11月まで5年間発行していたので、合計すると筆者は合計29年にわたりFISH FOOD TIMESという名称の媒体を活用して、水産小売の情報を世の中に発信し続けたことになる。
自分で言うのも何だが、筆者は一度取り組んだことは長くコツコツと継続する傾向があり、なかなか簡単には諦めない気質を持っている。まあ水産小売の業界に関わって50年を超え、76歳の今も現役を続けているのもその一つだろうし、これはチョット違うかもしれないが愛妻とは結婚して48年になり、やがて金婚式を迎える。また、愛車は前世紀の20世紀に製造された1998年式のハイラックスエクストラキャブであり、今も下駄のように乗り続けていて、もうすぐ30年目になる。(ちなみに、走行距離は先月12月にまだ10万㎞に達したばかりだ) この他にも長く続けていることは幾つもあるのだが、ここでそのようなことは記事内容とはあまり関係ないので、これ以上記すのはやめておこう。
つまり何を言いたいかと言えば、FISH FOOD TIMES Web版 はまだこの先長く続けていく気持ちはあったということである。しかし先月の12月で終了することにした決断のきっかけは、引導を渡されたことには違いないけれど、そのような外的要因だけでなく、内的心理としては「やっと解放される、ホッとした」という気持ちがあるのも事実なのだ。
実際のところ、毎月 FISH FOOD TIMES の記事を書くために、対象となる魚を探し求め、テーマを決めて記事にすることが、回数を重ねるごとにどんどん難しくなり、色々と頭を悩ませることが多くなってきていたのだ。本音を打ち明けると「この先、いつまで続けられるだろうか・・・」との思いが次第に強くなってきていたので、今回の「引導」の件は、見方を変えれば助け船のようなものだとも言えるのである。
今回こうやって、やめると決めて直ぐにサッとやめられるのも幸いなことだと思う。なぜなら月刊誌風Web版 FISH FOOD TIMES は会員制ではないので、読者から事前に頂いた預かり金などは存在せず、バナー広告も貼り付けていないから広告主にお伺いを立てる必要もないのだ。すべて有限会社全日本調理指導研究所の費用100%賄ってきたので、やめる決断をするのにどこの誰にもお断りを入れることなく、即実行できるのである。
2年前の20周年を機に、既刊号の閲覧を有料制にすることを検討し計画を進めてみた(GoogleのAIは、その計画した言質を捉えて、既に既刊号は有料制になっていると表示をしているが、これが現時点のAIが持つ力の限界なのだろう)が、結局そのことに踏み切れず今日に至った経緯がある。今にして思えば、有料制など変に欲張ったことを実行しなくて良かったと、今では心から安堵しているところである。
今時はネットで何らかの情報を得ようとしてググったりすると、煩わしく目障りで目にしたくもないような広告がたくさん溢れかえっていて、筆者はそのようなネット画面にはとてもついていけないものがある。そういう状況が普通にはびこっている世の中にあって、筆者が構築し運営してきたFISH FOOD TIMESのスタイルはどうだろう、今のご時世にあっては希少なスタイルの一つではないかと思っている。
FISH FOOD TIMESにおいても、その気になれば広告の一つや二つはいつでも導入することが出来たのは間違いないが、これまで煩わしい広告でコンテンツを汚されていないできた。そしてFISH FOOD TIMES はこのたび終刊にすると決定したので、今このタイミングだからこそ言える、チョットだけ偉そうなことを以下に記すことを許してもらいたい。
実は、筆者はこのサイトを「一隅を照らす」一つにしたいとの思いがあったのだ。思うに、日本における魚食文化というのは「日本の食文化の根幹」を成すものであり、この魚食文化を日本で衰退させないために自分は何が出来るかを考えた時、FISH FOOD TIMESという媒体を通して、微力ながらも一隅を照らすことが出来れば良いのだがという思いがあったのである。このため、有料会員制やバナー広告という形でお金をもらう形でサイトを運営するのではなく、自分の経験と知識を活かし、見返りを期待しない形で何かしら世の中に貢献したいと思っていた。
もちろん、最初のサイトスタート時はそんな高尚なことよりも、水産コンサルタントとして世の中に名前を売り込む手段とするのが最大の目的であり、上記したような思いは二の次三の次のレベルに位置づけられていたということも正直に伝えておきたい。しかし5年10年と続けていく内に、コンテンツを更に充実させていきたいとの思いも少しずつ強くなっていき、毎月1日のサイト更新は誰からもお金をもらっているわけでもないのに、逃げることの出来ない義務的なものになり、月末の1週間近くの動きは筆者のライフワークのようなものになっていったのである。
ところが、FISH FOOD TIMESサイトのコンテンツ量がどんどん増え充実していくと、この内容であればお金をもらえるのではないかという「スケベ心」も湧いてきていたのだ。ある一時期はそのための具体化まで検討したことがあった(繰り返すが、Google AIはその時の記事文面から既刊号を有料だと表示するけれど間違い)が、どうしてもその方向へはあと一歩を踏み切れなかったのである。
こうして、22年間264回の記事を書き続けて今に至ったのである。265号への更新はなくなったけれど、これから当面の間は既刊号の264回分はそのままアーカイブスとして残しておくことにしているので、読者の皆さん方はこれまで通り無料で自由に閲覧してほしい。
終わりを迎えるここにきて一番気になることは、熱心な愛読者の皆さんの存在である。毎月1日の更新日もしくはその後1週間以内には、毎月必ずのようにFISH FOOD TIMESサイトにアクセスしてくれていたコアな読者の方々がそれなりの数で存在していることは、アナリティクスGA4の分析情報で確認できていた。そのような、言わばファンとも称すべき愛読者の人数が何人ほどなのかを正確に把握できるものではないけれど、最近の1ヶ月当たりイベント数の平均が5,000前後、エンゲージメント率は30%ほどで表示回数1,500前後、セッション数1,300前後、ダイレクトセッション数が250以上はある、という直近の平均的な数字から人数を推測すると、たぶん熱心な読者の人数は最低でも150人以上、多くて300人には届かない程度というところではないかとみている。
そういうコアな愛読者の皆さん方には、月に一度の楽しみを奪うことになってしまい、本当に申し訳ないけれど、何とぞお許しを願いたい。コアな愛読者の方々がどんな人たちかを想像してみると、たぶん中には過去に筆者と接する機会があって、このFISH FOOD TIMESサイトを筆者が運営し更新し続けていることを承知の上で、毎月の月初めには欠かさず閲覧するようにされていた方が何人もいらっしゃるはずである。過去に、自分がそのような愛読者であることを面と向かって筆者に親しげに伝えてくれる人たちは何人もいて、筆者はそういうことを告げてくれる親しい関係の人たちの顔と名前が一致して思い浮かべられるので、やはりその点では筆者としても今回の決断は、少し心苦しくて辛いものもある。
今後、このホームページをどのような形にしていくか、まだ何も決めていない。2月には何らかの違うフォーマットへと作り変えなければならないとは思っているが、少しゆっくりと考えをまとめていきたい。これまでのような毎月更新するスタイルは中止するけれど、このサイトを保持する限りはそれなりの形で多少とも情報発信はしていくつもりでいる。
上記したように264回の既刊号は、アーカイブスとしてアクセスできるように当面はしておきたいと考えているので、もし何かの機会があればたまにはこのサイトを覗いてほしいものである。