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二階俊博 われ「媚中派」と呼ばれようとも

日本ほど戦争の嫌いな国はない

―― 二階議員は5月に国会議員や経済人ら3千人を率いて中国を訪問されました。中国で特に印象に残っていることは何ですか。

二階 私は中国で習近平国家主席の母校である清華大学と、私が前々から客員教授を務めている大連の東北財経大学で、それぞれ1時間ずつ講演させていただきました。私がそこで「日本ほど戦争の嫌いな国はない。日本人は皆戦争なんか二度とあってはならないと考えている」という話をしたところ、聴衆の方々はびっくりしたような顔をしておりました。そこでこれは繰り返し言っておかねばと思い、「日本ほど戦争の嫌いな国はないんだ」と重ねて強調しました。

 このことは国を挙げて、諸外国の皆さんに何度でもアピールする必要があると思います。日本がそれほど戦争好きな国であり、油断すればいつやられるかわからんというふうに思われているとすれば、それを払拭するための努力は大いにやるべきです。戦争は嫌いだというのは堂々たる主張だし、事実その通りなんです。

 私は昭和14年に和歌山県御坊市で生まれました。日本が戦争に負けたのは小学校1年生の時でした。当時のことは大変鮮明に覚えています。私は父が日高郡で県会議員を務めており、後に村長を兼務した稲原村というところに疎開しておりましたが、食料不足や、稲原村が駅に近いことから爆弾投下の危険性があるということで、さらに奥地である日高川町山野三津ノ川へ疎開することになりました。

 終戦の詔勅はその疎開先で聞きました。もっとも、我々子供たちには何が起こったのかさっぱりわかりませんでした。しかし、大人たちは曇った顔をしており、「終戦を迎えた、日本は負けたんだ」と聞きました。

 戦時中に印象に残っていることは、学校の校庭に整列して戦死者の報告を受けたことです。弔辞を述べるのは村長である父の役目でした。戦争状態が悪化するにしたがって弔辞の回数が増えていくという感じでした。学校の先生が徴兵のため列車に乗って出発されるところをお見送りにいったこともあります。周りの人たちが次々に亡くなられ、昨日までいた学校の先生が兵隊さんにとられていくわけです。戦争ほど惨たらしいものはありません。

 戦後、私の父は、村長は翼賛会支部長を兼務することになっておりましたので、公職追放されました。翼賛会支部長は皆おしなべて追放の期間が長いんです。追放されると、政界だけではなく、町内会やPTAの会合にも出られません。ですから、追放された人たちは皆、これは「格子なき牢獄」だと言っていました。その他にも、食料は不足する、仕事場はなくなる、着る物は十分にないといったように、惨憺たる状況が広がっておりました。

 これはとても辛いことではありましたけれども、ある意味で、こういう経験を持ったことは、経験がないよりもうんと良いことだったと思っています。この経験をもって政治の世界で働かせていただいておりますし、この経験は絶対に忘れてはならないと思っています。

たとえ「媚中派」と言われようとも

―― 二階議員は中国で習近平国家主席と会談されました。一部では事前の予想として、習主席は会談に応じないのではないかとも言われていました。

二階 私は3月に海南島で開催された、福田康夫元総理が理事長をしているボアオ・アジア・フォーラムにお招きいただき、パネラーとして医療問題や健康問題について発言しました。その時習近平国家主席もお出でになっておられたので、私は「今度、日中友好を熱心に進めている3千人の同志たちと一緒に訪中することになっている。これは人と人との交流、特に民間の人たちの交流だ。習主席にも協力してもらいたい」と言いました。習主席からは「日中間の人民の相互交流は大変大事なことなので協力します」と、明快なお答えをいただきました。

 そのため、私は5月の訪中時には必ず習主席にお会いできるだろうと確信していました。しかし、これは誰にも言いませんでした。今回3千人の方々にご一緒していただきましたが、「習近平さんがお出でになるからご一緒しませんか」という呼びかけは一切しませんでした。

 それは、あれだけの国のトップリーダーですから、国際的な問題も含めて何か起これば来られなくなることだってあるからです。また、「主席がおいでになるから来たらどうだ」というような、看板で人集めをするようなことはすべきではないと思っているからです。私は過去5回訪中しましたが、一度もそうしたことはしておりません。

 少し気の早い人は、習近平国家主席が出て来ないなら行っても仕方がないということで、訪中の参加申し入れはあったものの実際には来なかった人もいたようです。3千人もお見えになるわけですから、色んな目的や考えを持った方がいます。それについて気にする必要はないと思っていますし、我々の方から特に意見を述べることもありませんでした。

―― 最近、日本では排外主義的言説が強くなっており、二階議員を「媚中派」と揶揄する声もあります。

二階 そんなことは過去に何回か言われておりますから気にもしていませんが、「そんな偉そうなことを言うなら自分で行ってらっしゃいよ」と申し上げたい。

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二階俊博 われ「媚中派」と呼ばれようとも|月刊日本
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