安倍元首相殺害犯の“悲惨な生い立ち”に同情する人が続出…それでも絶対に「減刑」してはいけないワケ
また、弁護士ジャーナリストの楊井人文氏の《【検証 安倍元首相殺害事件】メディアが報じていないファクト 山上被告、自身の報道で「不正確なものも」》(12月16日 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b78c6c5b72e54fb6d9c0ff3203f0783252fd57aa)によれば、旧統一教会との金銭問題も、報道で言われたものとずいぶん違う。 母が統一教会に献金した額は総額1億円以上とみられるが、山上が自殺未遂を起こした2005年から、伯父の介入もあり、月30〜40万円の返金(支援)が始まった(母証言、妹証言、被告人質問)。 合意に基づき、2014年までに計5000万円が完済。合意書には母と3人兄弟がサインしており、山上自身は統一教会との金銭問題は「解決」していたとの認識を示し、弁護士に相談する考えもなかった(12月2日被告人質問)。 ただ、偉そうなことを言いながらも、実は筆者も事件報道に関しては大きな間違いをしてしまっている。ある動画チャンネルに出演した際に、「山上被告の妹は教団に家庭を壊されたと思ってない」というような趣旨のことを発言してしまった。周辺取材から得た感触ではあったが、今回の法廷で妹さんが「教団に家庭を壊された」と証言しているように、まったくの事実誤認である。 この場をお借りして訂正をさせていただくとともに、山上被告の妹さんに対してお詫びを申しあげたい。間違った情報を発信してご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。 このような山上被告と妹さんの教団への「怒り・憎悪」というものがあらためて法廷で明らかになったからこそ、筆者は「なぜそこで安倍元首相を巻き込んでしまったのか」という憤りが強くなってしまう。
先ほども述べたように、山上被告は自身も認めるように「教団に打撃を与える」という目的を達成するため、社会に衝撃を与えられる安倍元首相を狙った。ずっとつけ狙っていたわけではなく、教団幹部の代わりに急遽、計画したと本人も認めている。 警察庁組織令第第四十条で「テロリズム」というのは「広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう」と定義されている(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329CO0000000180/#Mp-Ch_5-At_43-Pr_1-It_3)。 どう見ても山上被告がやったことはこれにあたる。どんなに不幸な生い立ちであっても、やはり許されることではない。「戦後、暴力主義的破壊活動に最も成功した人物」を司法が肯定することになるからだ。 かつて山上被告のSNSでそう投稿していたように今、自分自身を社会から抑圧された「弱者男性」だと思っている人は多い。そういう不遇の人からすれば、手製の銃で元首相を殺害することで、憎き組織を崩壊に追いやるだけではなく、この社会も大きく変えたというのは「希望」になってしまう。 ましてやそんな「暴力主義的破壊活動」が社会から同情・共感を得て、減刑までされるとなれば、テロリズムを起こすハードルを下げてしまうではないか。 そういう社会になるのを防ぐためにも「減刑」はダメだ。「テロリストに名を与えるな」を失敗してここにきてさらに「テロリストに共感するな」も失敗したら、もう目も当てられない。 山上被告からすると不本意な量刑かもしれないが、自分の目的のために関係のない人の命を奪ったことをしっかりと反省してもらい、遺族である安倍昭恵夫人に対して、心からの謝罪をしていただきたい。
窪田順生