〈ベネズエラ攻撃〉「国際法違反」と叫ぶ日本メディアが見落としている、マドゥロ拘束の本質とその先にある「台湾有事」
もし、ウクライナが核を持っていれば
かつてのパナマ侵攻の後、パナマがどうなったか。独裁者が排除され、運河は正常に運営され、経済は発展した。ベネズエラ国民が望んでいるのは、誇り高き貧困ではなく、明日の食事と自由な生活だ。 しかし、私が今回の一件で日本人に最も伝えたいことは、ベネズエラ人が救われてよかった、という人道的な美談だけではない。もっと恐ろしく、冷徹な現実についてだ。 なぜ、今回の「解放」が可能だったのか。それは、アメリカが「核保有国」という絶対的な力を持っていたからに他ならない。 トランプは「力」こそが正義であり、ルールを作るのは勝者であることを隠そうともしない。もしベネズエラが核を持っていれば、アメリカであってもここまでの電撃作戦は不可能だっただろう。同様にウクライナが核を持っていれば、ロシアは侵攻を躊躇したはずだ。 ここで、もう一つの重要な視点を提供する報道を引用する。この出来事が世界にどのような波紋を広げるかについての鋭い指摘だ。
開いたパンドラの箱と台湾有事
「ドナルド・トランプは、自分はルールを作る側であり、自分の指揮下にある米国に適用されるルールであっても、他国が同じ特権を期待できるわけではないと信じているようだ。しかし、権力の世界とはそういうものではない。(中略)もし米国が、犯罪行為で告発した外国の指導者を軍事力で侵略・拘束する権利を主張するならば、中国が台湾の指導者に対して同じ権限を主張するのをどうやって防ぐことができるだろうか?」 (BBC News、1月4日) ここだ。これこそが、日本人が直視しなければならない「本当の」危機だ。リベラルな人々は「アメリカの横暴を許せば、中国が台湾を攻める口実になる」と懸念する。懸念は正しい。だが、結論が間違っている。「だからアメリカを批判して止めさせよう」としても、もう止まらない。パンドラの箱は開いたのだ。 今回の件で明らかになったのは、「核を持った大国だけが、自国の利益と論理で他国をねじ伏せ、ルールを書き換える特権を持つ」という残酷な階級社会の到来だ。 世界は明確に分断された。「核を持ち、他国を蹂躙できる側」と、「核を持たず、大国の論理に翻弄される側」へ。アメリカがベネズエラで行った「正義」は、裏を返せば、中国が台湾で行うかもしれない「正義」を正当化する前例となり得る。 この現実を、東アジアに当てはめてみてほしい。中国が「台湾の指導者は犯罪者だ」と、アメリカと同じロジックを使って決めつけ、電撃的な軍事作戦を行ったらどうなるか。
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