上級騎士なるにぃ氏のゲーム開発プロジェクト『誓いノ淵』について
私は、いつものようにTwitterで時間を無駄に費やしている最中、性格の悪い自分にぴったりなニュースが目に留まった。人の失敗、特に大きな挑戦が実を結ばず頓挫する様子は、私のような底辺の人間にとっては格好の娯楽である。今回の上級騎士なるにぃ氏のクラウドファンディングプロジェクトが、約5000万円を集めてゲーム制作に着手したものの、ほぼ失敗に終わったという一件は、まさにその典型だ。
ゲーム好きのコミュニティではすでに広く話題となっているため、詳細を知らない方は少ないと思うが、一応概要を述べておく。なるにぃ氏は、ダークソウルシリーズなどの考察動画で知られるYouTuberで、2023年にCAMPFIREで『誓いノ淵』というアクションゲームの開発資金を募った。目標3000万円を大幅に上回る約5085万円を集め、豪華な音楽家参加も発表されて期待を集めた。しかし、予定されていた完成は延期が続き、2025年末に公開された報告動画で、主要ディレクター兼プログラマーの離脱が明らかになった。なるにぃ氏自身が開発現場から事実上の排除状態に置かれ、進捗確認ができなくなった末の決断だったという。引き継がれたデータは約7GB存在するが、2026年に入っての解析結果では実装率が0~1%程度(好意的に見ても3%)と判明し、ほぼ一から作り直す可能性が高まっている。残金は約1000万円で、なるにぃ氏の私財3000万円も投入された後だという。現在、なるにぃ氏は新チームを募集し、再始動に向けて動いている。
現在、なるにぃ氏に対する批判が集中し、ネット上は大炎上状態である。ゲーム開発に携わるプロやインディー制作者、有名人も多数コメントを寄せており、プロジェクト管理の甘さや進捗報告の不足が指摘されている。
私は過去、なるにぃ氏のダークソウル考察動画を視聴したことがある。あの動画では、ラテン語の辞書をわざわざ購入して解読するほどの真剣さが感じられ、真面目な人物だと好印象を持った。ゲーム制作への意欲も当時から語られていた記憶があるが、それが実際にクラウドファンディングで実現し、ここまでの規模になるとは予想外だった。
この件について、私も当初は「計画性がなく理想だけを語っていた結果だ」と批判的な文章を書こうかと考えた。しかし、よく考えれば私はゲーム制作の経験などなく、仕事でもプロジェクトリーダーや現場監督を務めたこともない。ただ指示を待つだけの、しかもそれすら満足にこなせない人間である。クラウドファンディングに資金を提供したわけでもない私に、なるにぃ氏を責める資格などない。
そもそもクラウドファンディングは、見返りを厳密に期待する投資ではなく、支援の性質が強い。なるにぃ氏が数年間尽力した事実だけで、十分な成果ではないか。返金を求める声もあるが、クラウドファンディングの本質を理解していないなら、最初から参加しなければよい。資金は寄付の覚悟で出すものだ。
それにしても、この失敗は私にとって最高の娯楽だったはずだ。人の苦闘を遠巻きに眺め、嘲笑う──それが私のいつもの楽しみ方である。ところが、なるにぃ氏の最近の報告を見ているうちに、何かが変わった。開発データの実装率がほぼゼロと判明し、4年間の努力が水の泡になりかけた状況で、それでも「1からやり直しになろうが、ゲーム完成のためにできるすべてをやり続ける」と宣言する姿。厳しい批判を浴びながらも、新チームを募集し、再建に挑むその不退転の決意。
私は、そんななるにぃ氏の姿に、奇妙な影響を受け始めている。人の失敗を喜ぶ自分が、少しずつ前向きなことを考え始めたのだ。自分など何も成し遂げたことがないのに、他人の挑戦を嗤う資格などないのかもしれない。なるにぃ氏が諦めない限り、このプロジェクトはまだ終わっていない。私も、せめて自分の怠惰な日常を、少しだけ変えてみようかと思うようになった。
失敗から学ぶ機会として、この一件がゲームコミュニティ全体の教訓となることを願う。そして、なるにぃ氏の「誓い」が、いつか形になる日が来ることを、密かに期待している。


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