米下院の超党派の議員は、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を受けて対日圧力強化を続ける中国の「威圧的行為」を非難する決議案を提出した。中国の圧力に対する懸念が広がっている。
最近話題を呼んでいるものとして、米政府が公表した外交・安全保障の基本方針「国家安全保障戦略」がある。「アメリカは長年の放置を経て、西半球での自国の優位性を回復し、国土防衛と地域の重要拠点へのアクセスを確保するためモンロー主義を再び主張し、これを適用していく方針だ」とされている。
ここでいうモンロー主義とは、1823年にジェームズ・モンロー大統領が提唱した「アメリカ大陸へのヨーロッパ諸国の干渉を排除して、アメリカもヨーロッパの政治に関与しない」という外交方針だ。
トランプ大統領はこの考え方の現代版を新たに打ち出していて、西半球での米国の力を示し、中南米からロシアや中国を追い出すことを最優先しようと考えている。西半球に力を入れるから、東アジアでの問題は基本的に同盟国が自分たちの力でやってくれというメッセージとも読み取れる。
それは、中国に対してこれまで使ってきた「最優先の脅威」という表現を排除して共存を重視し、日本など同盟国について「自分の地域で主要な責任を負い集団防衛にこれまで以上に大きく貢献しなければならない」としている。
ロシアも脅威と位置付けず、ヨーロッパを「文明の消滅」に直面していると表現した。
この米政府の外交方針は、中露が喜ぶ内容で日本や欧州にとっては警告ともとれる内容だ。EUは非難し、ロシアは「素晴らしい」と喜んでいる。最近の日中対立に対して、トランプ大統領の「塩対応」にはこの「国家安全保障戦略」があるとも言われている。
一方、議会は違う。昨年12月19日付で冒頭のように下院の超党派議員は中国を非難する決議案を提出した。17日には上院でも超党派議員が同様の決議案を出している。
しかし、米政府は日中いずれにも肩入れし過ぎない姿勢を示している。オバマ政権の時から「世界の警察官」を放棄しており、日本はそろそろ米国がいざというときには助けてくれないことも考えて、自国の防衛を自国でしっかり行う覚悟を持たないといけない時代になっている。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)