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蘇枋隼飛の許嫁/Novel by 絆創膏

蘇枋隼飛の許嫁

6,179 character(s)12 mins

たまには強い女の子もいいかと。

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 求ム、私より強い男。
「わー、さすが」
「自分で何とかできたでしょ」
「そんなそんな」
 やっぱり強いね、と蘇枋が笑う。足元には、チンピラが六人ほど倒れている。私が蹴り飛ばして気絶した人が三人。殴りかかってきたところをぶつけて倒したのが二人。締め落としたのが一人、という内訳である。
 蘇枋がかばっていた女の子がペコペコしながらお礼を言ってきた。恐縮していたので、おかもちの中からサービスの中華まんを出して渡す。ホカホカ。
「あ、ありがとうございます」
「カス男のことは忘れたほうがいい」
「カス男……」
「私より弱い男は全員カスね」
 蘇枋はいるか、と中華まんをもう一つ差し出すも断られた。女の子のことは彼に任せて、私はバイトに戻ることにした。蘇枋なら大丈夫だろう。ニコニコ笑いかける蘇枋を横目に歩き出す。
 チャーハンとラーメンの配達中に、今度はちがうチンピラに絡まれた。今日はやたらと絡まれる日だな、と思いながらここでも五人ほどのした。治安の悪い街ね。


「ケガしてない?」
「してない」
「それならいいけど……」
 蘇枋は私の攻撃をかわしながらニコッと笑った。バイトの終わり、たまに稽古をつけてもらっている。私は強くならなくちゃいけない。格闘技としてではなく、ルール無用のケンカにおいて、女というハンデは大きい。体も小さいし筋力も弱いからだ。体の使い方、呼吸の仕方、全てが完璧でないといけない。相手が男だった場合、一発でももらったら、致命傷になりかねない。
「ここは?」
 避けたついでに、する、と頬を撫でられた。ビックリして隙ができたときに、足を払われた。尻が地面に落ちる。
「ダメだよ、油断したら」
「蘇枋が変な触り方するから!」
「ケンカ中に相手にそう言うの? もっと変なところを触られるかもしれないのに」
 それはそうだ。頬を撫でられたくらいで動揺していたらダメ。昼間にチンピラに絡まれた時、彼らの持っていたバットが少しだけ頬をかすった。軽いヤケドみたいになっていたのだろう、少し熱くてヒリヒリするなとは思っていた。
「ちょっと掠っただけ。心配ない」
「顔は心配するよ」
「もう貰わないように気を付ける!」
 立ち上がって、続きをやろう、と構える。蘇枋は少し困ったみたいに首を傾げた。
「そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」
「焦ってない、ただ私は早く強くならなきゃいけない」
「そういうの焦ってるって言うんだよ」
 むっと唇を尖らせる。焦りは禁物、と人差し指を立てる蘇枋を睨んだ。自分だって分かってるくせに。
「早く強くならないと、お前と結婚しなきゃいけなくなる」
 地面強く蹴って、低く体を沈める。速く、鋭く、柔軟に。男にはどうやったって力じゃ勝てない。だからそれ以外の全てで、強くならないといけない。そうじゃないと、私はこの胡散臭い眼帯男と結婚して家庭を築くハメになる。
「今どき許嫁って……古風すぎるよね」
 結婚なんて困るよ、と彼は顔を顰めた。私も同意見だ。どうにかして蘇枋より強くなって、婚約を取り消さないといけない。そのためにチンピラをのしたり、修行をしたり、あと普通に生活費のためにアルバイトをしたり、私は毎日忙しく生きている。特にアルバイト先の中華飯店はいつも忙しくて、配達もひっきりなし……。
「あーー! 配達! 三丁目の川平さん! 忘れてた!」
「えっ?」
「蘇枋ごめん私行く! また稽古つけてね! あ、次こそはお前を殺す!」
「捨て台詞が物騒だなぁ。仮にも許嫁に向かって」
 おかもちを持ってあわてて、走り出す。早く強くならなくちゃ。蘇枋と結婚しなくてもいいように。

Comments

  • Chi-

    ものすごく好みです! ありがとうございます!!!

    October 19, 2025
  • 鯖味噌煮
    July 21, 2025
  • もももそのて
    June 6, 2025
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