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“壊す”のではなく“生かす”──ジャングリア沖縄が森づくりに込めた覚悟と執念

皆さんは「ジャングリア沖縄」と聞いたとき、何を思い浮かべるでしょうか。

沖縄本島北部・やんばるの森に生まれたそのテーマパークに対して、「自然を壊してテーマパークを作るなんて、環境破壊ではないのか?」という誤解や不安の声が上がったことも事実です。

豊かな森を切り拓いてできた“ジャングル風”の施設なのではないか――そんな疑念を抱いた方もいるかもしれません。

ジャングリア沖縄の裏側では、このやんばるの自然を守り、活かすための挑戦が行われていたのです。

これから、ジャングリア開発チームによる、沖縄の自然を守り抜き、生かす裏側のストーリーを、お伝えいたします。


481本の木を“引っ越し”──森ごと守る大移植作戦

ジャングリア沖縄の敷地は、もともと山深いゴルフ場だった場所。
そのゴルフホールの合間や周辺には、やんばるの大自然がそのまま残され、豊かな植生が広がっていました。
幹回り数メートルもあるガジュマルやアコウなど樹齢100年を超えるような大木が何百本も生い茂っていました。
普通の大規模開発なら整地のために伐採されるか、外部へ運び出されてしまうこれらの木々。

しかしジャングリア開発チームは、「この森の命をそのままパークの財産として活かそう」と決意しました。

「既存の木を使うことは絶対に必要でした。他では見られないスケールの大自然をゲストに体験していただくために」

そう語るのは、ランドスケープを担当した呑海(ドンカイ)さんです。

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既存の木を使おうと決めたものの、呑海さんの前に困難が立ちはだかります。

高さ十数メートル、枝を広げれば幅15mにもなる巨木をそのまま移動させるのは並大抵のことではありません。
公道で運ぶには道路幅2.5mという道交法上の制限もあり、不可能に近いサイズでした。

(逆に、通常新しくリゾートホテルなどを建てるときには、長細い木は移植できても、横幅の大きい、本当に大きな木は持ってこれないのです)

そこで、呑海さんが率いるチームは最初に、敷地内に自生する約645本もの木を一本一本くまなく調査しました。
山奥の急斜面に立つ木、重機が入れない場所の木、残念ながら病気で弱ってしまっている木──
そうした移植が難しい約200本を除いた481本をピックアップするまでに、3ヶ月以上を費やしたといいます。

選び抜かれた481本の木々は、パークの完成までに二度の「引っ越し」を経験しました。

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何十トン以上の重さにもなる巨木たちを、まず邪魔にならない敷地の片隅に一時退避させ、根を傷めないよう細心のケアを続けます。
十分に根付き、生命力が回復したのを見計らって、再度パーク内の最終配置場所へと運び込む――
気が遠くなるほど手間と時間をかけた移植プロセスです。

その甲斐あって、開業したばかりの園内にはまるで何十年も前からそこにあるかのような深い緑のジャングルが広がりました。

実際に歩けば、移植された木々とは思えないほど力強いやんばるの森の息吹を感じることでしょう。
「普通の施設ではあり得ない大きな森ができた」と呑海さんも胸を張る、唯一無二の景観です。

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地域と共に育てる森──95%を沖縄から調達

もちろん、パーク内の緑は元からあった木々だけでは足りません。
ジャングリア沖縄では、もともとあった森を残している場所や移植木のほかに、さらに高木・中木・低木あわせて合計37,504本もの植物が新たに植えられています。

その実に95%以上が沖縄県内の農園で育った苗木
残りについても沖縄に自生する樹種だけを厳選し、県外から持ち込んだ植物でも沖縄の生態系になじむものに限定しています。

「なぜそこまで地元産にこだわるのか?」と不思議に思う方もいるかもしれません。
その背景には沖縄の自然に最適な樹種で森を作り上げたいという思いに加え、「このパークを地域と共に育てていきたい」という開発陣の強い信念がありました。

呑海さんたちは沖縄県の「種苗組合」に協力を仰ぎ、
数年前から県内各地の農家さんへ「ジャングリア用の苗木を育ててほしい」という依頼を出していたのです。

例えば、高さ50cmほどの幼い苗を契約栽培で預け、オープン時に高さ2m程度の若木になるまで育ててもらう──
そんな地道な取り組みを続けてきました。

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手間はかかりますが、自ら育てた木がテーマパークの森の一部になっていくことを、農家さんも大切に関わってくださいました。
そしてパーク側にとっても、成長途中の苗木から育てることでコストを抑えられるというメリットがありました。

さらに、植栽工事の進め方にも地域共創の姿勢が光ります。
全体の設計と現場管理を担う大手造園会社に加え、
実際の植え付けや施工は沖縄の地元造園業者が中心となって行われました。

このテーマパークは、地元の植物と地元の人の手で育っていく。だから沖縄の事業者さんと一緒に作り上げたかったんです


経験豊富な専門家の知見を共有しながら地元の職人たちが腕を振るうことで、パークの森づくりは地域に根差したプロジェクトとなりました。

開発チームの「沖縄の事業としてしっかり根を張る」という思いが、37,000本を超える緑の一つ一つに宿っているのです。


夢を現実に:ビジョンを地におろすまでの1年

森そのものを丸ごと再生させる――
前代未聞の挑戦に挑んだジャングリア沖縄ですが、試練はそれだけではありません。
もう一つ、チームに立ちはだかった壁が「当初チームの描いたくビジョンをどう現実化するか」でした。

テーマパークですから、「こういう森にしたい」「こんな景色を作りたい」という理想のイメージがあります。
しかし、その理想だけをそのまま形にしようとすると、予算との間に大きなギャップが生まれ、約10倍という規模にまで膨らんでしまいました。

「図鑑を片手に、一から勉強でした」と呑海さんは苦笑まじりに振り返ります。

沖縄で手に入る木に置き換え、デザインと予算の両面で実現可能なプランを探る試行錯誤の日々。
何度も何度も樹種のリストを作り直し、気づけばこの調整作業に1年以上を費やしていました。
それでも彼らは諦めません。

特殊なプロジェクトですから、ランドスケープの専門性をさらに高めるため、呑海さんは自ら25年来の知人であるガーデンデザイナーを口説き、プロジェクトのアートディレクターとして迎え入れました。
そうして社内外の力を結集し、空想だった森のイメージがついに現実の森へと息を吹き込んだのです。

形になったランドスケープには、チームの“こだわり”が随所に盛り込まれました。

例えば、「キッズトンネル」。
これは子どもたちが探検する歩行型アトラクション「ファインディング ダイナソーズ」の序盤にある演出で、両脇から斜めに植えた木々の枝が重なり合って森のトンネルのように見える道になっています。

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ファインディング ダイナソーズ の「キッズトンネル」


大人なら腰をかがめないと通れないほど低いトンネルですが、子どもにとっては自分が主役になれる秘密基地のような空間。
背の低い木をあえて傾けて植えたのは、「小さな冒険者たちに神秘的な森を体感してほしい」というクリエイティブの発想でした。
それを実現するため、道の左右に盛り土を行って、木の高さや角度を綿密に計算し、一つひとつ丁寧に植え込んでいます。

他にも、エントランス棟の屋上の事例も。
沖縄では台風などの強風もあり高木の屋上緑化など前例がありませんでしたが、そこにも6~8m級の立派な木々を植えることに成功しました。
通常は2~3m程度が限度と言われる屋上への植栽も、「絶対に実現したい」とあらゆる工夫を凝らしたのです。

コンクリートで根鉢(根土)を固定したり、複数の木同士を支柱のように支え合わせたり…。誰もやったことのない挑戦に挑み、ついに緑の茂る屋上ガーデンが完成しました。

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屋上ガーデン

この屋上ガーデンは、絶景スポット「インフィニティテラス」へ向かう道でもあります。
最初はわざと視界を絞るように植栽を配置し、進むにつれて空間がひらけていく仕掛けが施されています。

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鬱蒼としたヒカゲヘゴの林から軽やかなヤシ林へと徐々に景色が変わり、光の量も少しずつ増えていく…。
そうして遊歩道を抜けた瞬間に、一気に目前に広がる空と森の大パノラマ!
この一気に景色が開ける “大解放“こそ、ゲストに最高の感動を与えると信じてチームが計画した演出です。

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インフィニティ テラスからの眺め

森と一体になる──五感で味わう「森に還る」瞬間

こうして誕生したジャングリア沖縄は、ただ自然の中に“作られた”テーマパークではありません。

生い茂る亜熱帯の森に包まれ、耳を澄ませば木々がざわめく音、足元から伝わる大地の感触、肌に触れる湿り気を帯びた空気──
訪れた人は五感のすべてで沖縄の生命力に浸ることでしょう。

「沖縄の大自然を楽しむ新しいテーマパークなんて素敵だね」「ジャングリア沖縄ならではの体験がしてみたい」もし少しでもそう感じていただけたなら、開発チームにとってこれ以上の喜びはありません。

この森をかたちづくる“沖縄の植物たち”についても、いずれどこかで、少しマニアックな視点からそっと紹介していけたらと思います。
ジャングリアの世界観を支える一つひとつの命の物語を、どうぞ楽しみにしていてください。

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