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言葉と風景を写真で紡ぐ。内田紅甘の展覧会が鎌倉&代田橋にて開催中

エッセイスト・俳優として活動する内田紅甘の個展「そこにある不在」が鎌倉の「ARTS & BOOKS Turn the Page」にて開催中。鎌倉に想いを馳せて書かれたショートエッセイのスクリーンショットと、実際に北鎌倉から鎌倉を歩き撮影された風景写真で構成される。

鎌倉・長谷にある小さな古書店、ARTS & BOOKS Turn the Pageが移転リニューアルオープンを記念して、内田紅甘の個展を開催。内田が鎌倉を歩きながら収めた風景、紡いだ言葉を「そこにある不在」と題して展示する。スマートフォンというごく個人的なツールで紡いだ言葉をスクリーンショットで見せる独特な手法は、観る私たちの視点が内田のそれと重なるような錯覚を起こさせる。会期中のアーティストトーク&朗読会では、書き下ろし短編小説「そこにある不在」を披露。今回の展示に合わせたZINEも制作・販売するのでぜひ手に入れて。

また、東京・代田橋にある書店「flotsam books」では、内田と、写真作家の髙田将伍による二人展『見つめ合わない』を開催中。同じくflotsam booksにて2023年に行われた内田の初個展「私からの眺め」では内田自身の内面にフォーカスしていたが、今回は一度しか会ったことのなかった髙田とお互いの写真を並び合わせることによって同じ世界を捉えながら、交わることのない二人の視線や他者との関係性といった世界観を提示。髙田は今までに即興的、反射的に撮ってきた記憶の断片とでもいうべき写真の一部を内田との展示に合わせる。また、こちらでも展覧会に合わせて制作したzineを販売。「他人との関係」をテーマにしたという今回の展示で、「見つめ合わない」二人からどんな景色が見えるだろう。ぜひ足を運んでみてほしい。

内田紅甘「そこにある不在」

会期/2024年8月3日(土)〜12日(月・休)
会場/Arts & Books Turn the Page
住所/鎌倉市長谷3-12-11 つたやビル3F(長谷観音前交差点)
営業時間/13:00〜18:00 *会期中無休
入場無料・予約不要
URL/https://turnthepage.stores.jp/
https://www.instagram.com/turnthepage_kamakurahase/

アーティストトーク&朗読会
日時/8月12日(月・祝) 14:00〜15:30
入場無料 要予約
*予約フォームあり 詳細はウェブサイトSNSにて

内田紅甘/髙田将伍『見つめ合わない』

会期/2024年7月26日(金)〜2024年8月11日(日)
会場/flotsam books
住所/東京都杉並区和泉1-10-7
営業時間/14:00〜20:00
定休日/水
入場無料・予約不要
URL/https://www.flotsambooks.com
https://www.instagram.com/flotsambooks/

Text:Sayaka Ito

 
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この夏、蜷川実花with EiMらのアートが葛西臨海水族園・公園にひろがる

長きにわたり、海と深いつながりを持ってきた葛西臨海水族園、葛西臨海公園。東京都は、都立公園全体の機能や価値を向上させることを目的とした取り組みの一つとして、広大な敷地の魅力を全身で感じるアートインスタレーション「海とつながる。アートをめぐる。― Harmony with Nature ―」を開催する。

葛西臨海水族園では、「海とつながる」をテーマに水族園を象徴するガラスドームをミストが包み込み、海とつながる世界を生み出す演出を行うという。なお、夏の特別イベントとして「Night of Wonder 〜夜の不思議の水族園〜」も実施。8月11日(日)から14日(水)は開園時間を3時間延長し、開園中に水槽の照明を消して魚たちと一緒に夜を迎える特別イベントが行われる。海とドームの境界が曖昧になり、海と一体化する中、霧がかる幻想的でまばゆい海の中へ誘う。

また葛西臨海公園では、昨年から開催されている四季と花を楽しむイベント「花と光のムーブメント」に、今年は4つのアート作品が追加。東京湾を見渡せる展望レストハウスであるクリスタルビューには、弘前れんが倉庫美術館(青森)で展覧会を開催中の蜷川実花 with EiMによるアートが、40000本の向日葵が咲くひまわり畑には、落合陽一河瀨直美、平子雄一によるアートが登場する。それぞれのアーティストが、葛西臨海公園の海、花、緑、光、建物など、公園のさまざまな要素との関係を受けて制作したアートインスタレーションにぜひ注目を。

(参考)蜷川実花の新作も公開。「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界」@弘前れんが倉庫美術館

時間や天候で変化する空間の中に存在するアートが、海と自然、そして人と自然のつながりを再認識するきっかけとなり、葛西臨海エリアの新しい魅力を感じさせるはずだ。会期は8月2日(金)〜18日(日)のおよそ2週間。ぜひお見逃しなく。

※掲載情報は8月2日時点のものです
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「海とつながる。アートをめぐる。― Harmony with Nature ―」
会期/2024年8月2日(金)〜18日(日)
会場/葛西臨海水族園・葛西臨海公園
開館時間/葛西臨海水族園 9:30〜17:00(最終入園 16:00)
葛西臨海公園 9:00〜20:30
入場料/入場無料・予約不要 ※葛西臨海水族園のみ入園料が必要。
URL/www.tokyo-zoo.net/zoo/kasai/special/2024art-kasai/index.html

Text:Akane Naniwa

 
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鴻池朋子の営みそのものを体感する新作個展@青森県立美術館ほか

現代アートシーンを代表するアーティスト・鴻池朋子。東日本大震災以降のプロジェクト展開をもとにつくられた新作個展が、青森県立美術館とその周辺野外、国立療養所松丘保養園 社会交流会館(すべて青森市)にて開催中だ。

制作中の風景 ©Tomoko Konoike
制作中の風景 ©Tomoko Konoike

北東北(秋田)出身で、現代アートシーンを代表するアーティスト・鴻池朋子。絵画、彫刻、手芸、歌、映像、絵本などさまざまな画材とメディアを用い、また旅での移動や野外でのサイトスペシフィックな活動によって、芸術の根源的な問い直しを続けている。国内外で多数展覧会を実施し、なかでも2020年、東京・八重洲のアーティゾン美術館のコレクションと現代アーティストの共演企画「ジャム・セッション」の第1弾作家としても注目を集めた。

(参考)五感で体験する野生なるもの「鴻池朋子 ちゅうがえり」展

制作中の風景 ©Tomoko Konoike
制作中の風景 ©Tomoko Konoike

地球の振動をも画材と捉える鴻池にとって、「絵」とは単に絵画に留まらない。パブリックアートやアートプロジェクトも「絵」の一部だ。今回は、震災以降、世界各地で今この瞬間も続くプロジェクト展開をもとにつくられる圧倒的なスケールの作品や、指人形といった新作の数々が紹介される。本展は、場所と呼応し、人間社会はもとより動物や自然界との交流の中でなされる鴻池のつくる営みそのものでもある。

制作中の風景 ©Tomoko Konoike
制作中の風景 ©Tomoko Konoike

個展の枠や、美術館という場も超えた世界の「いま」と呼応するアート展開も大きな見どころだ。
ウクライナやバルカン半島に思いを馳せながら縫われたカーテンを、能登半島地震における被災者住宅に設置するプロジェクトや、青森の人々が参加し自らの思い出を縫った「物語るテーブルランナー」(2015、2016)での制作物、美術館・アレコホールに集められた全国の美術館を展示使用し、列島を覆うネットワーク・インフラの使いなおしを試みる「車椅子アレコバレエ」、鴻池作品を素材に研究活動をおこなう研究者が自らの展開を紹介するアートラボ「新しい先生は毎回生まれる」など、鴻池の作品展開は、従来的な作品構造、制度的枠組みを軽々と飛びこえ、そこからの抜け道を探すかのようである。社会と地球の「いま」と呼応しながら広がり、アートという個人的営みのもつ可能性を拡張していく。

なお、本展サテライト会場として、国のハンセン病療養施設である「松丘保養園社 会交流会館」にも作品が展示されている。2019 年の「瀬戸内国際芸術祭」で国立療養所大島青松園(香川県高松市)を訪れたり、熊本の国立療養所菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」メンバーによる作品群を大島に持ち込み、美術館での個展会場内で巡回展示する活動を行ったりと、ハンセン病療養所や施設から生まれた作品と関わり続けてきた鴻池。本展では、松丘の成瀬豊(菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」発足メンバー)の作品と金陽会作品約30点が再び交わるほか、鴻池の作品『物語るテーブルランナー in 大島青松園』、新城中学校美術部や北中学校総合文化部員とが「美術館ロッジ」で制作した梵珠山六角堂休憩所の皮絵、木下直之によるノート公開やお話、山川冬樹のライブパフォーマンスなど、療養所から今も生み出される創作の数々が紹介される。

旅する作家から、「地図帳やランドマーク」の役目を託されたという青森県立美術館。同館は、新作や現地レポートを通じて、観客に鴻池の軌跡をリレーする中継ぎ役でもある。「作家やアーティストのようにメッセージや問いを投げかけるのではなく、後はもう自分の体しかない、というギリギリのところまで連れだしたい」と語る鴻池。観客の体がその場に晒された時、アートが人間の本能的なものに向けて、豊かに染み渡るメディシン(薬草)のように機能していくかもしれない。会期は9月29日(日)まで。

制作中の風景 ©Tomoko Konoike
制作中の風景 ©Tomoko Konoike

※掲載情報は7月31日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

「鴻池朋子展 メディシン・インフラ」
会場/青森県立美術館とその周辺野外、国立療養所松丘保養園 社会交流会館
会期/2024年7月13日(土)〜9月29日(日)
開館時間/[美術館]9 : 30〜17 : 00(入館は16 : 30まで)[社会交流開館]10 : 00〜16 : 00
休館日/[美術館]8月13日(火)、8月26日(月)、9月9日(月)、9月24日(火)[社会交流会館]毎週月曜日
入場料/[美術館]一般1,500円、高大生1,000(800)円、中学生以下無料 [社会交流会館]無料
「鴻池朋子展」+「AOMORI GOKAN アートフェス 2024 かさなりとまじわり」セット券一般 2,000円、高大生1,200 円、小中学生100 円
URL/www.aomori-museum.jp/

Text:Akane Naniwa

 

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