高温の物体から低温の物体へと、熱伝導によって移動するエネルギー

熱力学において、(ねつ、: heat)とは、外界から物体に移動したエネルギーのうち、仕事以外のものの事である[1][2][3]。熱力学において仕事とは、力学的・電気的・化学的なものなど、マクロな変数を用いて記述できるあらゆるエネルギーの移動の総和の事であり[4][1]、熱はそのような方法では表せないエネルギーの移動を指す[1]

太陽熱放射は、生命活動のエネルギー源である。

熱によるエネルギー移動は自発的に起こり、文献によってはこの自発的な移動をもって熱の定義としている[5][6][7][8]

具体的には物体をより高温の物体に接触させると、マクロには一切仕事をしていなくても自発的にエネルギーの流入が起こり、物体の温度が上昇する。こうしたエネルギーの流入が熱である。

熱は物理的には、外界にある粒子が物体に衝突するような、ミクロな量のエネルギーの移動がマクロな回数起こったものである[9]

移動をもって熱を定義しているので、物体内部に蓄えられているエネルギー(内部エネルギー)とは異なる。物体の内部エネルギーは外界とのエネルギーのやり取りにより増減するが、増減したエネルギー量のうち仕事以外の部分が熱である。

歴史的には熱は「熱素」という粒子の量だと考えられていたが、今日ではこの仮説は否定されており、上記のように熱の概念を再解釈している[10]

ただし熱力学の用語や日常語には熱素説の時代を引きずっているものもあるので注意が必要である。「熱源」はそうした用語の一つで、今日では「高温のエネルギー源」の意味に再解釈されており[11]、前述したようなエネルギー移動に関する用語ではない。しかし物理学で熱源を用いる場合は熱源から系にエネルギー移動が起こるので、この意味では前述した用法と一致する[11]