【次設計への責任】
いかに設計時点で最善・最適と判断された装置であっても、 時間の経過とともに必ず陳腐化する。
これは設計の巧拙によるものではなく、技術・環境・運用条件が変化し続ける以上、避けることのできない事実である。
また、設計時点では予測できなかった事象や使用条件が、長期運用の中で顕在化することも必然である。
◆陳腐化を前提とした設計観
設計時の最適解は、その時点における最適解に過ぎない。
・技術の進歩
・部品供給状況の変化
・運用方法の変化
・使用環境の変化
これらにより、
設計時の前提条件は徐々に成立しなくなる。
したがって、設計を「完成形」と捉えるのではなく、時間とともに評価され、更新される対象として扱う必要がある。
◆不具合・違和感の意味
長年の使用によって発生した不具合や違和感は、単なるトラブルではない。
それらは、
・設計時の想定不足
・判断の甘さ
・改善可能な余地
を示す重要なフィードバックである。
これらを見過ごすことは、同じ問題を次の装置でも繰り返すことを意味する。
◆記録と次設計の関係
運用中に発生した事象とその対処を記録し、それを整理・分析し、 次の装置設計に反映させること。
これは偶発的な改善ではなく、 技術者としての責任ある行為である。
記録がなければ、経験は個人の記憶に留まり、技術として継承されることはない。
◆経済性への還元
不具合や改善点を次設計へ反映することで、
・不要な冗長性を削減できる
・必要な部分にのみコストを集中できる
・無駄な保全・修理・停止を減らせる
結果として、
次に作る設備の経済性をより高い水準へ引き上げることができる。
これは、
経験と記録を積み上げた結果としてのみ得られる成果である。
◆技術者としての姿勢
前例や過去の実績は、判断の参考にはなるが、判断そのものを代替するものではない。
・前例踏襲を「安全」と誤解しないこと
・過去の成功体験に依存しないこと
・常に視野を広げ、現場の声に耳を傾けること
これらを怠った瞬間、技術は停滞し、設備は徐々に経済性を失っていく。
◆結論
技術者の役割とは、
「今を最適に作ること」だけでなく、
「次をより良くするための材料を残すこと」
である。
時間とともに陳腐化することを前提とし、設計・運用・保全・記録を循環させ、その成果を次の装置へ確実につなげていく。
これこそが、
次設計への責任である。
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