前福井知事セクハラ、県が再発防止誓う 退職金は6162万円支給
福井県の杉本達治前知事(63)による県職員へのセクハラ問題の調査報告書が公表された7日、県は記者会見で被害女性を守れなかったことについて謝罪した。一方、県のトップとして強い権限を持っていた杉本氏に対し、強い憤りをあらわにし、「ハラスメントのない組織にしなければいけない」と再発防止を誓った。【島袋太輔、萱原健一、高橋隆輔】 【写真でみる】前知事が送ったメッセージの一部 「ハラスメントの防止を率先して実践すべき立場にあった者による執拗(しつよう)かつ、長期間にわたる行為で、強い憤りを禁じ得ない。被害を受けられた方々に深くおわび申し上げる」 福井県庁で午前10時半から開かれた記者会見の冒頭、鷲頭美央副知事はこう述べ、約10秒間深く頭を下げた。 鷲頭副知事は、杉本氏と同じ総務省出身で、調査報告書の内容には「大きな失望を感じた」と述べた。同席した服部和恵総務部長も「一緒に仕事をしていた仲間たちが、苦しみを味わっていたことが非常に悔しい」と語気を強めた。 報告書によると、杉本氏のセクハラメッセージは長期間にわたった。鷲頭副知事は「報告書で初めて知った」と釈明した。県の基準では個人で利用する無料通信アプリ「LINE(ライン)」を業務上使用することを禁止しているが、知事ら特別職は対象外。服部総務部長は「前知事がラインを使うことは知っていたが、リスク管理が甘かった」と認めた。 ◇刑事告発は「被害者の意思を尊重」 一方、特別調査委員は、杉本氏の言動がストーカー規制法違反や不同意わいせつ罪といった刑法に抵触する可能性も否定できないと指摘した。刑事告発するかどうか問われた服部総務部長は「現時点で被害者にその意思があるとは聞いていないが、被害者の意思と判断が尊重されるので、県が主導して何かすることはない」と述べるにとどめた。 また、杉本氏に対する退職金は昨年12月26日付で6162万円が支給された。県人事課によると、拘禁刑以上の刑が確定した場合は支給を差し止めることができるが、今回はそれに該当しないため支給された。また、冬のボーナス(期末手当)も同12月10日付で325万2000円支給された。 辞職する際、「報告書の内容を見て適切に説明したい」と約束していた杉本氏。この日、代理人を通じて報道陣に送付した書面で、説明を重ねることで当事者の特定につながることなどが懸念されるとして、「専門家の力を借りて書面にて対応する」と述べ、会見を開く考えがないことを明らかにした。