「後出しで整うサステナビリティは、マネジメントではない」――省人化200億円と人事異動が示す“プロセス不在”の正体
ちょっと面白いんですけど、という話である
アルプスアルパインが、省人化と巨額投資について近日公式発表を行った。
しかし、なぜこのタイミングなのか。正直に言えば、それはどこか後出しじゃんけんのようにも見える。
専門的な話になるが、今回のニュースの出し方は、明らかに GRIの統合報告 を意識した構成になっている。見る人間が見れば、一目で分かる話なのだ。
少し整理してみよう。
アルプスアルパインは、サステナビリティマネジメントを大々的に掲げてきた企業である。一方で、約300人規模の異動については、その理念とプロセスが本当に整合していたのか、疑問が残る。
GRIが重視するのは、結果よりも プロセス である。誰が、いつ、どのように意思決定をし、どのような説明責任を果たしたのか。そこにこそ、サステナビリティの実体がある。
今回の省人化と投資の発表は、そのプロセスを 後から整えた ようにも映る。理念が先にあり行動が後から続いたのではなく、行動の後に説明を接続した――
そう受け取られても不思議ではない状況だ。
その象徴の一つが、「省人化」という言葉である。
この言葉は実に便利だ。人手不足、DX、生産性向上、地政学リスク。
複数の論点を一つに束ねることができる。
あえてライターとして想像するならば、この接続のために最適なワードとして、AI的に選ばれた言葉 なのではないか、と思えてしまうほどである。
AIは便利だ。しかし、AIをつかいこなす人間側には経験が必要だ。
そして、正直に言えば、ここまでくると事態は半ば エンタメ化 している。
それに経営側がなぜ気づかないのか。そこが最も不思議な点だ。
下記リンクの同社の12月16日付の人事異動も、同じ文脈で考える必要がある。発令日は元日であり、この時期・この日付を選んだ計画性については、慎重な検証が求められる。
https://www.alpsalpine.com/cms.media/20251216_ja_jinji_7760a94197.pdf
近々、透明性を求める署名サイトが立ち上がると聞いている。しかし、後出しで「透明」を塗っても、下地の色は消えない。
なぜ、この日本発のグローバル企業は強くなりきれないのか。
その理由の一端が、ここにある。
年末年始にかけてのニュースの出し方、そして、そこに至る意思決定のプロセスは、見えなくなっている致命的な弱点を、はっきりと露呈させている。
この点については、研究会の有料記事で改めて整理することにしたい。
一つだけ、付け加えておく。
投資は金額の大小ではない。大きくても小さくても、センスが必要 なのだ。
センスのない投資は、規模が大きくなればなるほど、無駄遣いと同じ結果を生む。
そう考えると、どうしても古川拠点の計画性について、考えずにはいられないのである。
▽事例詳細:優良企業のはずだった ――巨額投資の研究拠点で起きている「合理性なき300人異動」
おわりに。
本記事は、特定の企業を断罪するために書いたものではない。また、誰かを追い詰めることを目的とした文章でもない。
むしろ私は、いま起きている出来事を「少し引いた場所」から眺め、社会として、組織として、そして私たち一人ひとりが何を見落とし、何を後回しにしてきたのかを考えたいだけである。
サステナビリティという言葉は、美しい。しかし美しい言葉ほど、運用を誤ったときに人を傷つける。理念があるからこそ、プロセスが問われる。
規模が大きいからこそ、説明が必要になる。
今回の一連の動きは、
「正しさ」よりも「整合性」について考える材料を、私たちに突きつけているように思えてならない。
この記事が、企業にとっては自らを点検する視点となり、教育の現場にとっては、企業研究を深めるための教材となり、そして働く人にとっては、自分の立ち位置を考えるきっかけになれば、ライターとしてこれ以上の望みはない。
▽こちらのページだと目次的に見えます。
https://note.com/glad_peony7803
就職判断リテラシー研究会
(社会問題ライターの立場から)
▽【高校生からの質問】就職前に見抜く方法はあるのか?


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