外国人の派遣社員39.9万人は「異常な数」...ビザ別に見ると分かる就労制度の抜け穴・問題点
「特定技能」ビザで外国人の単純労働に門戸が開かれた
続いて、「技能実習制度」と「特定技能」で働く外国人について考えます。 日本は、外国人の就労に関して、長らく「狭き門」という立場を取ってきました。外国人が就労ビザを取得するためには、原則、専門的な技術・技能を持つか、高等教育機関の卒業にふさわしい職務に限られ、単純作業での就労は認めなかったのです。 そもそも、平成前期までは日本もまだ人口が増えており、単純作業では、人材の枯渇感はそれほど強くありませんでした。ただ、3K(きつい、汚い、臭い)環境の不人気職には人材が集まらなかった。そこで、この領域に限り、抜け道のように技能実習制度がつくられたのです。 ところが本書『外国人急増、日本はどうなる?』(PHP新書)の2章で示した通り、平成中盤あたりから、人口減少は顕著になり、同時並行で大学進学率も上昇したため、現業職全般で人材の枯渇感が高まりました。そこで、2019年に「特定技能」という新たな査証が創設され、単純作業を含む現業職領域で、広く外国人材の就労が可能となったのです。 この特定技能資格は、外国人が日本語と技能の試験を受けて、母国にいながら取得することも可能です。一方、技能実習の卒業者(2号資格取得者)にも自動的に付与されるので、当初はこちらから資格取得するコースが一般的でした。 こうした背景を踏まえて、この領域の問題を考えていくことにしましょう。
出自からして無理があった技能実習生制度
外国人技能実習生という制度には、とみに批判が集まりがちです。それは無理もないことでしょう。前述の通りこの制度は、「外国人の単純労働を認めたくない」という声が根強かった平成初期に、何とか抜け道をつくろうと、いわば庶子として生み出された制度だったからです。 ・就労ではないと言い張るため、研修制度という立て付けになっている。 ・その趣旨は、「技能的に遅れている国に、日本の先端技能を移転する」ためとした。 ・だから、技能的でない分野=一般的な販売・サービス・宿泊業などは対象から外され、第一次・第二次産業が受け入れの中心となった。 ・にもかかわらず、原則、労働44基準法の対象となり(一部職務除く)、最低賃金や社会保険などの対象ともなる。 こうした歪な制度だったために、その後、「就労目的」と改める方向で改正案が出されましたが、外国人就労に厳しい世論を恐れ、それが否決されてきたという歴史があります。 そうした中で、人口減少は続き、人手不足は深刻さを増していきます。そこで2019年に「特定技能」という新たな査証がつくられ、広く現業職での外国人就労が可能になりました。こちらは、第一次・第二次産業に留まらず、飲食業や宿泊業、自動車運送業などでも就労が可能です。 こうして外国人の就労が広く認められてしまうと、「技能実習生」を研修だと言い張ることや、母国への技能移転という名目など、必要性が希薄になります。そこでこの制度は、2027年から「育成就労」と名を変え、出直すことになりました。こうしてようやく、「抜け道ゆえの不整合」が取り除かれつつあります。 海老原嗣生(えびはら・つぐお) サッチモ代表社員。大正大学表現学部客員教授。『エンゼルバンク―ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載、テレビ朝日系でドラマ化)の主人公、海老沢康生のモデルでもある。