ユウカ「大人のカードってクレジットカードよね……?」
もうちょっと早くに投稿したかったんですがネタを思いつくのに時間がかかってしまったんですよ。ごめんユウカ。
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「先生の使ってるアレって……クレジットカードよね……」
私は頭を抱えつつ一人呟く。先生がたまに出す、あの黒いカード。先生は『大人のカード』って言っている。けど、私の目にはどうみてもクレジットカードにしか見えない。
『大人のカード』の正体がどうだっていい。でもクレジットカードなら話は別。なぜならば。
「今月のクレカ引き落とし、また増えてる……」
先生の浪費癖。これである。
まさに今、私は先生の家計簿をつけている。当初は先生に自分でつけさせるつもりだったのだが、まったく先生のお金周りの管理が改善しないため、私が勝手につけている。先生も先生で、最近はもはや自分でつけようとする素振りすらなく、領収書等を私に預けるようになった。それは頼られているようで、とても嬉しいのだけど。
今月の領収書等の整理と家計簿の付け方、おわり。とりあえず預かった領収書分は全部整理できた。でもクレカの引き落としの額と先生の出すクレカの利用明細書の合計額が一致しない。計算結果に間違いはない。ということは先生が利用明細書を出すのを忘れているか、もらうのを忘れたか、もらっても捨てたか。
普通、クレジットカードを使用していれば利用明細書を店が発行する。貰い忘れることなど普通はないだろう。だからおそらく誤って廃棄したのだろう、とそう思っていたのだが。
私の頭の中にはあの黒いカードがちらつく。あのカード。どうみてもクレジットカードにしか見えない『大人のカード』。やはり先生は、あのカードで買物をしているのでは?そしてこのぴったり14980円合わない家計簿は、そのせいでずれているのでは?
そう思うといても立ってもいられず、先生へ聞いてみる。
「先生、今月の家計簿なんですけど」
「あ、ああ。ユウカ。えっとおはよう?」
「……もう昼過ぎですけど」
「えっと、そうだね。あはは」
いつにも増して先生が挙動不審だ。なにか隠し事があるに違いない。私は確信を持った。
「とにかく家計簿のことなんですけど」
「えっと、もしかして利用明細書を出すの忘れてたかな」
先生はあははと笑ってごまかそうとしている。そうはいかない。先生をこれ以上、金回りに無頓着な大人にしてはならない。
「私はまだクレカとは一言も言っていないんですけど。よくわかりましたね。現金で払ったときにもらった『領収書』ではなく、クレジットカードを利用したときにもらう『利用明細書』が足りないって」
先生の額から汗が滴り落ちる。私は怒らないように、淡々と事実を述べる。
「あのね、ユウカ。実は……」
先生は観念したような諦めたようなそんな表情を見せる。先生があの顔をするときは決まって同じ。生徒のことを想っているとき。
「……いや、やっぱりしばらく待ってもらえるかな。」
「どうしてですか」
「それは言えないんだけど」
「それは私にも言えないことなんですか」
「そうだね。ユウカには言えないことかな」
少なくともおもちゃを買ったとか、そういうことではないだろうことは先生の表情からわかった。わかってしまった。だから私は『わたしにも言えないことなのか』と聞いた。その答えは『Yes』。これでも私は先生との付き合いの長さで言えば、このキヴォトスでほとんど一番である。信頼を得ている自負もあった。でもそうではなかった。そんなものは勘違いのようだった。
先生は少しバツが悪そうにしている。私はその先生をむくれて見ている。私はこれ以上、何も聞けなかった。先生もそれ以上は何も説明しなかった。
早口のユウカ良い…