男性と女性の性被害の“現実”
結論から言えば、男女平等国家においては女性より男性のほうが(異性からの)性被害に遭う可能性が高いことも示唆されている…という話を素直に受け入れる方は私のnoteの熱心な読者の方ぐらいなものだろう。大多数のパンピーは概ねこのような感想を抱くはずだ。「女性の性欲は男性並みに高いと思えないし、実際日本において性犯罪者…不同意性交等罪及び不同意わいせつ罪…の男女比は100:1ぐらいじゃん。男性の性被害や女性の性加害は表に出にくい傾向自体はあるとは思うけど、流石にソレは盛り過ぎでしょ」と。
「性犯罪は主に男性が行う」自体は、こうした犯罪統計によって裏付けられてる事実である。しかし犯罪統計のみに焦点を当てることは、性暴力という現象の複雑で多層的な側面を見過ごしてしまう。端的に言えば男性の性被害及び女性の性加害は3つの問題が存在するのだ。
・女性による性暴力加害が制度的に過小評価され、見過ごされている問題
・男性の性暴力被害者が社会的に、そして制度的に軽視され、周縁化されている実態
・警察に報告されない膨大な数の性犯罪が持つジェンダー的な性質
性暴力のジェンダーに関する我々の理解は、その測定方法に根本的に依存している。公式な犯罪記録とパンピーを対象とした大規模な被害調査という2つの主要なデータソースは、しばしば大きく異なる像を描き出す。この乖離は単なる数値の差ではなく、何が「犯罪」として認識され、報告され、記録されるのかという、社会的な選別プロセスそのものを反映しているのだ。例えば米国では性犯罪者の男女比は概ね15:1程度で、性被害者の男女比は1:6程度である(尚2019年以降はトランス問題が絡んでくるので…)。
しかし警察というゲートキーパーを通さずに無作為抽出された市民に直接被害経験を尋ねる形式だと、上記の男女比はガラッと変わる。例えば「全米パートナー間暴力・性暴力調査(NISVS)」によれば12か月における強姦被害率は女性1.1%に対し男性は閾値未満である…が、男性の「無理やり挿入させられる(Made to Penetrate)」は女性同様に1.1%になる。
http://www.cdc.gov/ViolencePrevention/pdf/NISVS_Report2010-a.pdf
2016/2017年のNISVS報告書でも、米国の男性の約9人に1人(10.7%)が生涯でこの種の被害を経験したと報告しており、これが男性にとって重大な被害形態であることが確認されている。
これらの数値の乖離は定義が如何に現実を創造するかを如実に示している。歴史的にレイプの法的定義はしばしば「(男性器による)女性への挿入」に限定されてきた為、「無理やり挿入させられる」という男性が経験する主要な被害形態の1つは統計的にも法的にも長らく不可視の状態に置かれてきたのだ。日本も同様であり、そもそも法的に強姦は刑法177条として2017年まで以下のように定義されていた。
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする
要するに2017年に強姦罪が強制性交等罪に改正されるまで、我が国では男性は強姦被害者になれず、女性は強姦加害者になれなかったのだ(1応強姦を企てた・協力したという形で共同正犯にはなれる)。それから強制性交等罪も不同意性交等罪に改正されて今に至るが、女性はそもそも法律の段階で「性犯罪をやる主体」として想定されていなかったのである。
これは統計が現実をありのままに映す鏡なのではなく、我々が選択する定義によって能動的に構築されるものであることを示している。性暴力における「ジェンダー・ギャップ」とされるものの多くは、実はジェンダー化された定義によって生み出された人為的な産物に過ぎない。男性被害者が何故「軽視されやすい」のかという問いに対する答えの1端はここにある。即ち男性は半世紀以上に渡り、被害を被害とさえ見做されていなかったのだ。
また警察が及ぼす役割も重大だ。というよりこの問題の中核だ。警察が男性の訴えを握り潰し、女性を被害者として扱っていることには間接的証拠がある。
例えばDVで警察庁が相談に応じた事案においては女性被害者は73%、加害者の性別は男性が73%となっており男女間暴力は女性が被害者、男性が加害者になりやすい傾向が伺える。しかしながら細かくデータを追っていくと「?」とならざるを得ない点が頻出するのだ。
警察は相談対応件数における相談者の男性率は21%なのに対し、事件として対応した事案になると女性加害者率は6.7%となる。この点だけ取り出せば「男性はそんな深刻な事態でもない…警察が事件として扱えないような事例であれ相談する。だから相談対応件数と事件対応件数に差が出る」と解釈する事も可能だろう。しかしそれは配偶者間殺人とDV自殺の男女比によって否定される。何故なら配偶者間殺人加害者の割合は男性58.6%で女性41.4%と差が無くなり、更にDVを理由とする自殺数は男性が女性の3倍近いスコアをつけているからだ。
また警察が男性性被害者に対して対応がおざなりであり、特に加害者が女性である場合、その申告を信じがたいと見なす傾向も研究で指摘されている。こうした偏見は、事件を「犯罪ではない(no crime)」と分類したり、捜査を尽くさなかったりする判断につながり、事件が司法プロセスの入り口でふるい落とされる原因となっている。
こうした多数の研究事例や統計を集めたメタ分析によれば、先進国における警察の公式記録では女性加害者の割合はわずか2.2%に過ぎないが、被害調査ではその6倍にあたる11.6%に達することが示されている。如何に女性の犯罪者が警察によって見過ごされているか?は、もう説明する間でもないだろう。
この現象が最も現われるのは夫婦間殺人のように、ある種の閉鎖された環境や空間における警察等のゲートキープでは誤魔化しきれない被害報告である。米国では2003年に制定された「刑務所内レイプ撲滅法(PREA)」に基づきBJSは複数の調査を実施したが、それにより男性収容者に対する性的不正行為の加害者が、不均衡に女性職員に偏ってる事が明らかになったのだ。
・2005年のBJS報告書では職員による収容者への性暴力加害者の62%が女性職員であり、その被害者の67%が男性収容者であった
・2007年の全米収容者調査では、報告された職員による性的不正行為の約62%が、女性職員と男性収容者の間で発生していた
https://bjs.ojp.gov/content/pub/pdf/svsfpri07.pdf
・少年施設においては格差は限界突破した。深刻な職員による性的不正行為の91%に女性職員が関与しており、そのような被害を報告した少年の89%が女性職員のみによる虐待を訴えていた(男性職員のみは6%)
・刑務所で男性は1000人に43人の割合で同性の受刑者から性的暴行を受ける1方で、女性は1000人に212人の割合で同性の受刑者から性的暴行を受けていた
刑務所という誤魔化しようがない閉鎖環境において、女性職員による男性収容者への性的加害がこれほどまでに多発しているという事実は、我々が日常的に依拠している「性暴力=男性から女性へ」という固定観念が如何に脆弱なものであるかを痛烈に突きつけるものだ。これは単なる特殊環境下の例外的な現象なのだろうか?むしろ状況が限定され、ある種のジェンダーバイアスによる言い訳が効かない環境で、これまで隠されてきた女性の加害性が顕在化したとみるべきだろう。
また男性の性暴力被害とその過小報告という問題は、特定の文化圏に限られた現象ではない。アジアといった異なる文化的背景を持つ国々のデータも、同様の或いは更に深刻な実態を示唆しており、男性の脆弱性を否定する文化的な通念が、いかに普遍的に少年や男性を危険に晒しているかを明らかにしている。
インドでは2007年に女性・児童育成省(MWCD)が実施した大規模調査で、児童性的虐待(CSA)の有病率が53%にのぼり、「少年も少女と同等に影響を受けている」ことが報告報告された 。また都市部に限れば被害者の男女比は6:4であり、少年の方が少女より被害を受けていた。更に衝撃的なことにインドや他のアジア諸国で行われた研究でも、少女よりも少年の方が高い性的虐待被害率を報告しているという結果が出ている。色々話題になったラオスもそうした国の1つだ。
https://x.com/rei10830349/status/1939924864489365796
そしてこうした状況は「男性は性被害を被害と認識出来ない」という状態へと追い込む1方で、女性を被害に敏感にさせる。例えば女子大学生355名と男子大学生268名に強制的な性交経験を聞いた研究では、男性回答者の16%がパートナーから望まない性行為を強要されたと回答したのに対し、女性回答者のうち生涯で男性に性行為を強要した経験があると答えたのは僅か2%だった。因みに追跡調査では、強制性交を経験した男性の大多数(124名中52%)が、心理的戦略…嘘をつく、性行為をしたくないことへの罪悪感、脅迫…に基づいて望まない性行為を強要されたと回答した。この「嘘をついて貴方を性加害者にしてやるぞ!」は女性性加害者が最も多用する手段である。
また未成年時に成人女性から性的接触を迫られた事例(オッズ比10.9)、酔わせたりハイにさせたりして性的接触を迫られた事例(オッズ比3.7)、関係を終わらせると脅された事例(オッズ比6.3)について、男性は女性よりも有意に多く報告していると結論付けた。雑に言えば女性は自ら申告する以上に、男性に対して性的接触を仕掛けたり強制したりしているということだ。というより不同意性交等罪的には3つのパターンは何れも強姦と定義されるので、女性は自分が強姦してもソレを強姦と認識出来ないとも換言出来る。また研究者も「女性は男性よりも自身の性的攻撃性を正常なものと捉えている可能性がある」と結論付けている。
日本においてもコレを示唆する統計がある。例えば内閣府が2017年に行った「交際相手からの暴力の被害経験」…所謂デートDVの調査によると女性の被害経験率は21%、男性の被害経験率は11%という数字が出ている。この調査は単純に「貴方は恋人に身体的暴行/心理的攻撃/経済的圧迫/性的強要の何れかを受けたことがありますか?」と尋ねたものだ。当然この質問では相手から叩かれたり悪口を言われた経験があっても「まぁこれぐらいはDVとは言えないかな?」という意識を持つ方は「自分はDVを受けてない」と答えるだろう。それ故に「貴方がどう思うか?」ではなく「ナニをされたか?」調査だと全く異なる結果が出た。
2018年に四天王寺大学は「大学生におけるデート DV 被害の男女差」を調べるべく中国・近畿・北陸地方の大学および短期大学に所属する616名に調査を行った。この調査の面白い点はDV経験率を「貴方はどう思うか?」ではなく「こういう事を恋人にされたことはあるか?」で調べたことだ。結果は以下のようになった。
暴力行為を一度でも受けた経験がある者とない者の割合に男女で違いがあるか,χ2 検定を行った(Table1)。“精神的暴力:束縛”,“精神的暴力:軽侮”,“身体的暴力・脅迫”では人数の偏りが有意であり,残差分析の結果,暴力行為を受けたことがある者の割合は男性が女性より高かった。“性的暴力”のみ男女で偏りがなかった。いずれの暴力行為も受けたことがない者は女性 82 名(交際経験のある女性の 30.71%),男性 11 名(交際経験のある男性の 16.92%)であった
女性の被害経験率もこの手法で内閣府の被害経験率と比して21→70%と激増しているが、男性のそれは11→84%と凄まじい。被害の繊細さについて男女差があるのは否定しようがない。
まとめれば「男性は性被害者にならない」「女性は性加害者にならない」という神話は、刑事司法制度の男性差別と、性被害に対する敏感さの性差によって構築されている。
我が国における刑事司法制度は、残念ながら理念に反して全ての事件を平等に処理する中立的なメカニズムではない。事実上支配的な「男性加害者/女性被害者」というパラダイムに合致しない事件を体系的に排除するフィルターだ。この選別プロセスは、被害者が不信を予測して報告を断念する自己フィルタリングから始まり、警察による事件の不受理や捜査の優先順位付け、検察官による不起訴処分、そして最終的な量刑の格差に至るまで、あらゆる段階で作用する。その結果、公式な有罪判決データは、現実を極度に歪めた鏡像となり、ステレオタイプ的な犯罪を過剰に映し出す1方で、女性による男性への性暴力のような、非典型的な犯罪をほぼ完全に不可視化してしまうのだ。
次に性被害に対する敏感さの性差だが、これは決して「男性は鈍感で、女性は繊細である」といった生得的な性質の問題ではない。むしろ社会が長年にわたって男女双方に課してきたジェンダー・ステレオタイプを内面化した結果として生じる、後天的な認識の歪みなのである。女子更衣室はあっても男子更衣室のない学校、酷い時は廊下で着替えさせられる男子、外から用を足してる姿が見えるトイレ、抱かれたくない男性芸能人ランキング、カジュアルに使われる「非モテ」「チー牛」「弱男」etc、要するに男性は性加害されることがデフォルトかつ性的尊厳を貶められ続け、最早それらを自明のモノとして性被害と認識すら出来ないようになっているのだ。
この認識のギャップは、自己申告に基づく被害調査の結果にさえバイアスをかけ、刑事司法制度の男性差別的なフィルター機能をさらに強固にするという悪循環を生み出す。被害者が被害と認識しなければ、そもそも相談や通報には至らない。その結果、統計には現れず、社会問題として不可視化され、支援制度も整備されない。この支援の欠如が、男性被害者をさらに孤立させ、声を上げることを1層困難にするのである。
我々が「性暴力の現実」として目にしてきたものは、あまりにも偏っていた。それは、刑事司法制度という強力なフィルターと、社会的に構築された「被害認識」の性差という、二重のメカニズムによって封殺・選別された後の、歪んだ風景に過ぎない。
公式犯罪統計が示す「性犯罪者の99%は男性」という数字は、現実を反映したものではなく、この2重の封印によって「男性加害者による犯罪しか犯罪として扱われない」ように構築された結果なのだ。
余談
これは「女性は性加害者になり得ない」という神話を解体する為に、敢えて
・男性の性被害暗数
・警察や司法や社会による男性性被害/女性性加害の封殺
・性被害の敏感さの性差
の3つに絞って書いた浅い記事だ。これらの事実は広まる事に意味があるので、この記事の著作権は無断改変以外の全てを破棄する(スクショや引用、また商用利用もご自由に)。
恐らくこれからの男女論はあらゆる男性有害優遇の神話が解体されていく中で「女性は性加害者になりえない」「性被害を受けるのは常に女性」は騎士・女性側にとっての最後の砦になるだろう。しかしこの神話は男性…特に脆弱な立場に置かれている男性を現在進行形で苦境に追いやってるものであり、イデオロギー闘争と併せて早急な解体が望まれるものだ。
また女性の性加害を引き起こす脳やホルモンの性差や、フェミニズムによる脳の変形等の深掘りは別の機会に多分書く。



コメント
4それならそれで、男性には「自力救済」の特権を認めるべきでしょう。
それこそ、反撃して女を殺しても無罪になるくらいの。
そしてそういう暴力的な男性であればあるほど、女は股を濡らす生き物でもあるのでwin-winでしょう。
男性が望むのは、救済されるといった女々しいことではなく、己の武器を何の気兼ねもなく自由に行使できるようになることですので。
社会の各層で「こういったものだ」という性別の偏見が凝縮していった結果だけを見ている社会がなんと歪んでいることか。
近年の報道で、性犯罪の被疑者が「性的暴行」を行ったと報道されるが、「性的暴行」とは具体的になにをやったのかを明らかに言わないケースが多い。
「性的暴行」というが「暴行罪」に当たるようなことを被疑者はやったのか、はなはだ怪しいケースが多い。
視聴者に予断を与えるような報道は、公正な裁判を脅かす重大な人権侵害である。
司法、立法、行政、マスメディアからチン騎士フェミに支配されたこの絶望的状況。女の我田引水ご都合主義にNOと言える男になり、女の要求に立たなくなったチン子を鳴らすチン騎士ヒヒ爺どもを権力の座から追い落さねばならない。
これも、暴力犯罪についての、酷すぎるジェンダー格差は、むかしからアメリカの犯罪学では指摘されていて、その原因の一つとして、"警察官の<騎士道精神>"が挙げられてましたが、結局は、それが一番の原因だったことになるわけです。