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【ファクトチェック】「斎藤知事が移民政策を進めている」という主張は事実か?→誤り

はじめに

SNS上で一部、
「斎藤元彦・兵庫県知事が移民受け入れ政策を進めている」
「外国人『第二のふるさと』プロジェクトは移民推進だ」
といった主張が拡散されています。

しかし、国の所管省庁資料および兵庫県が公表している公式政策文書を確認すると、これらの主張はいずれも事実に基づいていません。

【結論】
兵庫県の政策は「移民政策」ではありません。
国の「第二のふるさと」プロジェクトの枠組みを活用していますが、これは観光・交流を目的とした関係人口の政策であり、制度上も政策目的上も、移民とは関係がありません。

以下では、一次資料に基づき誤解の構造を検証します。


① 「第二のふるさとプロジェクト」は移民政策か?

結論から言えば、違います。

「第二のふるさとプロジェクト」は、観光庁が所管する国家プロジェクトであり、その目的は以下のとおりです。

・若者や旅行者が、特定の地域に継続的に関わる関係を築くこと
・「何度も通う旅」「帰る旅」といった新しい国内旅行の新たなスタイルの促進
・交流人口・関係人口の拡大による地域経済の活性化
国内を前提とした二地域居住・多地域居住や移住の促進

このプロジェクトは、観光・地域振興を目的とした関係人口政策であり、外国人の永住や定住、人口構成の転換を目的とする「移民政策」ではありません。

公式資料:


② 兵庫県地域創生戦略はいつから始まったのか

兵庫県の地域創生戦略は、斎藤知事の就任以前から策定・実施されている政策です。

第1期:2015〜2019年度(井戸敏三知事時代)

公式資料(兵庫県地域創生戦略 概要)には、次のような記載があります。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk07/documents/h30sennryakugaiyou.pdf

・国内外を往来する人・情報・もの・資金の創発・発信拠点に
・五国ならではのオンリーワンの魅力が国内外の人々を呼び込む

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「国内外の人々を呼び込む」 という表現が明確に用いられており、交流人口・来訪者の増加を強く意識した内容でした。

重要なのは、この時期は斎藤知事ではなく、井戸県政時代であるという点です。


③ 第3期(2025〜2029年)で何が書かれているか

問題視されている「外国人『第二のふるさと』」という表現は、第3期兵庫県地域創生戦略に登場します。

該当部分は次の通りです。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk07/2025chiikisousei/documents/dai3kitiikisoueisennryakugaiyou.pdf

③外国人「第二のふるさと」プロジェクト
- 外国人が安心して暮らし、働ける地域づくり -
地域に暮らす外国人が兵庫を「第二のふるさと」として、安心して暮らし、働ける環境の整備に向けた取組を推進します。

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ここで注目すべき点は以下です。

  • 対象は 「地域に暮らす外国人」

  • 新たに外国人を「呼び込む」とは書かれていない

  • 内容は

    • 多文化共生の基盤づくり

    • 外国人労働者の就労・定着環境整備

    • 外国人の子どもへの教育支援

つまり、すでに日本・兵庫県に居住している外国人への生活・就労支援策であり、新たな流入や永住を前提とした「移民政策」ではありません。

また、戦略推進プロジェクトのスライドは以下の通りです。

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外国人施策は、地域創生に関する6分野のうちの1分野に位置づけられているにすぎません。


④ 外国人労働者数の増加=移民政策なのか?

「県内外国人労働者数が現状 57,375人 → 令和11年(2029年)80,000人となっているから移民を増やす政策だ」という主張も見られます。

しかし、これも概念の混同です。

  • 外国人労働者:
    在留資格(技能実習、特定技能、技術・人文知識・国際業務など)に基づき、期限付きで日本国内に就労する者

  • 移民政策:
    永住・定住を前提とした人口政策

この数値は、人口減少・労働力不足を前提にした需要推計であり、永住者や定住人口を増やす政策思想を示すものではありません。

もし移民政策であれば、文書には以下のような記載が必要です。

  • 永住権・定住資格の拡大

  • 家族帯同の恒常化

  • 人口構成を変えることを目的とした明示的方針

しかし、そのような記載は一切ありません。

記載内容から読み取れるのは、すでに地域に暮らす外国人が、適切な教育や就労環境のもとで安定して働けるよう支援する政策です。


⑤ 「出生率目標が下がっている=日本人を減らし、外国人を増やす方針」は事実か?

結論から言えば、事実ではありません。明確な論理の飛躍です。

兵庫県の第3期地域創生戦略では、合計特殊出生率について次のように記載されています。

  • 現状値:1.29

  • 令和11年(2029年)目標:1.27

この数値を根拠に、「出生率目標が下がっている → 日本人を増やす気がない → だから外国人(移民)を増やそうとしている」という主張が一部で見られます。

しかし、この因果関係を裏付ける記載は、戦略文書のどこにも存在しません。

前提として、日本全体の合計特殊出生率は長期的な低下傾向にあり、2024年の全国平均は 1.15 です。

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(令和6年 人口動態統計月報年計(概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/dl/gaikyouR6.pdf)

その中で、兵庫県が 全国平均を明確に上回る1.27を目標として設定している ことは、

  • 日本人を減らす意図を示すものではなく

  • 少子化が進む現実を前提に、減少幅を抑えるための現実的な目標設定

に過ぎません。

また、出生率目標と、外国人施策(多文化共生・就労環境整備)は、政策目的も対象も異なる、別個の施策です。

戦略文書には、「日本人を減らし、外国人(移民)で人口を補う」と読み取れる記述は一切ありません。

したがって、出生率目標の数値のみを根拠に「移民政策だ」と断定する主張は、統計の読み違いと政策概念の混同によるデマと言えます。


最後に(まとめ)

本記事で検証してきた内容を整理すると、以下のとおりです。

  • 「第二のふるさとプロジェクト」は、国家レベルの観光・地域振興政策であり、移民政策ではない

  • 兵庫県の地域創生戦略は、斎藤知事就任以前(井戸県政時代)から継続して策定・実施されている

  • 第3期戦略における外国人施策は、すでに地域に暮らしている外国人の生活環境・就労環境の整備が中心である

  • 外国人労働者数の目標は、人口減少と労働力不足を前提とした需要推計であり、移民政策を意味するものではない

  • 出生率目標(1.29 → 1.27)は、全国的な少子化傾向を前提に減少幅を抑えるための現実的な設定であり、「日本人を減らす方針」を示すものではない

以上を総合すると、斎藤知事が「移民受け入れを進めている」「日本人を減らし、外国人を増やそうとしている」とする主張は、政策文書の文言・時系列・制度設計を正しく理解しないまま、結論を飛躍させたものと言わざるを得ません。

印象や憶測ではなく、一次資料に基づき、文脈と制度を踏まえて冷静に検証することこそが、本来求められる姿勢です。


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