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【予言】2026年は論理ゲート式ニューラルネットワークが爆発的に進化する
はじめに
近年、Self-AttentionやTransformer, 拡散モデルなど様々なAIモデルが発達し、世界が大きく変わっています。そのどれもが巨大なテンソルを用いて推論や学習を行っており、その結果数千億をかけてGPUを大量に使う戦術へとシフトしていきました。
そんな中、全く新しいハードウェアが近年注目されてきており、GPUの数千倍効率が良い場合も存在しています。今回は私が専門でやっている論理ゲート式のニューラルネットワークについて解説していきます。
結論
- 論理ゲート式ニューラルネットワークでTransformerが開発される
- または、Attention, ViT, LSTMなど、ANNで実現されてきたアーキテクチャがほとんど実験される
- DDLGN, CDDLGN, RDDLGN, LDDLGNあたりの技術がより発展し、様々な分野での検証が始まる
- 一部の分野においては、GPUを超え始める
論理ゲート式ニューラルネットワークとは
ANN
Deep Differentiable Logic Gate Networks
CNN
Convolutional Differentiable Logic Gate Networks
RNN
Recurrent Deep Differentiable Logic Gate Networks
- 論理ゲートでニューラルネットワークを作る手法
- 論理ゲートは微分不可能なので、16種類のゲートを重ね合わせてBPで学習させる
- その際、柔らかいANDなどを使って微分可能にしている
- その他にも方法はあるが長くなるので割愛する
Googleの微分可能論理セルオートマトン
Googleも興味を持っている。
実際に触れるのでやってみると面白い。
詳細は私が書いたブログに書いてあるのでご覧ください。
なぜ爆発するのか
- たった2~3ヶ月の期間でDLGNベースの論文が公開されている(早い)
- 1クロックで1層処理が終わる
- 発展途上である
- RDDLGNは既存のRNNを超えた(部分的)
- スパースかつバイナリでもEmbeddingしたものをEncode, Decodeできてしまった
- CNNでもANNとほぼ同等性能が出ている
- AIの演算量が増えすぎている。LLMなどがその例
- DLGNなどの専用ハードで解決可能なため
どうなっていくのか
- LLM, 動画生成, Attention, ViT, CNN分野など、既存のANNがやってきた領域に活動を広げ始める
- 専用ライブラリの登場
- BPに変わる新しい学習アルゴリズムの登場
- 専用ハードの登場
価値がないのでは?という問いに対して
- 結論、多くの人のバイアス(思い込み)にすぎない
- 論理ゲートにしても計算量は変わらない
- 1クロックで1層処理が終わるのでGPUに圧勝
- まず、クロックの概念すら知らない人が圧倒的に多い
- 論理ゲートは離散値なので微分できない
- DLGNの論文を読めばやわらかい論理ゲートが構築可能なことがわかる
- GPU最強!神!
- GPUはGraphics Processing Unitであり画像処理に特化したものであり、ML向きではない
- 行列演算、並列演算がMLに向いているだけという話
- 事実、TPUをGoogleが開発したのもその理由
- 今後、人工知能チップ回路が開発される
- GPUは行列演算が得意なだけで、AIが得意なわけではない
- GPUはGraphics Processing Unitであり画像処理に特化したものであり、ML向きではない
- FPGAでAI実装しても意味ないでしょ、GPU=行列演算に最適化されたFPGAなのだから
- そもそもGPUが100%AIに向いているという認識の時点で全てが間違っている
- FPGAでAIを実装する方法は高位合成だけではなく、実際には2通り存在する
- 高位合成
- ロジックゲートレベルでの実装
- DLGN, LUT-Networkはこちらに該当する
- 論理ゲートにしても計算量は変わらない
まとめ
- 論理ゲート式ANNが熱い
- バイナリ、論理ゲート式のANNについて勉強するのがおすすめ
- ハードウェアにも手を出すと面白い
- GPGPU, FPGA, LUT, 論理ゲートなどのML以外のハードの側面を理解していないと全く話にならない世界が存在する
筆者について
- BP以外の学習アルゴリズムを調査、開発
- AP法(独自開発)
- 微分不使用
- DFA, DLGNに比べて圧倒的に演算量が少ない
- 全ての重みを並列で更新可能
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Discussion
普段の活動、興味深く拝見させてもらっております。
この度のニューラルネットワークにおける論理ゲートの可能性に関するサーベイは、非常にワクワクさせられる内容でした。
その上で、あらかじめ私が機械学習の専攻ではないことを明記しつつ、論理ゲート式ニューラルネットワークに対するある疑問について知見をいただければ、と期待しております。
まず、理論的前提として論理ゲートは組み合わせれば、N個のBool値の入力2^N通りに対し、任意の出力を合成できることは広く知られた事実です。
これは、すでに論理ゲートが高い表現力を持つことの証左でもあります。
しかしながら、任意の Boolean 関数を理論的に表現可能という点では成功したとして、Boolean 世界には次のような根本的な性質があります。
したがって入力値がわずかに変化しても、出力が不連続に変わる可能性が理論上排除できない。これはベクトル空間における連続性仮定(類似入力に類似出力を返す仮定)と決定的に異なり、結果として、知能的推論に不可欠な帰納バイアスが欠落した状態からのスタートとなるのではないでしょうか?
また、入力をBoolean基底空間に写す際に、本来相関があるはずの情報も二値化の過程で直交する異なる基底に写されることになり、結果的に論理ゲートベースNNはこの相関を1から学びなおしということになり、学習を難しくしていると言えるのではないでしょうか?
この点は LGN が示す高速推論という利点と引き換えに、理論上、汎化能力の根本的欠如を内包していると考えられます。
論理ゲートベース NN の構造はしばしば極端なスパース性と局所計算に基づきますが、論理パラメータが「世界をどれだけ効率よく圧縮できるか」という観点では不安定性を抱えています。
真理値表そのものは指数的自由度を持ちますが、実際の問題構造は連続的・幾何的な相関性を持つことが多く、Boolean 基底ではそれを自然に表現できません。
AI が少数の観測から広い世界を推論するためには、経験則や意味的近傍の一般化が必要であり、ベクトル空間ベースの学習はこの点において成功しています。これは、類似性を内積や距離で量化できる、関数の滑らかさや低ランク表現が利用できるといった連続値ベクトル空間の強みが生かされた結果です。
しかし論理ゲートベース NN はこの帰納的仮定を持たないか、弱い形式でしか持ちません。論理ゲート表現は任意関数の正確な符号化を可能にするが、その構造はむしろ記憶/暗記的であり、知能的推論の核心である一般化を自明には保証しないと考えるのが自然です。
これらを踏まえると、論理ゲートベース NN は ルールベース推論やハードウェア効率優先の限定的領域には有用でも、汎化・学習主体の AI 全般には本質的な制約を抱えると考えていますが、理論的にこれらの数学的な課題はどのように解決されるとお考えでしょうか?
コメントありがとうございます。ご指摘は「論理ゲート式 NN が理論的に表現力を持つこと」と「学習や汎化がうまくいくこと」は別問題であり、後者に関して本質的な懸念があるのではないか、という点に集約されていると理解しました。これは重要な問題提起であり、多くの点で私も同意します。
まず前提としてご指摘の通り、論理ゲート(Boolean関数)はNビット入力に対して任意の真理値表を構成でき、表現力という意味では完全です。しかしそれは「記述可能性」の話であって、「少量データから学習して未知入力に一般化できるか(汎化)」とは別です。ここを分けて議論されている点は非常に的確だと思います。
ご懸念の中核である
という点についても、「素朴な Boolean 回路」や「単純な二値化」を前提とするなら、その通りだと思います。実際、真理値表ベースの表現は指数的自由度を持ち、構造的制約が弱い場合は暗記的になりやすく、汎化が難しくなるのは自然です(その回路を組む際の回路面積が実現可能かどうかの話は置いておくことにします)。また、入力を雑に二値化すれば、本来連続的・幾何的に相関していた情報が壊れ、「相関を一から学び直す」必要が生じるという指摘も妥当です。
一方で、私が記事で取り上げた DLGN / LUT-Network系の研究は、その弱点をそのまま放置した「純粋な Boolean 世界」ではありません。重要なのは次の点です。
学習中は連続緩和されている
DLGNでは AND / OR などの論理演算を連続関数で近似し、複数の論理ゲート(例:16種類)を「重ね合わせ」として扱います。これにより学習時には勾配が流れ、入力の小さな変化が出力に急激な不連続を生む状況はかなり緩和されます。最終的に推論段階で離散化される、という二段構えです。実際、DLGNの論文ではやわらかいAND, OR, XOR等を用いてBPを行っています。LDDLGNはこれを一般化したものであり、さらにそのコア技術は遥か昔に存在しているLUT-Networkと全く同じだと認識しています。
帰納バイアスは“値が連続か離散か”より“構造”で入る
CNNが強い理由は実数であること自体よりも、局所性・重み共有・階層構造といったアーキテクチャ由来の帰納バイアスです。同様に、Convolutional DLGN では畳み込み、OR pooling、残差的初期化などを導入し、「論理ゲート表現 × 幾何構造」という形で帰納バイアスを明示的に注入しています。
つまり「Booleanだから帰納バイアスが入らない」のではなく、「どう入れるかが設計問題」だと考えています。
二値空間でも“意味のある距離”は学習できる
ご指摘の通り、素のハミング距離は意味的近さを保証しません。しかし、バイナリ埋め込みやハッシュ学習の分野では、「意味的に近いものがハミング距離でも近くなる」ように表現そのものを学習します。距離が意味を持たないのは前提次第であり、不可避ではありません。論理ゲートNNがダメかどうかは、0/1そのものではなく、"意味を保った0/1を作れているか"で決まると解釈しています。CNNの場合は意味を持った0/1を後ろの段に持っていくことができ、またそれをDLGNはBPで実現することが可能です。
汎化の問題は“本質的欠如”というより“設計次第のトレードオフ”
二値化・論理化は確かに自由度を減らし、表現を硬くしますが、それは同時に正則化として働く側面もあります。実際、BNN や量子化NNが工夫された学習手法と組み合わさることで、一定の汎化性能を示していることは経験的にも確認されています。
以上を踏まえた私の結論は、あなたの懸念と多くの部分で一致しています。
したがって私の立場は、
というものです。
その意味で、論理ゲートベース NN は「何でも置き換える万能解」と断言しているわけではなく、
といった文脈で価値を発揮しつつ、汎化を成立させるための構造設計が研究テーマとして残っている領域だと考えています。
ご指摘はその核心を突いており、非常に建設的な問題提起だと思います。
RDDLGNに関しては、Embeddingの次元を増やすことでバイナリでもある程度の精度を出すことに成功していますし、バイナリだけで小数点を近似することは理論上では可能なので(回路サイズは増大しますが)、これもまた構造設計、アーキテクチャの問題に回帰すると考えております。
この記事は、論理ゲートが最強!GPUは最弱!という話をしているわけではなく、特定のドメイン領域において論理ゲートやDLGN, LUT-NetworkがGPUに勝る場面があることを示しており、2025年から自然言語処理やRNNへの応用が始まったというContextを踏まえ、2026年にはさらに研究開発が発展するだろうという私の予測になります。