荻窪の元祖寿司が謎に美味しすぎるのだがその理由が誰にもわからない件について
結論から言おう。JR中央線荻窪駅にある元祖寿司が群を抜いて美味すぎる。
我慢できずにお店の人にその理由を聞いてみたのだが、わからなかったのだ。
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初めて食べたのは2年ほど前だっただろうか。
その日、なんてことない用事のために荻窪に来た私は昼飯に軽く寿司でも食べるかと元祖寿司に入った。
だが口にして衝撃を受けた。
「不自然なほど美味しすぎる」のだ。
あらかじめ言っておくが、この美味しさは相対的なものである。
例えば築地の寿司大であるとか、そうした有名店……1万5000円くらいから予算を見るべきお店とかと比べて、美味すぎるというわけでは無い。
だがどう考えても元祖寿司にしては不釣り合いなほど美味いのだ。
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元祖寿司のポジションを再確認する。
元祖寿司は「安い回転寿司だが、安すぎない」程度のお店だ。
例えばかっぱ寿司、はま寿司、くら寿司、うお米……といったファミリー回転寿司よりは少し高いし、ちゃんと雇われた寿司職人が握った寿司が出てくる。
メニューに、サラダ軍艦とかツナマヨはあるが、ハンバーグや天ぷらの寿司、チーズケーキやラーメンなどは無い。
だが銚子丸や活美登利よりは安い。そんなポジションのお店だ。
『孤独のグルメ』原作で吉祥寺にある天下寿司で、奥さまに囲まれた井之頭五郎がタイムサービスの大トロを食べるという回があった。元祖寿司のポジションはあのあたりに近い。高級では無いが、最安ではないし寿司っぽい寿司が出てくるというお店だ。
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だが荻窪の元祖寿司はそうしたポジションからすると違和感があるくらい美味い。美味しくったら嬉しいだろと思われるかもしれないが、あまりに想定より美味しいので、不思議な気持ちが勝つのだ。
例えば池袋のデパート郡にはトリトンや活美登利といった少しお高めの、デパートで飯を食うぞという客を狙った回転寿司がある。どちらもいつ行っても行列ができている人気店だ。
また、立ち食い寿司ではさくら寿司や寿司常も相当に美味しい。池袋には何気に回転寿司や立ち食い寿司が乱立しており、群雄割拠なのだ。
だが正直、荻窪の元祖寿司はそれらに匹敵すると思っている……。
上野や東京には根室花まるというこれまた人気の高級回転寿司があるが、さすがに公平に言ってそっちの方が美味しいとは思う。だが行列や値段まで考えると……。
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ではそもそも元祖寿司が美味しい可能性はないだろうか?
当然、私もそう思いことあるごとに各所の元祖寿司を試した。
新宿の東口、南口と西口の3店舗、池袋、中野、飯田橋……。
だがどれも「美味しいが、この値段の回転寿司はこんなもん」の域を出なかった。
もちろん、そうしたものを食べるたびに「やはりあれは夢だったのか?」と私は荻窪の元祖寿司に足を運んだ。だがやはり、荻窪の元祖寿司は2ランクくらい美味いのである。
昨年12月に吉祥寺の元祖寿司に行ったが最悪だった。
シャリはパサパサ、ネタはカピカピで寿司に求めるべき喜びは何もなかった。偶然ものすごい下振れに当たってしまったのかもしれないが、その日は満腹になってないのに3皿くらいで中座した。
そして今日。1月6日。私はまた、あれは夢なんじゃ無いかと荻窪の元祖寿司に向かったのだ。
やっぱり美味い……。
文字通り雲泥の差である。雲のような寿司だ。
なんでだっ!?
おかしいだろ! なんで同じチェーン店の寿司の味がこんなに違うんだよ!
もしかして名前やノウハウだけ与えてるフランチャイズで、全店独自にやってたりするのか?
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この2年間(たぶん)の違和感にケリをつけるため、私はお店の人に聞いた。偶然にもその日握っていたのは店長さんだった。
「すいません。元祖寿司の中でこのお店だけ不思議とやたら美味しいんですけど……なぜなんですか?」
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謎を解明するために我々は荻窪に向かった。 しかし謎は深まるばかりだった…