高知県は、全国チェーン企業にとって“最後のフロンティア”と呼ばれてきた。サイゼリヤやバーミヤン、やよい軒などの大手外食チェーンが今なお未進出で、セブンイレブンの店舗数も全国最少。ビジネスホテルの定番である東横インやルートインすらも進出していない。
そうした全国チェーンが入り込みにくい難攻不落の市場で、確かな存在感を放ってきたのが、県内15店舗を展開するローカルチェーン「現代企業社」だ。創業以来、全国チェーンとは一線を画す独自路線を貫き、県民のニーズを着実に囲い込んできた。その原点は、昭和30年代に芸術家たちが集った喫茶店「ファウスト」にあった。
はたして、どんな工夫や戦略で、高知県民に愛される飲食店として不動の地位を築いてきたのか。副社長の大西みちるさんに話を訊いた。
前編記事『サイゼリヤもジョナサンも未進出、ドンキは全国ラスト出店…高知県が日本最大の「チェーン空白地帯」である理由』より続く。
一時は県外に進出するも、目の届く範囲で店舗を展開することに
カフェという空間の需要の高まりから喫茶店が乱立し始めると、次第に常連たちはちりぢりになり、時代の変化と共に客層も変わっていった。「現代企業社」は次の活路を見出すべく、高度経済成長期とモータリゼーションの時代であることを踏まえ、郊外型レストランへとシフトする。
とっかかりとなった郊外店「レストラン高知」は、昭和46年にオープン。高知市内から国道33号を車で走ること約40分、何もなかった2000坪という広大な土地に、いきなり全200席の大箱のレストランをドーンと建てた。ゆったりした店構えで、現在も人気を博している。
「これまで、開いたもののうまくいかない店舗や郊外に進出するもつぶれてしまった経験も相当あります。とくに県外だとお店を見回ることができない。結局、自分たちが毎日通えるぐらいの距離じゃないといかんな、という結論に至りました」