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ピンクの象を考えない/Novel by 不璽王

ピンクの象を考えない

22,181 character(s)44 mins

十四歳の大塚加子は、十五歳の大塚加子を殺して埋める。十五歳の大塚加子は、十四歳の大塚加子を殺して埋める。どちらのそばにも、大塚加子の同級生である新城優姫が老人の姿で立ち会っている。

十四歳の大塚は、老人ホームに職業体験へ行く。同級生の新城と一緒に行くはずだったのだが、新城は昨日から家に帰っていない。職員に「入居者さんの話を聞いてあげて」と言われ案内された部屋には、老人になった新城がいる。彼女は自分が老人になったわけを語り始める。

「あたしね、残機が九十九機あったの」

神に残機をもらったこと。死ねば残機を貰った時間に戻れること。そして、死の瞬間に強く思っていたものを次の人生に引き継げること。新城は大塚に語り続ける。朝から始めたのに、昼を過ぎてもまだ語り終わらない。

新城は様々な人生を通過したと語る。思う様に生き、普通に生き、次の人生のために生き、そして死ぬたびに様々なものを引き継いだことを。五百円玉。失くした指。未来の情報を書いたノート。ソシャゲを遊べるスマホとサーバー。引き継いだものを置くための倉庫。マット運動で使うマットレス。老い。そして、十五歳の大塚加子。

引き継がれた大塚加子は倉庫で目を覚ます。そして老人ホームを目指して移動する。

新城は語る。二人の大塚加子がいることを。以前の人生で殺し合いがあったことを。そして言う。
「今回はどうするの?」

十五歳の大塚は新城の部屋に入ると、十四歳の大塚と力を合わせて新城の命を奪う。二人の大塚は新城に、落ちてくる核爆弾のことを考えさせる。

次の人生で目を覚ました新城優姫は、爆弾が落ちてくる音を耳にする。

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    友情、永遠の愛、誠実、信頼、死んでも離れない
      ──アイビーの花言葉

    「やろう、ぶっころしてやる。」     「きゃあ、じぶんごろし。」       ──藤子・・不二雄「ドラえもんだらけ」

👉🔁 🚺×28

 大塚加子は目を覚ます。彼女は十五歳である。
 体育の授業で使われるようなマットレスの上に寝そべっている彼女は、すぐそばに一枚のメモがあるのに気付く。そこにはこう書かれている。
 「大塚加子は今十四歳だ」
 メモを目にした彼女は、それが真実であることを知っている。

 大塚加子が目を覚ましたのは、建物の中である。自宅ではない。
 仕切りのない建屋の中には、物が溢れている。倉庫というには整理されておらず、かと言って工場にも廃墟にも見えない。体育館が物を詰め込まれたらこんな風かな、と大塚は思う。トタンの天井が一部明かり採りのため半透明になっていて、今が夜ではないことがわかる。整理や手入れがされているようには見えないのに、不思議なことにどこも埃を被っていない。

 辺りを見回した大塚は、自分が裸であることに気付く。普段は結んでまとめている、量が多くてふわふわと広がる髪が肢体にまとわりついている。マットレスの横に畳まれていた学校指定のジャージと運動靴を身につけ、シュシュで簡単に髪を括る。ジャージの胸に付いていた名札には〔新城〕と書かれていた。  側には他に、手提げ式の金庫がある。  「ご・苦・労・さん」  大塚が呟きながら解錠番号をプッシュすると、カチリと音を立てて金庫はその蓋を開く。中には一冊のノートと、五百円玉が入っている。ノートの頭の方をペラペラと捲ると、読む気を無くした大塚はすぐにそれを閉じる。  ビニール袋を見つけると、一緒にさっきの五百円玉や見つけたカードをそれに突っ込む。ついでにノートも。そうして、建物の外へと向かう。

 道路に出た大塚は、すぐにそこが学区内であることに気付く。迷わずに帰れることにホッとした大塚は、太陽の方角から今が朝方であることを知る。町を暖め始めた日差しを手で遮りながら、家へと歩く。帰ってきた大塚を玄関で出迎えた母親は、まだ帰ってこないはずの娘が帰ってきたことに戸惑う。
 「今日、学校ある日だっけ」
 泣きそうになるのを我慢しながら、大塚加子が母親に尋ねる。
 「何馬鹿なこと言ってるの。あんた職業体験で老人ホーム行ったんじゃないの」

 回答を聞くと、大塚はそのまま踵を返す。バスに乗って十五分ほどのところに老人ホームはあるが、次のバスまで時間が開いていたのを見て、歩くことにする。陽気のせいか、少し気分が良かったのも歩く理由になったのだろう。軽く汗ばんできた頃に辿り着いたそこは、名称を〔やすらぎほぉむ・アイビィ〕と言う。アイビィは数名の職員が常駐している有料老人ホームで、入居者はそれぞれ個別の区画を与えられている。  「あれ、あなた新城さんのところじゃなかった」  大塚を目にした職員が不思議そうな顔をする。大塚は「少し外へ気晴らしに……」などと口の中でモグモグ言い訳を呟きながら、職員が示唆した場所へと向かう。エントランスにある案内図によると、新城という入居者がいる区画は老人ホームの一階南側半分ほどを占めていて、日当たりのいい庭までついている。いくら払えば住めるんだろう、と大塚は思う。  新城の区画へ行き、ノックをする。返事を待たずそのドアを開ける。

 部屋の中には、電動ベッドにもたれかかった老女と、丸椅子に腰掛けたもう一人の大塚加子がいる。

 ドアを開けた大塚は、何を言えばいいのか分からないことに気が付く。口を開けても話す言葉が見つからず、何となく上げた手は所在なさげにふらふらとしている。とりあえず上げた片手に合うように「よっ」と言う。入ってきた大塚と座っている大塚。二人の大塚は目を合わす。

 部屋の中に居た大塚は、手に包丁を握っていた。何に使うんだろう、とドアを開けた大塚は思う。包丁を腰に構えた大塚が丸椅子を後ろに倒す勢いで突進してきて、身体ごとぶつかられてもまだ状況を把握できない。「よっ」の形をしていた自分の口から驚きの声が漏れているのを、大塚はどこか遠くなった意識で感じる。

 倒れながら、ベッドにいた老女の声が耳に届く。見た目より若々しい声。その声が元気付けるように、労うように立っている方の大塚に話しかけている。
 「頑張ったね。落ち着いたら、一緒に死体を埋めよ」

 包丁でお腹を刺された大塚は、傷口から命がトクトクと流れ出していくのを感じる。軽率だったかな、と死ぬ間際に考える。

👉🔁 🚺×27

 大塚加子は目を覚ます。彼女は十五歳である。
 マットレスに裸で寝そべっている彼女の横にあるメモには、こう書かれている。
 大塚加子は今十四歳だ。
 彼女はそれを目にして、現状を把握する。

 大塚加子はマットレスの横にあるジャージを身に付け、その横にある金庫に目をやる。金庫の上にはスニッカーズが一本と、午後の紅茶ストレートティーが置いてある。スニッカーズがピーナッツではなくアーモンドだったので、大塚は珍しいな、と思う。  「ご・苦・労・さん」  解錠した金庫の中にはノートと五百円玉がある。大塚はスニッカーズを食べながら、取り出したノートを読む。読み進める。読みながら「頭に糖分が行き渡ると、集中が途切れないな」と思う。ペットボトルが空になる頃、大塚はノートを読み終わる。  ノートを読み終わった大塚は、建屋の中にある色々な物(それらは圧力鍋、フォークリフト、スマホ、球体関節ドール、携行缶に入ったガソリン、交通系カード、サーバーラックなどといった、脈絡のない物である)の中から工具箱を見つけると、そこから釘抜きを一つ取り出して持っていくことにする。裸で持ち歩くと目立つので、ジャージの袖の中に隠すように。肘は曲げられないが、仕方ない。暗器みたいだと思って、少しテンションが上がる。

 外に出た大塚はスマホで日付を確認し、家に帰らず来たバスにそのまま乗り込む。停留所の四つ目に差し掛かったところで停車ブザーを押す。降車口でカードをタッチし、降り立った緑ヶ丘二丁目のバス停は、やすらぎほぉむ・アイビィの目と鼻の先である。

 「あれ、あなた新城さんのところじゃなかった」と問いかけてくるアイビィの職員を、曖昧な笑顔とモゴモゴと聞き取れない言い訳で躱して一階南側へ進んだ大塚は、目的のドアを開ける。中には電動ベッドにもたれかかった老女と、丸椅子に腰掛けた大塚加子がいる。

 丸椅子に座った大塚が何も持たない丸腰であることを確認した大塚は、後ろ手にドアを閉め、ジャージの袖口から釘抜きを取り出すと、それを振りかぶった。一度目の打撃は座っている大塚の鎖骨を砕き、二度目の打撃は倒れている大塚の頭蓋骨の中にまで入り込んで、脳をかき混ぜた。その後も何度か殴打を続けた大塚は、自分の頭に血が昇っているのを感じていた。凶器となった釘抜きを手放すと、カラン、とそれが転がる音が響く。こめかみの血管が、ドクドクと脈打っている。

 「頑張ったね。落ち着いたら、一緒に死体を埋めよう」
 ベッドに座っている老女、新城はそう言って大きな窓の外を指差す。燦々と日が差し込む庭に、丁度人が入るくらいの穴が空いている。
 「庭木のね、植え替えを手配していたの。だけど植える予定の桜が届いたら、なんだか気に入らなくて、キャンセルしちゃったのよ。そういうことで穴だけ残ってるの。掘る手間が減って良かったよ」

 庭を指差す彼女の手には、指が三本しか残っていなかった。

 もう一人の自分の死体に土をかけながら、軽率に殺してしまったかな、と大塚は思う。

👉🔁 🚺×26

🕖

 大塚加子は目を覚ます。彼女は十四歳である。
 自宅で目を覚ました彼女は制服ではなくジャージに着替えると、朝食を済ませて登校する。と言っても、今日は授業があるわけではない。給食も出ないので、弁当を持参している。学校に着いたら待ち合わせていた担任の車で、職業体験先へと向かう。大塚が向かうのはやすらぎホーム・アイビィという有料老人ホームだ。

 「優姫ちゃんは、まだ帰ってないんですか」
 車内で大塚が担任に尋ねる。本来職業体験にペアで行くはずだった新城優姫は、昨日から家に帰っていない。もし無事で見つかっていたら今日一緒に行けたのに、と考える。警察へ届けも出しているらしいが、手掛かりはまだ見つかっていない。事故とも誘拐とも家出とも付かない失踪は、冗談めかして神隠しではないかと口にされることもある。大塚と新城は小学校からの友達であるため心配しているのだが、所詮中学生の身であるため、心配以上のことは何もできない。そんな状況に、余計やきもきしている。
 「まだ言えることがないんだよ。良いことも悪いことも」
 担任はそれだけを口にした。慰めや気休めの言葉として何を言えばいいかも、まだわかっていないのだ。

 アイビィに着き職員に挨拶をすませると、担任は車に乗り込んで学校に戻っていった。一人で残された大塚は心細くなる。  「今日来るのが大塚さん一人になった事情は聞いてます。お友達、見つかると良いね」  大塚は頷く。それだけで少し泣きそうになっている。  「今日は本当はね、普段私たちがやっているお仕事、入居者さんの身の回りのお世話や、施設のお手入れをやってもらおうと思ってたんだけど……」  若い職員は言葉を切ると、苦笑いを浮かべて「大人の事情ってやつでね」と共感を求めてきた。何のことか分からない大塚は首を捻る。  「話し相手になって欲しいの、新城さんっていう入居者さんの。落ち着いた雰囲気の優しい方よ。あ、お友達と同じ苗字よね」  大塚はうなずく。親と先生以外の大人の人と会話をするのに、まだ恥ずかしさがあってしっかり声を出すことができない。  「ちょっとエキセントリックなところはあるけど、悪い人でも危ない人でもないから。……多分ね」  思わず本音をこぼしてしまった職員は、慌てて取り繕う。  「ふふ、多分って言っちゃった。多分じゃないよ。なんちゃって、だよ。本当に危ない人じゃないと思うから、安心してね。今日はお話聞いてもらったら帰って良いから。帰るときは声かけてね」  お部屋はそこ、と言って案内された日当たりの良い区画には、新城優姫のネームプレートが掲げられている。苗字だけじゃなくって下の名前も友達と同じだ、と大塚はびっくりする。

 「入りたかったら入っていいよ」  大塚のノックに、部屋の中から返事がある。ファイト、と両手をぐっと握った職員はすでに持ち場に戻ろうとしている。ドアを開けると、大きな窓が目に入る。陽の光が差し込む手頃な庭は、手入れの途中なのか庭木を植えるための穴が掘られていた。壁沿いに置かれた電動ベッドが、駆動音を立て始めた。寝床が持ち上がり背もたれになると、起き上がった老女の鋭い視線が大塚の顔を突き刺す。  その視線に、既視感があった。  「え、優姫ちゃん」  大塚は親友の名を呼びかける。  「うん、あたし。へへへ、つかっち。あたし、こんなんなっちゃった」  新城はカサついた両手を布団から出して顔を指さす。左手には、指が三本しかない。  「こんなおばあちゃんになっちゃったからにはもうね、怖いもんなんかないよ」  「何があったの どういうこと」  大塚は混乱する。目の前にいる老女が同じ十四歳の新城優姫であるはずがないのに、眼差しも話し方も身の振る舞いも、全て新城優姫本人のものとしか思えない。  「とりあえず座って、ゆっくり説明するよ。役者がもう一人来るまで結構時間に余裕あるからさ」  大塚は促されるままに、ベッドのそばの椅子に腰掛ける。新城の顔をまじまじと見つめるが、やはり紛れもなく老いている。老人の特殊メイクだとしたらとてつもない出来だ。だけど少なくとも、指は本当になかった。それに、何か変だ。普通に歳をとった老い方ではない。髪の艶もないし、白髪も増えて皮膚も潤いがなく弛んでいるが、皺やシミは全然目立たない。全く紫外線にあたってこなかったかのよう。目の輝きも子供のそれだ。窓から差し込む光をキラキラと反射させて、じっと見つめると吸い込まれそうな、大塚の知っている新城の瞳そのまま。  「事件 事故」  どんな原因があればこんなことになるのか、検討もつかないまま尋ねる。  「事件も事故も、あと病気もたくさんあったよ」  「なにそれ」  ふざけてるのか本気なのか分からない。本当に説明する気があるのか。新城の行方がわからなくて心配していた気持ちを、見つかって安心した気持ちに切り替えていいのか、無事じゃなかったことで悲しむ気持ちになればいいのか分からずただ混乱している。大塚はぐちゃぐちゃした気持ちをどうすればいいか分からず、次第にイライラした気分が募ってくる。  「さっき言ったもう一人って誰。私の知らない女」  隠せない苛立ちが声に滲み出ている。それを聞いた新城は苦笑する。  「つかっちも知ってる女だよ。誰かは来てのお楽しみ……ってわけにもいかないけど、今言っても混乱するだけだしな。順を追って説明していくから、ちょっとおとなしく聞いててくれる

🕘

 あたしね、残機が九十九機あったの。

 新城優姫は、リラックスした様子で話し始める。

 昨日、つかっちがあたしと別れた後のことから話すね。学校から一緒に帰ってたでしょ。あの後別れて歩いてたら、自販機の横の暗がりに人がいたの。あそこの、ダイドーの自販機。その人に呼び止められて、まぁ人じゃなかったんだけど、余ってるからあげるよって言われて、残機をもらったの。
 女の人、人じゃないから女神かな。ってより、死神か。クラスの野澤さんにちょっと似てたよ。たくさん余ってて、持て余してたとこなんだって。残機。残機ってか、命。まぁ残機でも分かるよね、あのゲームの。
 あたし貰えるものは深く考えないですぐ貰っちゃうタイプだからさ。命がたくさんあったら便利じゃんって思って。ワンアップキノコとか嬉しいもんね。で、九十九機貰ったから、それからあたしは死んでもそこに戻るようになったの。そこってダイドーの自販機のとこね。最初のうちは、だったけど。時間も戻るの、戻んなきゃ不便だったから助かったよ。
 で、おまけに今日だけ特別サービスで特典付きよー、とか言われてさ。その特典ってのが曲者で……あ、特典の内容は最初に死んだ時のこと話しながら説明するね。

 記念すべき第一死亡は交通事故。車に轢かれて死んじゃった。しかもそれが残機が増えた翌日でさ。そう、日付で言えば今日なの。今日命日よあたし。ゼロ周忌だけど。  つかっちと二人で職業体験に行って、それが終わったところでさ。職業体験って言っても掃除ばっかりじゃんとか愚痴ってて。バス通り歩きながらね。  そしたら道に五百円玉落ちてるの見つけて、あたしそれを拾おうとしたの。つかっちより先にゲットだ って逸って、前屈みになって、お尻突き出すじゃん。したら後ろ歩いてた人にぶつかられてさ、バランス崩しちゃって。歩きスマホしてたよあいつ。あたし拾った五百円玉握ったまんま、車道に飛び出しちゃった。  そこに丁度トラックよ。何トンって積んでる車のタイヤに巻き込まれて、あれはビックリしたな。車の前から潜り込んで、後ろから吐き出されるまでを十秒くらいの長さに感じたよ。実際は一瞬なんだけどね。でさ、あたしがその間ずっと何考えてたと思う  握りしめた五百円玉のこと考えてたの、必死で。ここで手を離したら他の誰かに取られちゃうって、必死で手握ってたの。馬鹿みたいだよね、全身の骨砕かれて内臓潰されてる時に。  なんか遠くの方でつかっちの叫び声が聞こえるような気がして、死にかけで耳が遠くなってたんだね、あぁつかっち五百円玉取りに来るのかなぁとか馬鹿なこと考えながらおだぶつしたの。

👉🔁 🚺×98

 で、はっと気が付きゃダイドーの自販機横よ。あの死神と会ったとこね。そこに死神はいなかった。あたしはスマホを出して、昨日に戻ってるかどうか確認しようとしたのね、その時気付いたの。

 手の中に、五百円玉があることに。

 これがさっき言ってた特典ってやつ。死ぬたびに五百円貰えるんじゃないよ。どういうことかっていうと、死ぬ間際にあたしが強く思っているものを一つ、次の人生に引き継ぐことが出来る様になってたの。強くてニューゲーム ちょっと違うかな。ゲーム性で言うと、アイテムが一個だけ無くならない不思議のダンジョンが近い感じ。でも、人生はゲームじゃないんだよね。

 そんなわけで、あたしは次の人生に引き継げるものをある程度自由に選べるようになったの。すごいでしょ。でも美味しいだけの話じゃなかったんだよね。罠があったの。

 って言っても、もうバレバレだよね。ネタバレその一はあたしのこの老いた姿。ネタバレその二は無くなった指。ほら、なんとなく分かるでしょ 引き継げるのは、というより、無理やり引き継がされてしまうのは、物だけじゃなかったの。

 そこんとこの詳しい話はともかく、順番に話していくね。二回目の人生に突入したあたしは、五百円玉を握りしめて考えたの。この人生で何を達成すればいいのかを。

 だって最初の残機一つ使って、あとに残ったのが五百円だけだよ バカみたいじゃん。だから今度の命はもっと有意義に使おうって。まぁ、あたしそんなに頭いい方じゃないし、一人で考えてもあれかなって思って、その時つかっちに相談したんだよね。次の日の帰り道だったかな。

 「あたま大丈夫」ってまず疑われたよね。あっは。あたしが同じ話聞かされてもそう思うよ。けど思考実験っていうの ある種のお遊びとして付き合ってくれたよ。ていうか、普段からあたしたちそんなバカ話ばっかりしてたもんね。買ってもないのに宝くじ当たったらどうするとか、石油王にプロポーズされたらどうするとか。

 で、いろんな案出し合って、結局一番安パイというか、オーソドックスなアイデアがいいんじゃないかって結論になったのね。過去に戻れるんだから、未来の情報を持ち帰るのが一番いいじゃんって。ね、普通でしょ 記憶って点では持ち帰れてるけど、やっぱ限界があるじゃん。覚えておきたい情報はたくさんあるし。

 その日からあたしノートにめちゃくちゃメモ取ってさ。宝くじの番号とか、テストの問題とか。大きな事故があった場所とか国とか、南海トラフ巨大地震ってあるじゃん、あれ結構すぐ起きるんだよ。あとで日付教えてあげるから、その付近は太平洋側に居ちゃだめだからね。それと他には、あたし自身のことも。日記みたいなものよ。で、死んだ時にそのノートのことを強く考えて引き継げたら、次の人生で役立つはずって。

 そうやってメモ魔しながら過ごしてて、ある時ハッて気付いたの。次の人生のことばっか考えるんじゃなくて、今の人生を楽しむのも大事じゃんって。そうやって気が付くとさ、目の前がこう、ファアァーって広くなる感じがしたの。人生一度っきりだったら絶対できないことも、あたしやり放題じゃんって。それからは楽しかったよ。好きだった小山田くんに告白したら貰えたり、学校さぼって旅行行ったり。貯めてたお年玉はすぐなくなっちゃったけどね、どうせ死んだら戻れるんだからって思うとお金を得る手段は結構あってさ。あんまり言うと軽蔑されるから詳しくは言わないけど。

 うーん、どうしても聞きたい じゃあ言うけど。小山田くんと付き合って処女あげたあとさ、こんなもんかって思ったのね。こんなもんならまぁ、ウリでもしようかなって。送ったらすぐ会ってくれる人いっぱいいてさ。そこそこ稼げたんだよね。でも楽しくないじゃん って、聞いてもわかんないだろうけど。だからウリやってたのは、高校出るくらいまでだったかな。やめるきっかけになったのは、人生を楽しむためなのに楽しくないことするのはなんか違うなーってだんだん思い始めてきたのと、ある時やり終わったおっさんが寝だしたから財布覗いたら、札束が入ってるのを見た時かな。ピンときてしまったんだよね。自分で稼がなくても他人のお金を貰えばいいじゃんって。で、札束握りしめてホテル出ちゃった。てへぺろでやんす。

 ちょっとつかっち、てへぺろがイタいとかやめてよ普通に傷つくって。見た目おばあさんだけど心は少女なんだから。十四歳のつかっちから見たら心もおばあさんって思うかもしれないけど、年取ったらわかるよ。あのね、本当に老いるのは体だけよ。慣れとか疲れとかで大人になったように見えるかもしれないけど、実際はみんな心なんて中学生の時とほとんど変わってないんだから。

 話を戻すと、それからあたし空き巣を始めたのね。で、手に入れたお金はパーッと使うの。欲しい車買ったり、世界遺産見て回ったり、色々ね。楽しかったよ。つかっちにも付き合ってもらったし。小山田くんとは高二で別れちゃってたけどね。

 けど、結果的には空き巣は失敗だったの。つかっちもやっちゃだめだよ。言うまでもないけど、犯罪だし。空き巣ってさ、やってる内にねらい目が分かってくるのよ。換金率が高くて足がつかないものとか、ていうかもういっそタンス預金してる現金が楽だとか。そうなるとさ、あたしほら、残機がいっぱいあって怖いものがなかったから、銀行に口座を作れない人とかすっごくカモじゃんって気付いちゃって。つかっちは暴対法ってどんなのか知ってる

 あたしはさ、ヤクザって銀行使えないから現金山ほど持ってるって思って、そこ狙えば一攫千金じゃん天才的発想って思ってたんだけど、実際は違ってて。ほら今ってもう、何でもかんでもコンピュータだからさ。ヤクザだってコンピュータだったの。気合い入れてボストンバッグ持って行ったのに、現金二千万しかなくて。で、コンピュータでしょ。てか防犯カメラね。空き巣は無事に終わって逃げれたんだけど、映るのは避けきれなかったらしくて、あたしの顔がスジもんの人たちの間で指名手配。なにヤクザが防犯カメラ使ってんのよね。防犯される側でしょヤクザは。

 そう、それでつかっちと二人、盗ったお金でゆっくり有馬温泉に浸かってた時にカチコミよ。あの時は巻き込んじゃってごめんね 謝る相手が違うけど。あっは。でも、凄いねああいう人たちって。一般の人がトラブルに巻き込まれるの嫌がるって知ってるからさ、もう強引なの。脱衣所にどかどか入ってきて「新城さーん あんた自分が何したか知ってるんでしょー 逃ーげらーんないよー」ってすっごい太くてでかい声で、周りの子分は「関係ないやつぁさっさと出てけウラァ」とか「巻き込まれたいんやったら望み通りイワしたんぞコラァ」とかすごんで他のお客を逃がしていくの。逃げた人も旅館の人に言うとか警察呼ぶとかしてくれたらいいのに、あたしたちが無事さらわれるまでなんもしてくんないんだもん。知ってる 世間って冷たいの。

 ヤクザって人気の少ないところ見つけるの得意でさ、なんか廃業した工場みたいなとこに連れ込まれて、その時は秋だったのに、あたしら浴衣一枚で寒いのなんの。殴られて蹴られてしながら「金はどこだ」「誰の差し金だ」って聞かれて。あたしはもう、やらかしたーって思って諦めてたからさ、本当はまだお金残ってたけど、全部使い切ったって嘘ついたの。そうしたらワンチャン、殺してもらえるかなって。かわいそうなのは一緒にさらわれちゃったつかっちだよね。空き巣の共犯でも何でもないのにさ。あたしは何度も関係ないから帰してあげてって頼んだんだけど、そんなお願い聞いてくれる奴らじゃもちろんなくて。このまま怖い目に合わせ続けるのが一番残酷かなーって思って、それであたし、めちゃくちゃな抵抗を始めたの。手は縛られてたけど体当たりしたり、近くにいたヤクザに唾かけたり、殺せるもんなら殺してみろよって挑発したり。とにかく早く死にたかったのよね。あと、死ぬタイミングをある程度自分でコントロールしたかったの。特典ってあったじゃない 次の人生に引き継ぐ物のことを強く思って死なないといけないやつ。不意のタイミングで死んだら、思いもよらないものを引き継ぐんじゃないかって心配だったのよね。

 結果は大失敗。キレたヤクザが大型の金切鋏みたいなの持ってきてさ、それであたしの指をちょんって切ったの。簡単に切れるんだよ指。分厚い鉄とかを切る用の工具だから当然だよね。あたしもう焦っちゃって、一息に殺してくれるのを期待してたのに、拷問始まったら台無しじゃん 二本目の指もちょんって切られてお前こら何してんだバカヤクザてめえマジでふざけんなよ指がなくなったまんまになっちまったら本当に絶対後悔させてやるからなこの指の恨み覚えとけよ何十回でも玉無しにしてやるっつって恨み言を言いまくってたら、バカヤクザの子分もキレて「こんガキ兄いになん舐めた口聞いとんじゃダボハゼがぁ」ってあたしの後ろから不意打ちでトンカチみたいなのあたしのこめかみにぶち込んできて。だから不意打ちはやめてほしいってあたしあんだけ頑張ったのに。パアよ。

👉🔁 🚺×97

 あぁごめんね。思い出してたらなんだか興奮してきちゃった。それがあたしの二回目の死。またダイドーの自販機横に戻ってきて、五百円玉を握りしめてる手を見たら指が足りないの。指が切られた直後にノートのこと考えるのは難しいよね。仕方ないよ。そう簡単に割り切れるものじゃなかったけど。

 考えないのって、本当に難しいんだよ 証明してあげようか。じゃあつかっち、これから五秒間はピンクの象のことを考えないでね。はいスタート。いち、に、さん、し、ご。

 ね わかったでしょ。考えちゃだめだって思うほど考えちゃうの。ピンクの象のことなんて普段絶対考えないのにさ。考えるなって言われたとたんに頭の中に居座っちゃったでしょう。だから、考えたらだめなことは追い払えないんだよ。少なくとも死を間際にしたような切羽詰まった瞬間には、絶対ね。

 それであたし思ったのは、今度の人生は慎重に生きようというか、普通に生きようってことなの。確かに引き継ぎは重要だし、あたしの人生にとって(あ、この人生って一回死ぬまでのことじゃなくて人生全部のことね)すごく大事なんだろうけど、なんていうの、軸って言うかさ。何回も人生があって、いくらでも逸脱出来るんだったら、ベースの人生からどれだけ離れてるか分かんなかったら、いまその時の立ち位置が分かんなくなってしまうんじゃないかなって。だから一回は真面目にというか、一度きりの人生だったらどういう選択をするかって常に考えながら生きてみることにしたの。それを基点、里程標にして、その後の人生を歩んでいく指標にするの。あ、ノートにメモするのは継続してたよ。やっぱそこはね。次の人生にあると便利なものはわざわざ捨てなくていいかなって。でもヤクザの玉は潰したかな。決めたことはしとかないとね。

 まぁ、普通に生きようって考えてたから思った以上に普通になっちゃった感じかな。あんまり話すことはないんだ正直。勉強して、彼氏は作んなかったけど友達と遊んで、ていうか、つかっちとね。大学は国立行って、総合職で働いたら忙しすぎたから一般職に転職して。未来の知識もちょっと残ってたから、株式投資はしたけどね。だって一般職の給料低いもん。子育てもしてみようかなって思ったけど、男に頼って生きるのはちょっと嫌かなって思ったし、シングルマザーになってまで子供は欲しくないかなって。それにやっぱり怖いんだよね、次の人生に行ったら居なくなる子供にどう接したらいいかなんて、分かんないじゃん

 そんな感じで地味な人生送ってたら、なんか見た目もすごい地味になってきて。どこの会社でもいるじゃん、っつってもわかんないか中学生のつかっちには。あのおばさん何が楽しくて生きてるんだろうって感じの事務職のおばさん。分かる あれになってたの。そのことに気付いた時にふと思ったんだよね。あたしのベースの人生つまんないなーって。

 だからあたし、自殺したの。

👉🔁 🚺×96

 またヤクザに殺された時みたいに不意に死んだら嫌でしょ だからノートを抱いて、その感触のことだけ考えるようにしながらビルの屋上から飛んで、おしまい。自分のタイミングで死ねるのって気が楽だよ。気が付いたらあたしは中学生で、ダイドーの自販機の横で足りない指の手に五百円玉と、反対の手にノートを持ってた。

 その人生ではもう好き放題よ。真面目に生きても楽しくないって分かったからね、好きなことして生きていくの。競馬にってあるんだけどね、それたまに三億円とかもらえるんだ。宝くじとかでもお金たくさんもらったしね。そのお金で娯楽室しかないような家建てて、ゲームしたり漫画読んだり遊んだり遊んだり。

 その時にハマったソシャゲがあってさ、ガチャはいくらでも引けるから別にいいんだけど、やりこみ要素が沢山あるのがウリのゲームで、時間をかけて愛着もって育てたら推しキャラがいくらでも強くなってくれるのよね。で、強くなったらなったでちゃんと腕試しの場所があってさ、やり込み甲斐があったなあれは。そんな感じで楽しく過ごしてたら倒れちゃって。胸に急に刺すような痛みが来てさ。そのときまだ三十代だよ。不摂生な生活してると長生きできないね。

 痛む胸を押さえながら、このまま死んだらソシャゲで育てたあの子たち無駄になるのかーって考えてたら、意識がなくなっちゃった。あっさりしてるでしょ。でも、楽しかったよ。

👉🔁 🚺×95

 気が付いたら中学生、ダイドーの自販機横ね。ってかそん時はなんか違ったけど。ダイドーの自販機より大きくて邪魔なものがそこにあったの。何だと思う

 あ、ヒントね。その時のあたしは五百円玉とノートの他に、スマホも持ってました。ちっちっちっち……。はいブー。正解はね、サーバーラック。サーバーってのは、まぁ要はパソコンの凄いやつよ。それがラックって棚みたいなのに何個も刺さってるのね。あたしがハマってたソシャゲのデータが全部入ったやつよ。ユーザー規模が千万人とかのメガヒットゲームだったからさ、もう自販機の何倍もデカいしケーブルも何本伸びてるんだよって感じで、めちゃくちゃ邪魔なの。しかもそんなの持ち帰れないじゃん それに次の人生にもその次の人生にもこれが付いてくるんだよ。なんとかしなきゃなーって思って。それで、その人生では土地を買うことにしたの。

 ソシャゲ 遊べたよ。今からしたら二十年くらい未来のゲームだけど、サーバーの電源入れたらあたしのスマホのアプリがちゃんと繋がってさ。謎技術だよね。今度機会があったらつかっちにも遊ばせてあげるね。対人要素は全部死んじゃったけど。  そう、遊べる端末があたしの持ってる二十年後のスマホしかないから、プレイヤーが増えないんだよね。だからせっかく引き継いだのにすぐ飽きちゃった。あっは。

 あー、なんか話疲れちゃったな。今何時 お昼じゃん。ご飯食べようよ。つかっちはお弁当持ってきてるんでしょ

🕛

 大塚加子は目を覚まし、メモを見てジャージを着てスニッカーズを食べながらノートを読む。そして建物を出るとバスに乗り、新城ともう一人の大塚が待つ老人ホームを目指す。

🕧

 御馳走様。どこまで話してたっけ。あたしの残機、何機まで減った

 そうそう、サーバーラック。邪魔なのよでかくて。だからあたし、土地を買い上げようと思って。ダイドーの自販機の周囲全部買い上げてさ、その土地に建物作って、そこのことを思いながら死んだら引き継いだもの全部まとめて収納できるじゃん あ、そうそれ。不思議のダンジョンの倉庫よ。

 でも土地を買うのって難しくてさ、都合よく売りに出てないんだよね、当たり前だけど。まぁ札束積み上げたらいつか折れてくれるだろうし、あたしにはそのお金も用意できるよ でもせっかくなんだし、あたしにしか使えない搦め手を使うのも楽しいと思ってさ。企画したんだよね、バスツアー。

 あっは。そう、バスツアー。まずね、電話でアンケートがかかってくるのね、協力してくれた自治会の方には伊勢志摩観光バスツアーが抽選で当たりますって。本当に電話があったかどうかはどうでもいいのよ。そういう話を自治会のみんなが知っていればいいの。それでその辺一帯のポスト全部に、当選したからゴールデンウィークにバスに乗ってくれればツアーに行けますよって案内のダイレクトメールを入れといて、あとはバスと旅館手配しておけばよ。数日後には一帯が所有者不在の空き家だらけになるってわけ。

 わかんない 旅館で皆殺しとか、そんな物騒なことじゃないよ。自分の手は汚したくないし。言ったじゃんさっき、南海トラフ巨大地震が近いって。あっは。みんな運が悪いよね、地震が来る日にわざわざ被害が甚大な地域に行くなんて。たまたまバスツアーが当たったからって、ねえ

 というわけで土地が用意できました、と。あとは建物だよね。あたしもそろそろ自分が死ぬときに何考えてるかなんてわかんないよなーって分かってきたからさ。サーバーラックみたいなあんまり大きいもの引き継いじゃったら困るじゃん。だからあんまり凝った間取りとかにしたら、せっかく引き継いだのに壁の中に埋まったりするかもしれないなーって思って、結局棚とかも置かないで壁もない、だだっ広いただの空間を作ってさ。面白みがないんだよね。ちょっと広い体育館って感じ そんな感じの建物が竣工できました。さて、自殺しますかってね。ウケるよね。地震で無人になった土地に用途不明の建物が出来たと思ったらいきなり大島てるになるの。あっは。

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 気が付いたらダイドーの自販機。じゃないんだよね、その時からは。屋根と壁しかないだだっ広い空間に、五百円玉とノートを持った指の少ない女の子がサーバーラックと共に立ってました、と。

 広い空間に物がないと、なんかすごい寒々しいんだよね。でもあたしちょっとワクワクしててさ。これからあたしが死ぬたびに、この倉庫があたしの思い入れのあるもので段々と満たされていくんだっていう予感 いや理性ではわかっているのよ、そんなにうまくはいかないって。でも感情はね。まだあたしも若かったし。え 年齢は十四歳よ。当たり前じゃない。

 浮足立ってたんでしょうね。その時のあたし、すぐ死んじゃった。前の人生も土地を手に入れるだけで終えちゃったのに、二連続ですぐ死ぬなんてもったいないよね。

 死んだ理由はね、いじめ。あっは。つかっちもあたしをいじめたんだよその時。まぁ、その時だけだったけどね。人間って何なんだろうね。他の人生ではいい人だったのに、なんかの小さなきっかけが重なるとそんな風に噛み合っちゃうんだろうね。いや、その時はあたしの方にも反省するべき点があったよ 莫大なあぶく銭を稼いでそれをちっとも隠さなかったり、以前の人生で知った他人の秘密を無神経に暴き立てたりね。こう言うと酷いねあたし。でも、死ぬまでいじめるほどじゃなくない

 小山田のチンコがめちゃくちゃかわいいこと喋ったくらい別に、ねぇ

 そんな感じでクラス全員にいじめられるようになってさ。いや、全員じゃなかったかな。御影さんだけはあたしの立場に立って相談に乗ろうとしてくれたね。なんだこのブス、大きなお世話だって思って無視しちゃったんだけど、いま人生を振り返ると、結局あの子がクラスの中で一番大人だったな。うん。いまのあたしよりずっとね。それに知ってる 御影さん、高校上がったくらいからすっごい背が伸びてめっちゃ美人になるの。地味な顔だったのにびっくりするくらい化粧映えするしね。ヤバいよあれ。

 話が逸れちゃった。いじめがエスカレートしていってね、ある日あたしは体育倉庫に閉じ込められてそのまま死んだの。閉じ込められるときに、マットレスでぐるぐる巻きにされてね。もう最悪よ。呼吸すると胸が膨らむじゃない その膨らむ余地がないくらい、ぎっちぎちに縛られてるの。それに体育で使うマットレスでしょ、もう汗かなんかが沁みこんじゃってすごい臭いの。息できないし、できてもくさいし、夏だったからめちゃくちゃ暑いし。あの時は一刻も早く死にたかったね。お昼過ぎに閉じ込められて日が完全に沈むまでは生きてたから、六時間くらいは生きてたのかな。いやー辛かった。

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 で、気が付いたらそのマットレスの上で横になってるの。あの倉庫でね。体育館みたいな場所だって説明したでしょ。マットレスもあるし、あたしまだ死んでない 学校にいる って三秒くらい混乱しちゃった。見覚えのあるサーバーラックがあったからやっと現状を把握出来たけど、つまんないもん引き継いじゃったよね、本当に。

 🕑

 まだ二桁も死んでないのに、結構時間経っちゃったね。喋らないでいい細かいこと喋りすぎちゃった。いじめのこととか、本当は話すつもりじゃなかったんだ。つかっちも自分がいじめっ子になるとか、信じられないでしょ だからこれからは、重要なことだけジェストで話すね。

 そっから何回か生きて、ある人生であたし健康に目覚めたの。いろんな健康法を試したり、とにかくどんな手を使ってもいいから延命しまくって未来の最先端医療を引き継ごうとしたりね。文字通り健康のために死んだわよ、何回かは。で、その甲斐があってあたし健康なまま九十年生きたの。健康なままってのがミソよ。寝たきりになんてならずに、死ぬ間際までスパーリングだって出来たんだから。

 なのに、いくら健康でも寿命ってくるのよね。ピンピンコロリって聞いたことある それよ。健康なままあたしは死んだの。健康なのに死んじゃうんだな、老衰ってことなんだろうなって思いながら。

 わかる 思っちゃダメなのよ。老衰って言葉が、ピンクの象だったのよ。気が付いたらあたしはマットレスの上で、中学生じゃなくて老人だった。老いを引き継いじゃったのよ。流石に叫んじゃったわあたし。痛恨のミスだもの。若さが永遠に失われるってすごく悲しいのよ。何度でも手に入るものだと思ってたからね。本当に、何度も生きてきたけどあの時が一番悲しかった。

 二番目に悲しかったのはあれかな、ある時暴飲暴食しまくってたら胃腸を壊しちゃって、でも金に目を言わせて臓器移植しようとしたのね。そしたら術中に合併症が起きて、死んじゃった。
 死ぬのはいいのよ別に。何度も死んでるんだから。でもその時は、お腹の中に胃腸がない時に死んだでしょ。しかも、麻酔が利く前にふと「いったんお腹が空になるんだなぁ」って考えちゃってたのよね。それが有効になっちゃって、気が付いたらマットレスの上で、内臓がないまま目覚めちゃって。いやあびっくりよ。絶望感がすごかったし、内臓がないショックで何度かついでに死んじゃって。詰んだって思ったもの。けど、四回目くらいでやっと救急搬送が間に合って、なんとか延命してもらって。そしたらあとはお金に物を言わせて、最先端の再生医療よね。私の細胞を豚の中で育てて作った内臓を移植してもらうの。成功して定着したって聞いたときは本当に嬉しかったわよ。そのまま飛び降り自殺したんだけど、あんなに足取り軽く自殺したことはなかったわね。まったく、なくなった内臓をもう一度引き継ぐだけでどれだけ苦労したか。

 あと話すことは、そうね。ここアイビィのことね。老人になってしまって、あたし帰る家がなくなったのよね。パパもママも、自分より年上になった娘なんてどう扱ったらいいか分からないでしょ。だから自分の新しい住処として、ここを用意したの。

 うん、その通り。つかっちはあたしのことわかってるね。一度は試したのよ、パパとママと一緒に暮らすことを。どんな結果になってもあたしはやり直せるんだから、そりゃ試すわよね。想像通りに、早々に家庭崩壊しちゃったけどさ。  つかっちは今日、あたしと目が合った瞬間に、あたしがあたしだって分かってくれたじゃない パパとママも同じで、あたしをあたしと認めてくれたのよ。親の愛って素晴らしい……と、思うじゃん ダメなの。だんだん歪んでくるのよ。心でわかってても、常識とか世間の目、あとは自分が今まで信じてきた世界観よね。それとのズレが無視できないほど大きいと、精神がどんどん不安定になっていくの。そうなると仕事には行けない家事も出来ない家の中で会話もない。少しでも大きい物音を立てたら、すぐに誰かが耐えられなくなって叫び声を上げ始めるの。地獄よ。

 だからあたしはここ〈やすらぎほぉむ・アイビィ〉の経営者になって、ついでに入居者にもなってるってわけ。それからはあたし、倉庫じゃなくてここで目が覚めるようになったのよ。リスポーン地点が更新されちゃったのね。ベッドを含んで引き継いだらそうなっちゃうのかも。よくわかんないんだけど。ね、なんでここを新しい住処に選んだか、わかるよね。

 つかっちとあたしが職業体験で来た、思い出の場所だからよ。もっとも、今のつかっちにはない思い出だけどね。

 ここに定住し始めてからのあたしの楽しみ、つかっちにはわかる もうクイズには飽きた頃かな。話も長くて、疲れてきたでしょう。もうすこしでひと段落するから辛抱してね。伏線もあと、ひとつかふたつくらいしか残ってないしね。あたしがノートに書き残してることも、実はもうほとんど話し終えてるのよ。楽しみ。そう、楽しみっていうのは、つかっちがこうしてあたしを訪ねてきてくれることよ。新しい人生が始まってすぐにね。このアイビィに入居してからそれが楽しみで。なんか飽きちゃったなーって気分の時は、よく自殺してつかっちに会いに来るのよ。本当よ

 それじゃ、まだ回収してない伏線のことを話すわね。憶えてるかな、もう一人の役者が登場するって最初に話したの。その正体についての話。もうすぐそこの扉を開けて入ってくるんだけどね。

 それが誰かって言うと、十五歳のつかっちなの。あっは。

 混乱してるよね。ごめんね。いやほんと、あたしもそんなことをするつもりは全然なかったんだけど、でもどうしてもね。回避できなかったのよ。ごめんなさいね。何言ってるか分かるかな。つまり、あたしとつかっちが十五回前の人生ですごく濃密な一年間を過ごしたのよ。なんていうの つかっちは今のあたしを見て、おばあちゃんって思ってるじゃない。正直に言って大丈夫よ。あたしなんかと仲良くするなんて、想像できないでしょう。でもおばあちゃんには、何十回も人生を生き捨ててきた中で培った手練手管があるのよ。手練手管を持ってる人間に倫理観が皆無だったら、もう狙われた時点で終わりよね。そのつかっちにはあたししか頼れる人間がいなかったし、あたしはつかっちを手放すつもりがなかった。二ヶ月あれば充分だったよ。つかっちは、ここから学校に通うことになった。毎日朝も晩も一緒に食べて、寝るベッドも同じ。人間と一緒に暮らしてるのに、ペットを飼うのってこんな感じだったなぁって思ってたのよ。その時のあたしは。だってつかっち、ものすごくべったりくっついてくるんだもん。家族や学校の友達が全員死んだくらいでさ。

 すごい顔してる。だからさっきから謝ってるじゃない。ごめんねって。あたしも反省してるのよ。マジでマジで。やりすぎちゃったなって。あたしの死因第一位は自殺で、二位は事故死三位は病死なのね。で、一回しかないのよ。心中って。つかっちがあたしと無理心中。さっきも言ったけど、その時につかっちは十五歳なの。つまりたった一年で、それだけ追い詰めちゃったのよね、あたし。

 そこの庭に木を植えるための穴があるでしょう。一年後には、あそこに楠が根付いているのよ。その枝に縄をかけて、あたしとつかっちが首吊り心中。心中で首吊りって無理があるわよ。まあ中学三年生の発想じゃあ、もっといい死に方が思いつかなかったんでしょうけど。で、その時のあたしのピンクの象がつかっちよ。縄で絞められてゆっくりと遠くなっていく意識の中で、今まさにあたしを殺そうとしてるつかっちのことを考えないなんて無理だって。あっは。

 次の人生であたしがここで気が付いた時、同時に十五歳のつかっちも倉庫で目覚めていた。生き物も引き継がれちゃうなんて、どうかしているわよね。そして十四歳のつかっちは、職業体験でここを訪ねてくる。あたし正直、ワクワクしちゃった。二人が出会ったらどうなるんだろうって。好奇心は大事よ。何回繰り返し生きても、好奇心さえあればあたしの心はいつだって中学生に戻ってるって感じるもの。  最初の遭遇ではあたし、ただ眺めているだけだったのよね。今こうしている風に、十四歳のつかっちに状況説明もしていなかった。十五歳のつかっちも急に一年前に戻ったことに戸惑っていて、何をどう考えていいかわからないようだった。混乱して時間をかけながらも、ここに足を運んでくれたから安心はしたけどね。でも、あまり楽しい見世物ではなかったわね。おろおろと気色悪がっている二人の女子中学生を、あたしみたいなおばあちゃんがニヤニヤしながら眺めているだけだもの。十五歳のつかっちは元の生活に戻りたいようだった。考えてみれば当然よね、死んだ家族や友達が生き返ったも同然だもの。失くして初めてわかる有難さってあるじゃない。普通は失くしたものは返ってこないのに、返ってきたんだもの、大事にしたいわよ。でもそれには、今いる十四歳のつかっちが邪魔になるわよね

 その時の十五歳のつかっちは、その問題を軽く見ていたようだった。なんと自分自身と手を取り合って家に帰っちゃったのよ。それでどうなると思っていたんだろう。想像力を働かせていなかったとしか思えない。ねぇつかっち、あなたはどう思う。その人生で、二人のつかっちがどうなったと思う  って言っても、実はあたしもよく知らないのよね。ただあなたの両親がパニックになって、警察も役所もいきなり二人に増えた人間をどう扱っていいか分かってなくて、マスコミがその混乱を報道しちゃって、さらに混乱に拍車がかかったってことしか。そのあたりであたし面倒くさくなっちゃって、自殺しちゃった。だってあたしのまわりにずっとカメラがいるんだもの。そういうの嫌いなのよね。

 だから十四歳のつかっちと十五歳のつかっち、二度目の出会いでは変化を与えたの。今こうしている風に、十四歳のつかっちにあたしの人生と今の状況を説明してあげた。ちょっとばかり、バイアスがかかっていたかもしれないわね。このまま手をこまねいて待っていると、未来の自分に人生を奪われちゃうよって、危機感を煽り気味に話してしまった。可哀想につかっち、怖がって青褪めて、手がプルプルと震えていた。でも偉かったわよ。その震える手でそこにある包丁をちゃんと握って、この部屋に入ってきた十五歳のつかっちをちゃんと殺したんだもの。あたしはうんと褒めてあげた。死体の処理も手伝ったわよ。庭の穴がちょうど開いていたからね、死体に土を被せたら植樹の予定はキャンセル済みだったしそれでおしまいだった。何も心配なかったわよ。だって誰も探さないんだもの、元からこの世界に居なかった人間だから。

 それからのつかっちは普通の人生を送ったわよ。いえ、ごめんなさい。何が普通かは、もうあたしには判断がつかないかもね。ちゃんと生きて、人を殺したというトラウマにたまに苦しんで、いざとなったら人を殺すという選択肢が頭に浮かぶようになって、本当にたまにその選択肢を選ぶことがあって、死の間際にあたしに向かって殺してやるって言ったくらいの、普通の人生。楽しかった。つかっちからそんなに大きな感情を向けられたこと、他の人生ではそんなになかったからね。つかっちが死んでほどなく、あたしも死んだわ。その時に引き継いだのはスニッカーズ。たまに無性に食べたくなることってない そんなくだらないものもたくさん引き継いでいるのよ、あたし。手提げ金庫とかお人形とか、ビニール袋とか。あっは。

 次のつかっち、十五歳の方のつかっちは、倉庫で目覚めた時にそのスニッカーズを食べたらしいの。そして、糖分が行き渡って十分に働くようになった頭で、金庫に入っていたあたしの引継ぎノートを熟読した。中に書いてるのは、今話したようなことよ。そして理解したんでしょうね、そのままだと自分の居場所がないことと、自分自身に殺されてしまうことを。だから十五歳のつかっちはここに来た途端に十四歳の自分自身を撲殺した。先手必勝ってわけよ。凶器に使ったのはいつだったか引き継いでいた釘抜き。一家に一台工具箱って必要だよねって考えていた時に死んじゃった時があったのよ、確か。そのくぎ抜きを力強く振りかぶるつかっちのかっこよさったらなかったよ。あたし嬉しくなって、思わず頑張ったねって労いの言葉をかけてしまった。あっは。

 その後、十五歳のつかっちは十四歳の自分に成り代わって、しばらくは幸せそうに暮らしていたわよ。でもやっぱり、無理心中と自分殺しの経験に耐えられるほどあなたの心は強くないみたい。何不自由ない境遇なのに段々と精神が不安定になっていって、薬を何種類も服用していたわ。二十八歳、実際には二十九歳になったつかっちは引きこもり歴十三年になっていて、自宅のお風呂で手首を切って死んでしまった。「私は本当の私じゃありません。ずっと騙していてごめんなさい」って書置きを残して。あたしにしか意味が分からないわよね。他の人はみんな、病気のせいで妄想に取りつかれたんだと考えていたわ。

 さぁ、ようやく追いついたわよ。今のが前回の人生の話。この続きはあたしが話すんじゃなくて、あたしたち三人で作っていくのよ。

🕞

 扉の前で数十分待機し、タイミングを計りながら考えをまとめていた大塚加子は、意を決して部屋に入る。手には釘抜きを持っているが、それを振りかぶる様子はない。部屋の中の大塚加子もちらりと包丁に目をやるが、それを使って応戦する必要はないと判断する。

 「今回はどうするの」新城優姫が声を上げる。

 十四歳の大塚加子は考える。気に食わないな、と。

 十五歳の大塚加子は考える。誰の順番かは明らかじゃない、と。

 二人の大塚加子は、息の合った動きでベッドに腰かけている新城優姫を押さえつける。  「どうする」  「どうするって私が聞く 殺す」  「殺すにしてもさ、ただ殺したくない」  「あら、今回はあたしが殺されちゃうのね」新城の言葉を、二人の大塚加子は無視する。新城の顔が枕で押さえつけられた。  「ピンクの象をつかえないかな」  「嫌がらせね あたしも考えてた」  「それもあるけど、次のあたしも救いたい」  「どうやって」  「わからないけど、何とかして」  「それって例えば、鯨とか」  「鯨 引き継がせたらどうなるの」  「倉庫で目覚めたあたしが、鯨で下敷きになってすぐ死ぬかもって。ダメ」  「救いって、そういうこと 死が救済になるの」  「あれ、違った 優姫ちゃんに玩具にされ続けるの、気持ち悪くなかった」  「……ううん、違わない。でも鯨より、爆弾がいいかも」  「そうね、どうせなら核爆弾とか」  「地球全体絶対破壊ミサイルとか」  「ふひっ」

 そういうことに決まった。

 新城優姫は左右から二人の大塚加子に押さえつけられ、段々と命を失っていく。
 右耳に十四歳の大塚加子が囁く。「空から落ちてくる核爆弾」
 左耳に十五歳の大塚加子が囁く。「ゆっくりと落ちてきた核爆弾が、空中で爆発する」
 新城の腹部にには包丁が刺さり、傷からゆっくりと血と体温が流れ出していく。
 「ぴかっ」「どかーん」
 「爆弾のことを考えちゃだめだよ」「爆弾なんて引き継いだら、この後のこと全部台無しになっちゃうよ」
 「空から何が落ちてくるんだっけ」「爆弾じゃないよね。今必死で考えないようにしてるんだよね」

 新城優姫は、空から落ちてくる爆弾のことを考えながら死んだ。七十四回目の死だった。

 「死んだ」  「死んだ」  「引き継げるかな。この場にないものだけど」  「そんなの、どっちでもいいじゃない。私たちは次の人生に行けないんだし」

 「私さ」十五歳の大塚が言う。「優姫ちゃんのあっは、っていう笑い方、好きだったんだよね」  「私も」十四歳の大塚が言う。「当たり前か、私が好きだったら、私が好きだもんね」  「もう聞けなくなるの、寂しくない」  「うん、寂しい。あっは」  「ふひっ。なに、真似したの」  「似てるでしょ。あっは。私が引き継いでいこうかな、この笑い方」  「いいね。そうしなよ」  「じゃぁ、埋めよっか」  「うん、埋めよ」

 死体を埋めた二人の大塚は、ノートに書いてある情報を活かして、二ヶ月後には新しい戸籍を一つ手に入れていた。十五歳の大塚加子は新しく雨宮宏子と名乗るようになり、大塚加子と同じクラスに転入した。双子ということにした。双子なのに苗字が違うんだから、複雑な事情があるのはわかるでしょ そういう無言の圧力を周囲に振りまき、必要以上の詮索を回避した二人は、その後の人生を大いに楽しんだ。

 罪悪感は、二人で分かち合うと大した問題ではなかった。   👉🔁 🚺×25

 新城優姫は目を覚ます。窓の外に、ぴかっと光るものが見える。やすらぎほぉむ・アイビィも、もうすぐ大塚加子が目を覚ますはずだった倉庫も、全て衝撃と熱で崩壊する。

👉🔁 🚺×24

 新城優姫は目を覚ます。窓の外に、ぴかっと光るものが見える。

👉🔁 🚺×23

 新城優姫は目を覚まし、核シェルターのことを考える。窓の外に、ぴかっと光るものが見える。

Comments

  • くま吉

    はちゃめちゃに面白かったです 自分の好きなタイプの百合でした

    10:51 PM
  • 情報整理の綺麗さと伏線回収が凄くて話の展開がめちゃくちゃ面白かったです……!どうやったらこんな話思いつけるんですか……!?

    10:41 PM
  • 嘴(天使君)

    最高に面白かったです! 新城のタダでは起きない感じが好きです。でもそれはループで培ったものなのかな…。新城がループした後も、世界が続いていくのが少し切なくて良かったです。素敵なお話をありがとうございます。

    10:40 PM
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