一宮市開明町(旧・尾西市)を通る西尾張中央道沿いに一際目を引く建物があります。

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青いチョークが並んだような建物と、てんとう虫の看板が特徴的な映画館「シネラマパワー」です。


シネラマパワーはそのインパクト抜群の見た目から地元一宮市はもちろん木曽川を挟んで隣接する岐阜県での認知度も高かったようですが、この場所を知る人のほとんどは口々に「知ってはいるけど入ったことはない」と話します。

人によっては「気になるし入ってみたいけど勇気が出ない」なんて意見も。

映画館なのに入ることを躊躇う人がいる理由。それは……

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シネラマパワーが成人映画館だからです。

要するに「なんとなく恥ずかしくて入れない」とか「成人映画館がどんな場所か分からないから怖い」とか、そういった感情に好奇心が負けてしまうのでしょう。


自分も成人映画館は未経験だったので、本音を言えば現地訪問はかなり心理的なハードルがありました。

それでも自宅から電車で1時間近くかけて尾西まで行き、入館&作品鑑賞を実行したのは、この機会を逃したら次は無いという状況に背中を押されたからです。

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そう、シネラマパワーは2020年12月末で閉館が決定していたのです。

自分がこの情報を知ったのは12月中旬で、既に閉館までの猶予は2週間程度しか残されていませんでした。

結局は別の予定との兼ね合いもあり、初訪問は閉館3日前の12月25日となりました。 

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映画館は2階にあるので階段を上がって建物に入ると、まず受け付けがあります。

そこにいたスタッフさんに教えてもらい、券売機で1200円のチケットを購入し入場。
そのまま約3時間ぶっ続けで3本の作品(※)を鑑賞しました。
※3本の作品→上映順に「痴漢電車 引き剥がせ」、「官能団地妻」、「めぞん美熟女 ぬるぬる下宿」



5分に1回は必ずサービスシーンが食い込んでくる、回想シーンや夢であっても濡れ場なら一区切りつくまでしっかり見せる等々、成人映画だけあってストーリー構成は非常に独特。

ちなみに場内は横8×縦9の72席があり、自分がいた時には10人程度の男性が鑑賞していました。


上映作品が最初の1本目に戻ったので場外へ出て再び受け付けに向かいます。

事前にTwitterで「建物の外観を撮影する際にはスタッフに一声かけて欲しい」という情報を得ていたので、撮影許可を貰うだけのつもりだったのですが……

このスタッフさんがどえらい親切だった。

なんとなんと、撮影の許可どころか裏方の映写室にまで案内して頂き、実際に3年程前まで使用していたという機材の解説までしてくださったのです。

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それだけに留まらず、建物や映画館の仕事にまつわる様々なお話も伺いました。


例えば、この建物は元々は映画館ではなく、開業当時は電器店として使用されていたこと。

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てんとう虫の看板は電器店時代に取り扱っていた照明の「点灯」にかけたデザインであること。

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その他にも「そんなものまで!?」とこちらが驚いてしまうような貴重な資料やエピソードが次々と飛び出します。

もはや現地到着までの不安な感情は何処へやら。
すっかりシネラマパワーとスタッフさんに魅せられてしまった自分は2日後の27日、すなわち閉館前日にもお礼(と呼ぶにはショボ過ぎる)を持って再訪し、またもや文化財級のお宝の数々と濃い内容のお話を聞かせて頂くことになりました。

どう考えても贅沢過ぎる体験でしたし、自分に知識があればもっと深い話が出来たのに……と思うと悔しくなります。

諸事情により伺ったお話の内容や撮影した写真の全てをネットに公開することは出来ませんし、シネラマパワーは予定通り12月28日をもって閉館してしまいましたが、この記事がきっかけで尾西に存在した美しい映画館に興味を持つ方が一人でも増えれば幸いです。