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【読書】大人になって『あのころはフリードリヒがいた』を全部読んでみたら

お久しぶりです。

子どもの夏休みもそろそろ終盤を迎えて、毎日宿題を確認しております。
中学校の課題の多さに辟易しつつ、最難関の作文とポスターが残っていますが
国語の宿題って、どうも多くなりがち。

中学校1年生国語の題材として取り上げられている『ベンチ』
お子さんの宿題のヒントとしても、ご活用ください。

1 『ベンチ』の宿題と『あのころはフリードリヒがいた』の読み解き


『ベンチ』の内容について、ポップや本の帯の作成を課題にする先生方も
いるかと思いますが、これって、結構難しい。

なぜかというと、
『ベンチ』という話は、『あのころはフリードリヒがいた』という本の中の一編だから全体像が掴みにくいのです。

中学校で習った、読んだ記憶がある『ベンチ』は、ぼんやりと戦争の話、ユダヤ人ホロコーストの話、座っちゃいけないベンチとそうではないベンチの話かなと記憶している方がほとんどではないでしょうか。

中学校1年生の段階で、たくさんある教材の中で詳しくその内容を理解するというのは難しいと思いますし、全体の物語の中から抜き出した一編であることを考えてもすんなりと話の要点を抑えるのは難しいと思います。

私も、子どもの宿題のために再読した一人です。

2 ざっくりあらすじと考察


大人になって、全編を読んでみると、なかなかにハードモードなラストに驚きます。
僕と近所の友達フリードリヒとの物語なのですが、最初は近所に住む同学年の少年同士が仲良くなり、家族ぐるみで交流する様子が描かれています。
 それが、戦争が進むにつれ、ドイツ人である僕と、ユダヤ人のフリードリヒとの交流が次第に難しくなっていきます。

 純粋に子どもの気持ちとしては、友達であるフリードリヒを大切にしたいと僕は思っているのですが、世の中や大人の思惑がそれを許さない、そんな情勢になっていきます。
 フリードリヒがなぜか突然転校しなければならなくなったり、住んでいるところを追い出されそうになったり、裕福な生活をしていた彼の家族が、どんどん迫害を受けて追い詰められていくのです。

 僕の家族と、フリードリヒの家族が、最後に一緒に出かけるエピソードの後に、ベンチの話が登場します。
 あの女の子は、ベンチの話にしか出てきません。
 フリードリヒが、仲良しの僕に「こんなことがあったよ。」と話している内容がベンチの話なのですが、その後、その女の子の話はそれっきりになってしまいます。


 僕の一家は、なんとかして彼らを助けようとするのですが、自分たちにまで差別や嫌がらせが及ぶようになってくると、それも難しくなっていくのです。

ユダヤ人排斥の動きは次第に強まっていき、ユダヤ人の家を狙った強奪や破壊行為はエスカレートしていきます。

精神的な疲労と、貧困により、最初に命を落とすのは、フリードリヒの母親です。
病に倒れるのですが、手の施しようもなく、あっけなく死んでしまいます。

その後、フリードリヒの父親が、ラビと一緒に「ある場所」へ連れていかれます。
「ある場所」とは「強制収容所」のことなのですが、連れていかれたら、もう戻らないことは、僕もフリードリヒもわかっていたのです。

一人ぼっちになったフリードリヒ。
彼をなんとか救いたいと思う僕と彼の家族でしたが、空襲に襲われた時、
逃げ遅れたフリードリヒは、防空壕へ入ることができませんでした。
爆撃により命を落とした彼は、無惨にも防空壕から出てきたナチス党員の大人によって亡骸をも蹴り倒されてしまうのです。

『ベンチ』の話から、急転直下、フリードリヒがこんな最期を遂げるなんて。
大人になってラストを知った時、私は呆然としました。
フリードリヒが死んだ。
その事実で、この物語は終わっています。


3 宿題抜きに、今、この時期に大人にも読んでほしい


僕=読者は、どうしたら良かったのだろうか。何をすれば良かったのだろうか。
悲惨すぎる事実だけが残り、その場に放置されてしまったような
もう、どうしたら良いかわからない、困惑と混乱だけが自分を取り囲む。
何とも言えない、読後感。

リヒターは、児童文学作家として有名ですが、
この作品の他に、戦争三部作と呼ばれている2作品も書き残しています。

『ぼくたちもそこにいた』


『若い兵士のとき』

生き残った「僕」が、兵士として第2次世界大戦に参戦し、敗戦を迎えるまでが描かれています。
リヒター自身も、左腕をこの戦争により失っています。彼の自伝的な作品と言われている3作ですが、社会学者としての立場からも、辛い自身の戦争体験を書き残しておかなければいけないという使命感が文章からも伝わってきます。


子どもの宿題のために借りてきて、改めて読んでみた
『あのころは、フリードリヒがいた』ですが、
親になって、大人になって、あまりにも考えさせられることが多い衝撃の一冊でした。

 長崎の平和祈念式典での一件を踏まえても、ぜひ、今読んでおきたい本だと思います。
 中学生の皆さんには、難しい内容かもしれませんが、世界の歴史や戦争のことを
学んだ後に、全編を通して読んでほしい。

 そして、大人になった皆さんに、今、ぜひ再読して欲しい一冊です。





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