ツールが多くて「情報の優先順位」が分かりにくい! カインズはこの問題に、どう取り組んだのか

» 2026年01月05日 06時00分 公開
[野本纏花ITmedia]

【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2026冬 開催決定!

継続的に利益貢献する「良い売上」へのマーケティング

【開催期間】2026年1月27日(火)~2月25日(水)

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【概要】売上には「良い売上」と「悪い売上」があることを意識していますか。同じ規模の売上でも、初回購入によるものか継続顧客からのものかで、自社にもたらされる利益は大きく異なります。本講演では「良い売上」の最大化を図り、持続的な成長を実現するためのマーケティング戦略について解説します。

 「人手不足が常態化する小売業界において、労働人口の減少や賃金の高騰に対応するには、数%の効率改善では追いつかない」──この危機感を背景に、ホームセンターのカインズは、SalesforceやSlackを活用した店舗業務の効率化と、生成AIやAIエージェントを活用したカスタマーサービスの高度化に踏み出した。

 リアルとデジタルを掛け合わせながら、“デジタル時代でも選ばれるIT小売企業”を目指すカインズは、何を課題と捉え、現場に実装していったのか。

Salesforce主催「Agentforce World Tour Tokyo 人とAIが共に働く時代へようこそ」のセッションから、「【小売業向け】現場の人手不足を解決!AI活用によるカインズの業務変革」の内容を紹介する。

ツール導入だけでは現場は変わらない

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 全国262店舗を展開するカインズは、2018年の「IT小売宣言」を契機に、Salesforce Platformを活用しながらDXを加速させてきた。

 特に重点を置いてきたのが「店舗バックオフィスの効率化」だ。パートやアルバイトを含む店舗スタッフのITリテラシーにはばらつきがあり、テクノロジーを導入するだけでは現場に定着・浸透しない。だが、店舗は顧客接点のフロントラインだ。店舗スタッフのオペレーションを改善しなければ、より良いサービスは提供できない。

 以前は、スピードを優先して、さまざまなツールを個別に導入していた。その結果、一つ一つの業務は楽になったものの、複数のツールの操作方法を覚える負担が大きいと、現場では感じていた。

複数のツールを使用して作業指示→優先順位が分かりにくい状況に(提供:セールスフォース・ジャパン)

 また、本部からの作業指示が異なるツールから届くことで、それらの優先順位を把握しづらいという課題も生じていた。「せっかくツールを導入したにもかかわらず、現場では手書きのメモを取る場面が散見された」とカインズの田中巳義氏(情報システム事業部 カスタマーサービスプラットフォーム部 コーポレートソリューション部 部長)は振り返る。

 そこで同社は、既存の業務システムとSalesforce Platformで内製した現場向けツールを連動させる方針に転換。作業指示から実施、分析までを一気通貫で運用できる環境を構築した。さらに、業務フローに応じてツール間を移動しやすいよう、適切な位置にリンクを貼るなど、小さな改善を積み重ねていった。

既存の業務システムとと連動した作業指示により、効率的な店舗運営を目指す方針(提供:セールスフォース・ジャパン)

広い店内で、円滑なコミュニケーションを実現するための工夫

 広いホームセンターでは、店舗スタッフに商品の在庫確認を依頼すると、「確認してきます」とバックヤードに向かったまま、なかなか戻ってこないケースが少なくない。だが、バックヤード内にいる別のスタッフにすぐ連絡ができれば、問い合わせを受けたスタッフが自ら確認に走る必要はなくなるはずだ。

 そこで、店舗スタッフ同士のコミュニケーションの円滑化を図り、顧客の利便性を高めるため、Slackを導入した。

 しかし、こちらも導入した当初は、思うように活用が浸透しなかったという。そこで各店舗に“デジタルリーダー”という名のキーパーソンを任命し、Slackの推奨者としてコミュニティーを形成することに。

 全国の店舗間でデジタルリーダーがつながり、それぞれの悩みを共有しながら課題解決を進めた結果、特定サービスの売り上げが19.9%向上するという大きな結果につながった。

AIエージェントがオンライン接客を変える

 カインズではキッチンやトイレなどのリフォームの相談から設置までを行う「リフォームサービス」を提供している。

 このリフォームサービスは、店舗だけでなくWebフォーム経由でも受け付けている。だが、Webフォームで取得できる顧客情報は断片的なため、成約に至るまでのリードタイムは長期化し、オペレーターの負荷も高くなりがちだった。

 「リフォームは成約金額が高額になるため、オンライン起点の案件獲得は、事業成長に欠かせない。とはいえ、案件が増えることで、これ以上オペレーターの負担を増やすわけにはいかず、リードタイムの悪化も避けたかった」と田中氏は語る。

 そこでAIエージェントの活用を始めた。AIエージェントが顧客との会話の中で要望をヒアリングし、商品を提案。必要に応じて、そのまま来店予約まで完結してくれる。これにより、顧客とオペレーター双方の手間を最小限に抑え、スムーズなサービス提供を実現できたという。

 最後に、カインズの長尾秀格氏(情報システム事業部 事業部長)は、「人手不足は避けられないトレンドであり、今後さらなる効率改善が求められる。生成AIやAIエージェントを活用できる場面は、まだまだ広がると期待している」と締め括った。

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