ベネズエラにおける対話、選挙、非武装の抗議という国民の長年の自助努力は、マドゥロ政権による拷問・殺害・身柄拘束といった「国際法違反の圧政パッケージ」によって徹底的に弾圧されてきました。
選挙も機能しない恐怖政治で苦しむ国民に、結果として局面転換の可能性を開いた今回の作戦に対し、国際法違反の非難だけをコメントする気にはなれないのが正直な気持ちです。
私自身、自国民を苛め抜き自浄作用の芽を根絶やしにする独裁国家に対する干渉は違法な内政干渉にはあたらないというスタンスで中国に向き合ってきました。
たしかに麻薬対策を理由にした武力行使やマドゥロ氏拘束は、自衛権や警察権の行使としての法的正当化は困難。米国の行動は国連憲章違反の非難を免れないでしょう。
しかし国際法違反の観点からは、私はむしろ「麻薬運搬船」へのミサイル攻撃に続く海難者殺害を非難します。政治的利益が全くない、しかも民間人に対する「広義の戦争犯罪」を素人感覚で実行してしまう米軍は怖い。ヘグセス長官の失態続きと、それをカバーできない米軍の意思決定システムの脆弱性が中露にどう映るか、同盟国国民としてもとても気になります。
さらに気になるのは、①米国が影響圏を「西半球」と定めて行動を開始したことです。当たり前ですが、②日本は「西半球」ではなく「東半球」に位置しており、③この「東半球」には拡張的野心を隠さない中国とロシアが存在しています。
この3点をよくふまえて、経済力と軍事力を健全に強化し、相互支援できる同志国を増やし、「力による支配」に蹂躙されない国力を強化することが死活問題です。
自分の国を自分で守らない国を守ってくれる国はありません。
経済と軍事という国力に支えられつつ、自由と「法の支配」という価値を語る説得力を維持できるか、日本も大変な正念場を迎える年になりました。