「丙午生まれの女性は気性が激しい」…60年前。迷信は呪縛となり、出生数は激減した――「おしとやかになるように」。両親の願いで日舞一筋に生きた彼女は、今年生まれる女の子に何を願う

2026/01/01 20:30
子どもたちに日本舞踊を教える吾妻薩海さん(右)=12月27日、鹿児島市桜ケ丘4丁目
子どもたちに日本舞踊を教える吾妻薩海さん(右)=12月27日、鹿児島市桜ケ丘4丁目
 2026年が明けた。今年は60年ぶりの「丙午(ひのえうま)」。前回の1966(昭和41)年は「丙午生まれの女性は気性が激しい」という迷信が“呪縛”となり、鹿児島を含め全国で出生数が前年を大幅に下回った。この年に生まれた女性は今年、還暦を迎える。彼女たちが歩んできた60年は、女性の社会進出が進み、多様な生き方が広がるなど大きな変化と重なる。

 「おしとやかな女の子になるように。強くならないように」。迷信を気にした両親の願いで、日本舞踊を始めたのは7歳の時。吾妻流千光会(鹿児島市)の吾妻薩海(あづま・さつみ)会主(59)=本名・烏野(うの)恵子=は「踊り一筋」で生きてきた。

 丙午生まれを悲観的に捉えたことはない。いつも前後の学年より競争相手が少なく、受験や就活で有利とさえ思っていた。4姉妹の3番目で、日舞を習ったのは唯一。「丙午のおかげ」と感謝する。

 66年に県内で生まれた子どもは2万3501人で、前年の2万9243人より20%も減った。67年は2万9712人と急回復しており、丙午の減少は多くが迷信を気にして出産を忌避したといわれる。その後は右肩下がりで、2024年は初めて9000人を割った。

 この間、家族の形や生き方は多様になった。かつて女性は結婚すると専業主婦になるのが一般的だったが、今では共働き世帯が主流になった。結婚しない人も増え、男性の約4人に1人、女性の約6人に1人が生涯未婚だ。

 吾妻さんも「日舞を捨ててまで飛び込める相手に巡り会えなかった」と結婚はしていない。周囲も母親になった友人、自立した独身とさまざまだ。

 由緒ある吾妻流の会を率い、後進の育成に加えて日本文化の発信のため40年前から海外ツアーを重ねる。最近は来日する外国人に指導する機会が増えた。

 「これが自分で選んだ人生」と歩んできた道に納得する。今年生まれる女の子たちにも、自らが望む生き方を大切にしてほしいと願う。

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