シャニマスに学ぶ構図術 〜フレーム効果編〜
アイドルマスターシャイニーカラーズというソシャゲがあります。絵描き界隈では「絵がヤバい」ことで有名なゲームです。「絵が上手い」ではありません。「絵が上手い」の一言で片付けると、絵の素養がないと「確かに上手いは上手いけどそんなにか?」という感想にしかなりません。
シャニマスの絵のヤバさはその「ギチギチに固められたロジック」にあります。わかりやすく言えば、全力で印象操作しまくっている絵です。
前回の記事はこちら。
今回は「フレーム効果」に絞って見ていきましょう。
フレーム効果とは、何かしらの配置によって見せたいものを囲うことにより強調する手法です。
シャニマスくんはとにかくこれが得意で十八番です。というより、横構図と相性がいいので強制横画面なソシャゲの場合は凝るとフレームに頼らざるを得ない側面があります。なので縦長の絵を描く時は気をつけましょう。横よりも相性がよくありません。
学ぶ、とタイトルにありますが実際はフレーム効果に絞った絵の紹介です。一枚一記事のような紹介の仕方の他にも、こういうまとめて紹介というスタイルも取り込んだ方が魅力も伝わるでしょうということで。
あまりの美しさに見た瞬間声が出ました。傘と傘のフレームというだけでなく、1人は差したまま、1人は下ろすことで雨が止むか止まないかの絶妙な小雨からの雨上がりの晴れやかさを表現しています。絵の中心点は胸、三分割構図の交点はイヤリングでしょうか、それより上に顔があるため、自然と顔に向かって視線を動かす=「呼びかけられて顔を上げた」ように追体験できます。奥に何もない一点透視の消失点が顔の真横にあることもあり、一度顔を見てしまうとちょっと他のところを見てもすぐに顔に戻ってきてしまう。視線が顔という磁力に引き寄せられるように固定されます。閲覧者の視線をやたら動かすことだけが視線誘導ではないという珠玉の一枚。
左右のビルと水滴によるフレーム。本来水滴であれば下に落ちることが確定していますが、髪や服の動きから右下から左上へ突き上げるような浮遊感のある絵の方向になっています。また、シャッタースピードをかなり高速にする描き方なので静止感も決まっていますね。キャラのシルエットを際立たせるために空気遠近法は当然使用。
近景と窓枠によるフレーム。淡い青で統一された、光と影の美しい一枚。静物とイーゼルのフレームの先に、明るい窓に囲われた左向の顔を右に置くことで、左側の画面外にも空間をイメージさせています。何を描いているのか、をこの絵で察せないようにしているのがポイント。余白の大切さをおしえてくれます。
どっちが主役かな、と一瞬迷いますが、{左(右)}とすればわかりやすいでしょう。アクションを受けている側が主役です。括弧内の計算を先にするように、目立つ右のキャラのフレームを認識したら、それが更に絵全体のフレームとなるのです。
炎のエフェクトで囲ったフレームになります。一番手前の一番明るい炎自体に焦点は当たりませんが、その横の人差し指に誘導されます。それも一瞬だけ。その人差し指から親指、顔で誘導終了、あとはお好きにという視線誘導になります。
当然人もフレームに使います。キャラの顔をぶった斬り首チョンパするシャニマスくんには造作もないことです。また、この手の人フレームの場合は大概ポートレート「作品」のような描き方ではなく、キャラの視線や閲覧者の視点を意識して描かれたものになります。作品ではなくあくまで自然な、生きている現実的な表現として。
心のコブラが口笛を吹きます。舌を吹き戻しのように巻かざるを得ません。あくまで水槽に映った顔がメインで、本当の顔と腕、グラスと水槽の中の岩で囲っています。シャニマスくんはこういうシャレオツなことをよくやります。
外から見た窓枠に、右の二人とクリスマスツリーに囲われています。外の寒さと中の暖かさの対比が強調される形にもなっていますね。
左下に向けて絵の流れがあり、それを右上、真ん中下、左上の顔と視線を誘導するためにシャボン玉を配置しています。特に左下のシャボン玉は近景としてボカすことで「こっちに情報はない」と下がりそうな視線を顔に向かって跳ね上がる役割をしています。その分顔周辺には細かく多く配置して情報量を増やし、顔まで流れてきた視線を囲って離しません。視線の流れが黄金比のルートを辿るようになる気持ち良い一枚。
人フレームに棺桶フレーム。そんなに周りの顔切らなくても主役はわかりますから、と言いたくなる一枚。キャラ絵を描くならあまり参考にしてはいけません。切られたキャラを推す人がキレてしまいます。公式だから許されるのです。
美しい。屋内の暗と外の明を、低彩度でまとめた絵画のような構成。誰がメインか迷うところですが、窓で隔てられていない、全身が映ったキャラが主役です。
一点透視的にフレームで囲われた床に視線が引き寄せられた後に、その床から手前の顔に向かって三次元的に視線が誘導されます。
銀河に重なるよう配置されたキャラが主役。左右のキャラもしっかり挟み込んでフレームになっています。左側への展開を先に意識するため、奥の二人に気づくのは絵をよく見てからになります。
イカれたフレーム重ねがけ。これはあとで一記事で詳しく解説します。
鏡の中を見せるために、二人で囲っています。左のキャラを見ていると強制的に鏡の中に吸い込まれます。
フレーム(物理)。シャニマスくんはこういうことをよくやります。
フレームを逆手に取った一枚。バス停の外のキャラが主役です。画面における範囲の狭いフレームの内を暗くすれば、外がメインになりこういう使い方もできます。
もはや2020年の伝説。ソシャゲの絵でキャラを隅に配置し、近景のシーリングファンが画面の2/3を占める異色の構成。2/3が遠景中景の絵は珍しくありませんが、特に意味を持たない近景に占めさせるのは流石に型破り過ぎて当時は騒然となりました。そしてなにより、それでいてしっかり意味を持たせているから成立しています。
フェンスはフレームなのか?という疑問はありますが、あくまでメインのフレームはコートの明るい部分。金網越しなんて手法を平気でやってくるのがシャニマスくん。
他にもまだまだありますが、キリがないのでこの辺で。だいたいの見方はわかったと思うので、あとはご自分で探してみてください。
またシャニマスの系列別ゲーにシャニソン、「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」というものがあります。こちらはシャニマスの絵の方向性とまた違う味付けで徹底して一貫しているので、そちらも話す機会があればいつか。



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