「ねぇ!私たちの親ってどんな人なのかな?!」
突拍子もないことを聞かれたが俺は手を止めず勉強に明け暮れる。
「どうしたの急に」
No.9の相手をNo.5がする。その会話を俺が聞くのがいつもの日常だ。
「私たちにはお父さんとお母さんがいるって先生が言ってたんだー!」
「そんなのとっくに知ってるでしょ。なんで今更?」
「今は会えないけどここをちゃんと卒業したらいつか迎えに来てくれるんじゃないかなって思ったの!」
確かに無い話ではない。今までに芽摘まれた者たちも両親に引き取られ幸せになっている可能性もある。でも、いくら血が繋がっているからといっていきなり親子ごっこできるとは思えないが。
「No.9はどう?お母さんに会いたい?」
「そうだね。今まで気にしてなかったけど少し会いたいと思ってきたよ」
「だよね〜!!No.43は?」
No.43。今の俺の番号だ。1000人規模で始まった計画は今は50人を切っているがそれでも俺の番号は末番のままだ。管理者からは番号混在を防ぐため今もNo.999で呼ばれている。
「別に興味無い。親といっても育てられたわけじゃないしただ同じ血が流れてる他人としか思えない」
「え〜」
「相変わらずひねくれ者だね」
蔑んだ目で見られるがなんやかんやで同部屋のコイツらとは上手くやれている。血は繋がってはいないが、俺達には別の繋がりを感じていた。
「さ、No.9僕たちも勉強しよう。僕たちも油断してられないからね」
「はいはーい」
2人も教材を持ってきて机に広げる。一桁のコイツらでも危機感を感じているということか。
「でも、僕思ったんだけどさぁ」
「勉強するんじゃなかったのかよ」
勉強を始めようとした矢先にNo.5が話しかけてきた。そして両手を伸ばし俺とNo.9の手に触れる。
「両親には会いたいけど…僕にとって家族は二人だけだから、ずっと一緒にいたいなぁ」
No.5の吐露に俺は初めて手を止めた。No.9は嬉しそうに笑ってみせた。
管理者からは一歳から俺たちは同部屋で暮らしていたらしく、そうであれば俺たちは7年も共にしている。俺たちにとって両親は母体なだけで家族ではない。
「…そうだな」
ずっと三人で。そんな叶いもしない願いが打ち砕かれるのは少し後だった。