田端 不動産小口商品をめぐっては、みんなで大家さん以外にも色々な問題が起きていますよね。不動産クラウドファンディングの代表格であるヤマワケエステートでも、今年になって償還延期が相次ぎましたね。

緒方 あえて個人名は出しませんが、非常に有名な某元サッカー選手を広告塔に起用して、華々しく宣伝をしていました。みんなで大家さんほどファンドの規模は大きくないんですけど、非常に利回りが高いのが特徴で、15%なんていうのはザラにあります。 

田端 この運営会社に関しては、親会社とのゴタゴタも注目されました。REVOLUTIONという会社で上場企業です。

緒方 高額なクオカードの株主優待を打ち出して、株価が跳ね上がりましたが、1度も実施することなく株主優待制度の廃止を発表したことが騒動になりましたね。

田端 実は僕、騒動の直後に、運営会社の元代表にYouTubeで直撃インタビューをしました。

不動産小口化商品としてはみんなで大家さんと似ているところがあるんですが、こっちは株式市場と不動産クラファンのレバレッジが二重でかけられるようにも見え、よく考えられたスキームだなという印象を持っています。

緒方 この件に関しては、金融庁の証券取引等監視委員会も関心を持っていると思いますね。

田端 ほかにも、問題になりそうな不動産クラファンはありますよね。

緒方 一般論として見た時に、金商法の規制が厳しい一方で、不動産クラファンなどを規制する不特法はちょっと緩いので、事業者が流れ込んできてるように見える面もあるんですよね。

具体的には、不動産特定事業者の許認可権を持つ都道府県では、宅建業許可などを担当する部署が兼務しています。事業者の財務諸表などを見て健全かどうかを判断することも難しいですし、他県や海外で行われる事業の現地調査を行うにも限界があります。

田端 僕も全く同じ印象を持っています。しかも、例えば物件が海外だったり、遠方にあったりして、実際に日本の行政、あるいは緒方さんみたいな議員の方すら実際現地に行くのも難しいみたいな不動産小口化商品もありますもんね。

緒方 おっしゃる通りです。以前に国会質疑で、不動産小口化商品の対象は海外の物件も可能かという風に国土交通省の局長に質問したら、「特に制限するものはないです」ということでした。

例えば、シベリアの大地を開発しますと言ってお金を集めることだって全然拒まれてないわけですよね。それは制度の設計として、さすがに問題あるんじゃないかと。

田端 今一部の不動産クラファンなどで起きている問題のように、開発実態がないかもというレベルじゃなくて、海外だとそもそも物件を本当に買って所有権を移転したのかすら、よくわからないですよね?

規制緩和が裏目に

田端 私も不特法という法律自体にやっぱりかなり問題があると思っています。投資家保護というよりは業者寄りだなという印象を強く持っています。

緒方  制度が緩くなったのは2017年にクラウドファンディングという形でインターネットでの応募ができるようになってからです。

不特法が作られたのは1994(平成6)年で、当時は悪徳業者が多かったので規制する狙いでしたが、その後の改正では、市場を育てていこうということで、規制緩和したわけです。

 それを察知したみんなで大家さんは、2016年から動き始めて成田プロジェクトを始めてるわけですよね。

アベノミクスのもとで、投資への流れを推進した政府の政策に事業者が乗っかっていったっていうのが今の大きな流れであり、不特法の改正から派生するおかしな問題が広がっていってるということだと思います。

田端 ちょっと乱暴な発想かもしれないですけども、不特法を丸ごと廃止して不動産クラファンも全廃にして、不動産小口化商品はJリートだけにした方が投資家保護の観点からするとシンプルだと思うんですけども、それだと不都合なんですかね?

緒方 不特事業者の中には、真面目にやっている事業者の方々もいます。実はそんなに高い利率をオファーしたりしてないんですね。

田端 僕が思うに、Jリートだと基本的には都会にしかお金が落ちない。Jリートの運用残高は、7、8割ぐらい3大都市圏なんですよ。一方で、不特法はより小口で、地場の不動産・建設会社にもお金が流れる仕組みになっているんじゃないかと思います。

法改正は必要か?

田端 投資家保護の観点から、今後どのような規制が必要だとお考えですか?

緒方  幅広く消費者行政の中で「破綻必至商法」にどう対応するかということがカギになります。

田端 破綻必至商法!?

緒方 最近世間で言われるのは「ポンジスキーム」という表現が使われたりするんですが、お役所が使うのは破綻必至商法という表現を使うんですね。

一昔前に起きた該当事例としては、金の「豊田商事事件」、そして牛の飼育の「安愚楽牧場」、健康器具レンタルの「ジャパンライフ」、そしてシェアハウス「かぼちゃの馬車事件」、高級時計シェアサービス「トケマッチ」などが挙げられます。実はこれらの手口は似通っていて、同じような投資トラブルが繰り返されている構図です。

緒方 背景にあるのは、手法は似てるんだけど根拠法が違うわけです。それぞれの根拠法が金商法である、不特法である、法律の仕組みがある。事件が起きるたびに、法改正が行われてきたが、法律がバラバラなので抜け穴ができてしまっていた。

これを分野横断的に検討する法制度の整備というのは悲願だったところもあって、「考えたらどうか」と尋ねたら、高市首相から「消費者担当大臣に検討させる」と答弁があり、検討会が始まりました。これからもしっかり動向を追っていきたいと思います。

田端 森さんはどう思われますか?

 不動産特定共同事業の全体像を見ると、みんなで大家さんもそうなんですけど、結局いわく付きの土地なんですね。いわく付きの不動産を安く買い叩いて夢のような計画に仕立てて、それで金を集めてるっていう。

バブル崩壊後の1990年代以降、いろんな事件が起きてきたんだけど、僕はみんなで大家さんもちゃんと事件化するべきだと思っています。捜査の手が入っていかないと、本当の意味での実態解明ができないんじゃないかと。

みんなで大家さんの今後は?

田端 みんなで大家さん問題の今後は?

緒方 1つちょっと気になる動きがあって、2025年11月ごろから、みんなで大家さんの運営会社グループの所有不動産に対して、国税から差し押さえであったり、抵当権の設定であったりが行われている様です。

田端 税金を滞納してたということですか?

緒方  そういうことですね。税金債務というのは何よりも最初に優先されるということがあって、財務省が取りっぱぐれないように押さえに行ったともとれます。

田端 ちょっと待ってください。でも個人投資家からしてみたら、そもそも国が不作為で被害を拡大させておいて、税金債務は最優先だからまず債権者として1番先に国が弁済を受けるってちょっと納得できないですよね。

緒方 それは、これから大きな論点になるんじゃないかと、私も思います。

投資の世界に「フリーランチ」はない

田端 最後に、一般投資家に注意喚起の意味で、1人ずつメッセージをお願いします。

緒方  私が伝えたいのは、「現場を見ればすぐ分かる」ということです。

不動産クラウドファンディングは、インターネットでポチッとボタンを押すだけで投資ができてしまいますが、「手軽さ」と「真実の確認」はバーターになってるようなところがある。不動産クラファンのサイトで、綺麗にプレゼンされてる情報だけを見て、それだけで判断するのは避けるべきではないかなと思います。

 投資家の人達っていうのは、やっぱり欲があるわけですよね。一般的に詐欺商法なんかは、やっぱりその欲につけ込んでやるっていうのが一つの手法なんで、そこをどう見破るかっていうことなんでしょうね。

やっぱり現場を見たり、資料をちゃんと分析したりしないと、すぐに騙されてしまう。投資商品は、利回りがいいところに飛びつきたいのは分かるんだけども、一歩立ち止まってもう一度検証するってことは大事だろうなって思います。

田端 株の投資でも何事も「現地・現物・現場」といいますね。例えば、工場を見に行ったり、小売業だったらお店を見に行ったりするのは基本です。

金融投資の世界には「フリーランチはない」ということで、利回りが高いものには必ずリスクがつきものです。自分は何のリスクを取ってるのかということを分かった上で、「ローリスク・ハイリターン」はないということを肝に銘じていただければと思います。

(楽待新聞編集部)