みんなで大家さん成田プロジェクトの開発予定地(2024年2月、編集部撮影)

総額約2000億円を集めた不動産小口化商品「みんなで大家さん」の動向が注目されている。

みんなで大家さんをめぐっては計画通りに開発が進んでおらず懸念が広がっていたが、昨年7月以降、それまで支払われていた出資者への分配金もストップ。出資金の返還などを求めて集団訴訟が起こされている。

一口数万円から不動産に投資できる「不動産小口化商品」。オンラインで気軽に投資できる不動産クラウドファンディング(不動産クラファン)も普及しており、個人の投資先として人気が高まる一方で、トラブルも増えているのが実情だ。

不動産クラファンの代表格とも言えるヤマワケエステートでは昨年、複数のファンドで償還延期が発生。そのほかの不動産クラファンでも運営会社が破綻するなどのニュースがあった。

不動産小口化商品でトラブル多発の背景に何があるのか―。法改正の必要性を訴える国会議員やみんなで大家さん問題を取材するノンフィクション作家、アクティビスト投資家の3人が問題の本質について議論した。

※2025年12月12日収録

○参加者プロフィール

田端信太郎
アクティビスト投資家。リクルート、ライブドア、LINE、ZOZOなどでマーケティングや広報責任者を歴任。現在は、SNSやYouTubeで情報発信している。

緒方林太郎
衆院議員(福岡9区選出、無所属、3期)。1973年福岡県生まれ。元外交官。みんなで大家さんをめぐる問題について、2024年2月から国会で取り上げている。

森功
ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』(講談社)、『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)など著書多数。

みんなで大家さんで何が起きた?

田端 緒方さんはずいぶん前から国会でみんなで大家さん問題を取り上げているそうですが、この問題についてまだよく知らない方も多いと思います。そもそも何が問題なのか教えていただけますか?

緒方 みんなで大家さんは、不動産に対して一口100万円から出資を募る不動産小口化商品です。例えば、成田空港の近くに「成田ゲートウェイ」という近代的な都市を作ると謳って1580億円余りを集めたプロジェクトがあります。

運営会社のHPで公表しているみんなで大家さん成田プロジェクトの完成イメージ

このプロジェクトは、当初の完成予定時期を過ぎていますが、いまだにほとんど工事が進んでおらず、ほぼ更地の状態です。つまり、何ら利益を生んでいないのに、不思議なことにこれまで7%の分配金が支払われてきたのです。2025年7月についに配当がストップしました。

緒方 もう1つ怖いなと思うのが、土地の価格です。プロジェクトの計画地は、滑走路の真下ですのでもともとの土地の値段は安いわけです。

田端 飛行機の離着陸があって、めちゃくちゃうるさいですもんね。

緒方 ところが実際に彼らが公表している評価額は、平米あたり100数十万円と都心並みなのです。単なる不動産の問題のみならず、金融の面から見てもどうなのかと、多くの「???」が付く案件です。

  成田のプロジェクトは46ヘクタールあるんですが、運営会社の内部資料によると、彼らは2500億円で売れると言ってるんですよ。実は、買った値段の何百倍っていう値段で、夢のような話をしているわけです。それにみんな乗っかってるっていう話なんですよ。

田端 不動産鑑定が入っているんですか?

 はい。いわゆる不動産鑑定士、ちょっと札付きの人なんですけど、そういう人を使って一応評価は出させて、許可権者である大阪府や東京都にその説明をしているんですよね。

行政としては、いったん事業許可をおろしちゃってるから、それを取り消すというのはなかなか難しいんですよ。(運営会社から)訴えられるリスクがあるから。

出資金はどこへ?

田端 投資家が出資した1500億円が戻ってくる可能性は?

緒方 実際に中の会計がどうなっているかっていうのは、外から見ても分からないですよね。不動産特定共同事業法では、会社の運営資金とファンドごとの出資金を区別する「分別管理」が義務付けられていますが、それをきちんとやってるかどうかもわかりませんし、もうキャッシュをあまりお持ちじゃないんじゃないかという話も聞こえてきます。

不動産特定共同事業法(不特法)
出資を募って不動産を運用する事業の運営ルールを定め、投資家を保護するための法律

田端 出資金が戻ってこない場合、誰が責任を取るかという問題にもなりますね。

 もちろん運営会社の共生バンクグループの代表者の責任は大きいですが、こういう事業に許可を出した行政側の問題も多分にあると思います。

さらに言えば、これを宣伝したマスコミにも責任があるし、問題を認識しながらストップできない行政の責任もある。

田端 森さんの記事だと政治家の関与を示唆するお話もありましたけど。

 そもそもね、なぜこんないい加減なプロジェクトが認可されたのかということが問題なんですけど、開発許可を出した成田市の議会では、この許可に条例違反があったことが今問題になっています。首長なのか議員なのかはわかりませんが、そこに何らかの圧力があったんじゃないかっていうところが僕の最大の関心事です。

(左から順に)田端さん、森さん、緒方さん

緒方 最初から資金計画が脆弱だったわけです。開発計画だって何度も変更しているのに、特にお咎めもなしできている。通常の行政手続きの中でこんなことって起こり得るのかなというのは、大きなはてなが浮かびます。

田端 一般の投資家から見れば、行政がお墨付きを出している案件のようなものですから、よりお金が集まりやすくなってしまったという構図もあるんじゃないかと思うんですが。

緒方 実際に出資者の中にはそう言っている方がいますよね。常識的に考えて問題のある事業者に対して成田市や成田空港会社が取引するわけがないと思うのは、無理もないかなと思います。それも含めて「自己責任」という考え方もあるでしょうけど。今後の集団訴訟の中で、大きなテーマの1つになると思います。