ウシウマの実物大模型=西之表市の種子島開発総合センター鉄砲館
鹿児島県の種子島にかつて「ウシウマ」という馬がいた。一般的な馬より小さく、たてがみや尾の毛がなかったり、縮れていたりするのが特徴。国の天然記念物に指定された珍獣は、80年前の1946(昭和21)年に絶滅し、現在は種子島開発総合センター鉄砲館(西之表市)と県立博物館(鹿児島市)に骨格標本を残すのみとなっている。
鉄砲館などによると、ウシウマは体高125センチ前後。体毛は「巻毛型」と「禿(はげ)型」があり、禿型の外観が牛に近いことから、その名が付いた。400年余り前、戦国武将・島津義弘が朝鮮出兵の際に連れ帰り、島主の種子島久時が安城村(現西之表市安城)で保護したのが始まり。後に農民へ払い下げられ、明治初期には約60頭が飼育された。
奇妙な見た目が珍しがられ、1898(明治31)年に東京・上野動物園へ1頭寄贈。1931(昭和6)年、国の天然記念物に指定(後に解除)され、36年には地方巡幸中の昭和天皇に披露された。
飼育農家は繁殖に心血を注いだ。だが、戦時下の飼料難などにより次第に個体数が減少。46年6月に最後の1頭が死に、63年に骨格標本が県の天然記念物に指定された。鉄砲館の和田正樹主任は「種子島の人でもウシウマを知らない人が多い。絶滅から80年の節目に歴史を知ってほしい」と話している。