共和党議員「台湾侵攻の正当化懸念」 ベネズエラ情勢、NYではデモ

ニューヨーク=田中恭太 杉山歩

 トランプ米政権によるベネズエラへの攻撃とマドゥロ大統領の拘束を受け、民主党だけでなくトランプ大統領の身内の共和党内からも懸念の声が上がっている。国内では市民による抗議デモも起きた。

 宣戦布告の権限など、本来は外交・安全保障上の強い力を持つ米議会では、おおむね党派によって評価が割れた。共和党のジョンソン下院議長は声明で「米国民の生命を守るための断固とした正当な作戦だった」と称賛し、多くの共和党議員も軍事作戦への理解と支持を表明した。

MAGA代表格だった議員も非難

 一方、同党中道派のベーコン下院議員は「これを口実に、ウクライナに対する違法かつ野蛮な軍事行動をロシアが正当化したり、中国が台湾侵攻を正当化したりする懸念がある」と声明で述べた。

 「MAGA(米国を再び偉大に)」と呼ばれるトランプ大統領の支持勢力の代表格だったが、最近たもとを分かったグリーン下院議員もX(旧ツイッター)で「米国民が生活費の高騰に直面する間に税金が外国での活動に投入されている」とし、こうしたことは「MAGAの多くが(2024年の大統領選での)投票で終わると考えていたこと」だと指摘。「我々は間違っていた」と記した。

「イラク、アフガニスタンで学んだ」

 民主党側からは非難が集中した。上院トップのシューマー院内総務は声明で「マドゥロは正統性のない独裁者だ」としつつ、「議会の承認や今後についてのまともな計画なしに軍事行動を行うのは無謀だ」と批判。政権側からはベネズエラでの体制転換を狙ったり軍事行動をとったりしないと3度にわたり伝えられていたとし、「米国民に対して(トランプ政権が)正直ではないのは明らかだ」とした。

 同党下院トップのジェフリーズ院内総務も「イラクとアフガニスタンで痛みを持って学んだように、地域の安全と安定の促進は単なる軍事力だけでは実現できない」と批判した。その上で「軍事力行使を正当化する、説得力のある証拠が直ちに提示されるべきだ」と求めた。

NYでは市民が抗議の声

 ニューヨークの観光名所、タイムズスクエアでは3日に抗議デモがあり、「石油のために血を流すな」などと訴えるプラカードを手に参加者が声を張り上げていた。

 レイニー・ゼラさん(76)は、今回の攻撃は「正当化できない」と批判。「彼(トランプ氏)は、国を乗っ取ろうとしている。民主主義的な行動ではない」と怒りをあらわにした。

 ニュージャージー州から来たという男性は、マドゥロ氏による統治を問題視しつつも、攻撃が議会の承認を経ていなかったことを批判し、「大統領は議会の承認なしに攻撃できない。これは、外国に対する違法な攻撃だ」と話した。

 一方、周辺ではマドゥロ氏の拘束を歓迎する声を上げる人もいた。デモをする人たちに向かってベネズエラ国旗を掲げていた男性は「国民はマドゥロ政権に苦しめられてきた。ベネズエラは自由にならなければならない。政権が終わることに賛成だ」とスペイン語で訴えていた。

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この記事を書いた人
杉山歩
ニューヨーク支局
専門・関心分野
米国経済、移民
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    堂本かおる
    (ニューヨーク在住ライター)
    2026年1月4日14時59分 投稿
    【視点】

    トランプ政権の「やりたい放題」にアメリカ人の多くが大きな危機感を覚えている。今回のベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領の拘束は国際法違反であり、米国の連邦法違反でもある。 しかし、トランプは全く気に掛けていない。 今回の件はベネズエラの石油利権確保が理由とされているが、同時に米国内で延々とくすぶっている「エプスタイン・ファイル」の公開問題、およびオバマケア補助拡充の失効による医療費の高騰問題を、中間選挙を前にくすませることも目的だろう。 自身の利益のためならトランプはなんでもやるに違いないという確信と恐怖が、人々をデモに駆り立てたのだ。

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