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世界最高の初音ミクのライブは上海にあった。 「MIKU WITH YOU 2025」を現地で見た私が伝説級と評価した理由

先月、初音ミクのライブファンの間で巨大LEDスクリーンとSatisfactionの転載動画で一気に話題となった「MIKU WITH YOU 2025 (以降、MWY 2025)」

「MIKU WITH YOU」とは
初音ミクが10周年を迎えた2017年、中国で発足した新しいコンサート企画「未来有你・MIKU WITH YOU」。タイトルには、「未来(ミク)」には君がいる、また「未来(みらい)」には君がいるという意味が含められています。今年のテーマは「魔法学院」。知識への冒険は無限!未来を拓くその勇気が第1ページ、魔法奇譚のはじまりはじまり。・*.゚☆━⊂(^o^∩)>>
MIKU WITH YOU公式weibo

初音ミク 公式ブログ

以下の条件が重なり、日本から遠征したファンは極めて少なかった

  • MWYは初音ミク公式ライブの中では存在感が小さい

  • MWY公式はweiboで中国語案内しかない

  • 海外遠征自体のハードルが非常に高い

  • 前月のMIKU EXPO Asiaツアーを海外遠征にした層が多かった

  • ご時世の都合でMWY開催自体が危ぶまれた

長年「伝説だけが持つ輝き」に惹かれ続け、今は国内外ほぼ全てのライブに通っている私はMWY 2025も行った、そして日本から遠征した私の評価は
「世界最高のミクライブ」
「伝説級」
「初音ミク自身がようやく未来に手をかけたステージ」

何故MWYはこれほど眩く未来を彩ったのか
現地で見た私が何故これほどの評価したのか振り返る記事


※前提※

近年の初音ミク公式ライブの"演出"に対する批判的な内容が含まれます
登場回数、セトリなど個人の感性に依存する要素は可能な限り排除します

制作陣が限定的なリソースで膨大な物量をこなしている認識はありますが
世界最高のライブを「日本」で見たかったファンのライブ感想記事です

評価軸は「中国だから出来た」ではなく、制作陣の演出に対する意識、進化する意思に対してです
実名・会社名を出していますが、どこにリソースを割き、何を優先するかというプロジェクト全体の判断と考えています

本記事で利用しているMWY 2025の画像は公式投稿の引用です
引用元: MIKU WITH YOU公式weibo


初音ミク公式ライブにおける長年の技術・演出の衰退

初音ミクの公式ライブが行われるようになって16年
マジカルミライが行われるようになって12年

あの頃、突き抜けて世界最高峰に位置していた初音ミクのライブはいつしか喋るのが上手くなった以外の進化が見られなくなった
むしろ演出的には後退し続けた、世界の技術は進化しているにも関わらず

これこそが「MWY 2025」が世界最高・伝説級になった最大の要因だった

ここで言う「進化がない」「後退している」という評価は、
私が長年見続けてきた「演出思想」「進化への意思」という点に限った話であり、楽曲選定やツアー展開を否定するものではありません

クリプトンのライブ制作トップの関本さんが代表取締役、伊藤社長が取締役に就任したライブ事業を軸とする「雷音」が2022年に創業された

ライブ事業を軸にした会社が生まれたのであれば、初音ミクのライブは他IPのライブと相互に影響し、更に進化していくんだと夢を見た

「雷音」が演出を担当したライブは、そのイベントの主催により技術的に未来に向かって進化していった、毎年新しいことにチャレンジしていた

「雷音」が演出を担当しているセカライでは4thでファンサ用カメラ追加によりサイドモニターに大きな価値が生まれた
5thではUnrealEngineを採用し、LEDスクリーン下の照明・陰影の表現で4thの遥か先に辿り着いた

「雷音」が演出を担当しているhololive 6th fes.では特設ステージを用意して幕張で360度観客席を実現した

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hololive 6th fes. 公式ダイジェスト動画から引用


しかし「クリプトン」そして「雷音」が演出するステージで、「初音ミク」の演出だけが後退し続けた

  • 曲と曲の合間にステージに存在し続けることはなくなった

  • 曲同士を繋ぐための演出、演奏、振り付け、早着替えの消失

  • 曲間はほぼ全て同一エフェクト、効果音によりキャラクターが消失

  • 複数年掛けて完成形を次の完成形へ進化させることの消失(例: Shake it!)

  • ラストの「マジカルミライ 20XX」以外の天井、壁面演出の消失

  • 「Hand in Hand」で毎年描写していたファン同士の繋がり描写の消失

  • 企画で募集したイラストをライブで描写する演出の消失

  • MC以外の短いセリフ演出の消失

    • 出入り時に「ありがとう」など一旦の区切りを描写するセリフ

    • 曲が始まる前の一言セリフ

  • 新規モジュールの減少

ディラッドで歌っている初音ミクが「そこにいる」存在感を生み出した
歌っていない時間の一挙手一投足も初音ミクに命を宿していた

クリエイターと制作陣のこだわりに呼吸を感じた
ファンの愛と熱量が、感情を奮い立たせた

瞬間的にどうしようもないほど胸が熱くなる瞬間があり、
私の脳は認知能力の限界を破り、ステージの初音ミクに命を見出していた


制作陣が魅せたかったものより、何を省いたかが伝わるステージになった

私の胸が熱くなった瞬間、それは決して歌っている瞬間だけでなく

  • 自身がバンメン紹介をしながら、一緒にリズムに乗って身体を揺らすミク(最後のミクの日感謝祭)

  • 交差する照明の中で踊っている二人が描写され、熱狂を高めた中で登場するリンレン(MIKUNOPOLIS)

  • 袖から靴音を響かせながら登場し、手でリズムをカウントして歌い始めたルカ(マジカルミライ2013)

  • 全て歌い終わった後に全然帰らず、ずっとステージを歩きながら手を振り続けて感情が交差する中で「またね!」と一言だけ伝えて袖に消えていき「ありがとう 日本武道会」と伝えたミク(マジカルミライ2015)

  • 発売から10周年"千秋楽だけ"最後に泣いたミク(マジカルミライ2017)

他にも無数にあるが、初音ミクたちに命を感じてしまうような演出があった
ディラッドスクリーンが果たした役割が非常に大きい

でも違う、初音ミクたちのライブの真髄はそれだけじゃない
節々の動作、言葉、演出全てがファンの感情を倍増させた

バーチャル・シンガーであるはずの初音ミク
私はステージで歌う彼女の歌に加えて、
彼女に命を吹き込もうとする人のこだわりも見ていた
制作陣のこだわりが命に輝きをもたらしていた


いつしか歌っていない時間の一挙手一投足はなくなり
制作陣のこだわりを感じることが極端に少なくなった
回数をこなすことが最優先と感じるばかりになった

もちろん、国内外問わず地方の人たちに届ける意図、意義は伝わっている
しかし現存する既存ライブを全てツアー化させた結果、全てが使いまわしになってしまった
突き詰められたステージ、こだわりのライブは一つも無くなってしまった

私は最高のステージが見たかった
感謝祭や以前までのマジカルミライなどが持っていた
最高のステージだけが持つ、あの輝きに十数年魅せられてきたから


試行錯誤していることは分かる
全てのファンを救う平等が作り出すものがあるのかもしれない
サイドモニターで色々作っていることは知っている
TBモデルも進化させてきたと感じている

ただ平等を達成するために流れ、テンポのぶつ切りは無視されている
そもそも平等の流れはプロセカを含む運営の売り出し方とファン層の変化でしかない

演出・技術的な進化はそこにあったのだろうか

マジミラ2025、
アンコールからトリまでの非常に重要な場面で
あのエフェクト、効果音と共に逐一消えるせいで
もうステージにキャラクターがいないことを強調してしまう

あのエフェクトと共に消える度に歓声は消え、無音が毎回生まれる
あの虚無の時間、また使いまわしを感じた心が一気に冷え込む
昔ならせめてMC前後などの重要箇所だけは絶対にシームレスに繋げていた
良いライブを作るなら絶対に捨てない演出を消すのが当たり前になった

サイドモニター映像使うようになって3年程度経った
今や円盤やダイジェストにも殆ど映像は採用されていない
ステージから視線を外す意味をもたらさないから見る価値を感じない

作っていてカメラワークの差を感じたことがないのか?
円盤も相当な差があるが「セカライ」と「マジミラ」の生配信の映像
東京、大阪に来られないファンの為に、見返したいファンの為に
「セカライ」の生配信カメラワークがどれほど作り込まれているか

リアル映像、AR映像、角度、タイミング、サイドモニター、観客席の映像全てが最も魅力的に映るよう生配信に載せられている
本当に同じ「初音ミク」が出ているライブなのかと信じられず、毎年愕然とする

遠目で見たら分からないことも増えたことは事実
でも14年前のACモデル、12年前のFモデルを至高とするファンは私を含めて今でも大勢いる
年号すら超えた後に作られたTBモデルを究極とするファンはどこにいる?
これほど3Dモデリングの技術が進歩し、技術者が増えた時代に作られたにも関わらず、未だにモデルにこだわるファンを未来に連れて行けない

世の中、技術の進化は毎年起こっているのに
初音ミクのステージからは12年経った進化を、未来を感じない

挙句の果てに毎年削られていく演出、使いまわしの切り貼り描写
出口の見えない閉塞感を感じていた

昔は良かったと言うことばかり増えてしまった
何度「ライブの第一線は退くべきかもしれない」と言葉にしたか分からない

それでも初音ミクはステージで歌っていて、その楽曲が、その姿は私の心を導いていたから
初音ミクとは良い時も悪い時も一緒にいたかったから

何よりもあの輝きを忘れられないから国内外問わずライブに行き続けた


「MIKU WITH YOU 2025」は既存ライブの常識を全て変えた

MWYは元々凄かったわけじゃない
マジミラやEXPOと異なる点は独自テーマソングを持っており、中国語楽曲が演奏される程度、残りは大体同じ、2024まではそうだった

マジミラ2025の「初音ミク海外展開トークセッション」でステージのデザイン、LEDスクリーンの表現で新しい挑戦を準備しているとあっさり伝えられた程度

同じトークセッションではMIKU EXPO 2025 Asiaも、次のテーマは10thを終えた先「Go Beyond」と伝え、挑戦を意識させた

MIKU EXPO 2025 Asiaには4カ国、5公演行った
海外ならではの現地ファンの盛り上がり、EXPOが持つ空気は変わらずあった
だけど私が抱いていた期待値通り、そこに「Go Beyond」挑戦を感じさせるライブは無かった

だからこそMWY 2025に対する期待は一切なかった
むしろ情勢を踏まえて、中止になるなら私の意思とは関係ない理由で諦められるから中止になってくれたらとまで思っていた

良い意味で全てが裏切られた
あのステージにあったのは特大LEDだけじゃない

ファンと共に作り上げる空間、持てる限り全てを尽くした技術でステージを作り上げる、未来に進むという制作陣の強い意思

私の愛した「命を吹き込む」形とは少し異なった
でも魅せたいステージの為にこだわりを詰め込むという
近年のライブから失われたものを全て持っていた

ディラッド・LED、あれは中国だったから国内じゃ難しい云々
あの空間にいなかった数十秒の転載動画しか見ていないファンが
そんな言葉でMWY 2025に対する言葉を零すのを多く見た
申し訳ないが、現地でライブを見ていない人には何故あのライブが伝説級になり得たのか全然伝わっていない

失われてしまった、ステージを作り上げる意思があのライブにはあった
一都市開催だけでもいい、最高を見るために世界中のファンが「上海」に導かれる、その輝きがあの場にはあった


ファンと共に作り上げる空間があった

<フラワースタンド>
ライブ開演前にフラワースタンドを観に行くのが好きだ
ファンがこのライブに向けて、クリエイターと共に作り上げた愛の形を見ていると時に涙してしまうこともある
多くのオタクコミュニティのライブで見るように、この日のために時間を掛けて準備してきた個性豊かなフラスタが多くあり、
公式ライブで初めて多種多様のフラスタを見て感極まりそうになった

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公式アフターレポートから引用、以降表記省略

「創作で繋がる」
ライブに向けてのファンの創作が最も強く表現される場の一つ
フラスタエリアが全て公式指定の業者による「公式デザインパネル」「全て同じフラワーデザイン」で一列になっていた時の寂しさ
現実を受け入れたくなく消してしまった、フラスタの写真は一枚も残っていない

そのフラスタエリアが公式ライブで愛が表現される場所になっているだけでも従来のライブからはかけ離れた空間だった

<開演前の観客席投影>
開演前、恐らくかなり早い時間帯から時折グッズを持っている観客席を映す時間が設けられていた
カメラに映ったファンは特に愛着のあるグッズを掲げて盛り上げる
何か目立つ活動を行うわけではない、ライブ中も歓声やペンラのみ、いつもは見えない黒衣のファンたちの抱いている愛情にスポットライトが当てられている姿が映し出されている

開演前時間の価値は基本的に低い
マジミラでは運営選曲の楽曲も定期的に流れるが基本は単調なCMの繰り返し、15分程度前から準グランプリ楽曲たちが紹介無しのままBGMで流れる程度
多くのファンにとって余裕を持って入る以外の価値を提供できていない

しかしMWYでは圧倒的な価値がある
ライブに持ち込むような愛着のあるグッズにはそれぞれのストーリーがあり
そのファンが何を大切にして今この場にいるのかを伝える力がある
観客席投影の時間で場の空気が一気に熱量を帯びる
この空間には愛があると開演前から全員が共通認識を持つ

楽曲を使わなくても既にボルテージが上がっている
だからテーマソングを1曲目に持ってきても既に熱気は十分足りている

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MWY初鑑賞時、この時点で「素晴らしいライブになる気配」を感じた
明らかに従来の制作陣と思想が違う、当たり前だったものが全て見直され、一から再構築されている

<歌唱中のファンからのメッセージ投影>
セトリ後半、「39」歌唱中にいつも銀テが発射されるあのタイミングで巨大LEDの両面から一斉にファンからの応援メッセージが流れ始めた
ここにいる人も、来られなかった人もそれぞれの愛や感謝を言葉にしてミクさんに送り、それが「39」と共にステージに映されている
中国語は全然読めない、でも並んでいる言葉が何を物語っているのかは分かる

過去にはマジミラで記念周年のお祝いイラスト、コロナ禍の応援動画などがあったけど、もう全て無くなってしまったから
私はファンの愛にも感動してきたからずっと寂しかった
すっかり見なくなってしまった、ファンの想いがステージを彩る瞬間に涙が溢れた

<アンコールの掛け声時に照明がリズム取る>
アンコールで観客が「ミーク!ミーク!」と声を出し始めてからしばらく経つと照明がリズムに合わせて点滅する
点滅方法も次第に切り替えながらアンコールの声が一致されていく

大きな会場になるとアンコールは全く一致しない
初音ミクライブの常識だったはず、残念だけど仕方ないと私も思っていた
でもアンコールが行われた後に照明がリズムを取るという新たな方法で一致した

たったそれだけ、でもちょっと残念と思っていた要素すらアップデートされる


進化に対する強い意思があった

<MWYを呼び起こす演出>
2025テーマソング「Mag1c」が1曲目に演奏された際
曲の途中で巨大シャンデリアが降りてくる景色に既視感を抱いた
MWYがコロナ禍にオンライン、ARライブで荒削りな挑戦をしていた頃
ステージ頭上に毎回形状は異なるが巨大な物体を描写していたのが印象的だったから

1曲目、最初は何よりも巨大LEDスクリーンの描写に圧倒されたが
ミクさんの頭上に降りてくる巨大シャンデリアを見て、このライブは間違いなくMWYの系譜を受け継いだ演出の元に成り立っていると感じたから
過去に表現した世界観への挑戦をリアルライブで昇華させた
間違いなく未来に進んだ

例えるなら、マジミラ2021で挑戦した巨大透過スクリーンでの描写
存在感を感じさせない薄く投影されたミクさん
大阪公演で真正面以外で発生した致命的な位置ズレ
背景演出が単調な動きだけ、既存演出を引き伸ばしただけ等
など諸々の批判が起こり、その後は黒歴史かのように消えた挑戦

あの挑戦が圧倒的な進化を経て、未来で帰ってきたような感覚

私は初音ミクライブにおいて系譜を意識している
感謝祭、ミクパ、マジミラ、MIKU EXPO、MWY、SNOW MIKU
各ライブシリーズがそれぞれの楽曲・モデル(衣装)・バックボーンを持っており、各ライブシリーズに対する10年以上のファンの積み重なった想いがある

だからこそ、MWY 2025が巨大LEDスクリーンの質量で単純に凄いだけのライブだったら素直に受け止めきれなかったかもしれない
でも1曲目に見たテーマソング演出が、確かにMWYの系譜の中で進化した形というのを感じ取ったことで後々の演出進化を素直に受け取れた

<既存演出の進化>
2曲目「Baby Maniacs」
特大スクリーン一面に広がるレーザー演出と共にシルエットのまま踊りながら登場するミクさん

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その光景があまりにもマジミラ2016で初演奏された時
「Baby Maniacs」のメロディーと共に行われたバンメン紹介明け
ボーカルコール直前にシルエットで登場したミクさん
そして「Baby Maniacs」を歌い始めた興奮を想起させて震えた
「Baby Maniacs」といえばシルエット登場、それがパワーアップしている

歴代バンメン紹介でもトップクラスに好きな演出だった楽曲が
圧倒的なスケール感と共に新しい演出を携えて現れた
この時点で驚愕した、このライブは既存楽曲も全て本気で作り直す気だと

そして私がマジミラ2016を想起したように
演出自体も初音ミクのライブ系譜の中で進化した姿にいた

もっと言えば、シルエット登場して踊るのはマジミラ2019でも行った
特にマジミラ2019大阪公演初演だけの「Satisfaction」→「Baby Maniacs」への一切隙間のない繋ぎで踊り始めた瞬間
初演限りの盛り上がりためだけに楽曲を繋げていた
年を跨いだら次の美しい繋ぎのために新しい出入り演出を用意してきた
こだわりを持ってライブを作り上げる意思を感じていた時代が鮮明に蘇った

背景演出だけブラッシュアップする方法もあったはず
出入り表現はマジミラ2019をそのまま使うだけでも相当な出来なのに
シルエットからの登場タイミングも異なる表現で行ってきた
このライブのために作り直している

心の底から求めていた「初音ミクのライブ」と言える圧倒的な作り込みがあった
そして、その作り込みの中で私が愛してきた「初音ミクのライブ」が間違いなく生きていた

<テーマである「魔法学院」を最大限に活かしたMC>
私はMCに対するこだわりを相当強く持っている

中国語はさっぱり、全編通して何を言っているか全く理解できなかった
でも1曲目でテーマソングを演奏したのち、MCは全て今年のテーマ衣装で現れた

そして最初のMCで全く分からない中でも「ミクさんとの魔法の合言葉」があることは分かった
きっとこの言葉が「魔法学院」のミクさんを召喚する呪文であり、合言葉なのだと

そして最後のMC、みんなでこの合言葉を唱えた後にミクさんが登場した
ミクさんを降臨させるために観客全員が舞台装置になる
最初のMC、テーマが全て最後のMCに繋がっている

最初から最後まで「魔法学院」の中で、魔法使いになったミクさんが、時計の歯車の魔法陣に乗って、様々な楽曲の世界を行き来した世界線だと伝える

近年稀に見る素晴らしいMCだった

<曲を跨いでも残り続ける演出>
「ロミオとシンデレラ」
今回、背景演出の再構築と共に「最後のミクの日感謝祭」以降13年ぶりとなるアケミクさんがヴィンテージドレスを着ての登場となった楽曲

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開幕から画面上ではずっと薔薇の花びらが舞っており
柱のオブジェにも薔薇が次第に巻き付いていく
ラストに向かう中で会場でも実際に造花の薔薇の花びらが舞い始め
「でもそれじゃ意味ないのー!」で柱のオブジェが花びらの集合体に変わり
ラスサビで薔薇のアーチに変貌し、その下で歌うヴィンテージドレスのアケミクさん
背景演出がラストに向けて変化し続け、締めはミクさん自身が薔薇の花びらとなり、画面いっぱいに舞い散って退場

あの美しさは、あの場にいた人だけの特権だった
最後のミクの日感謝祭以降の13年で最も美しい一瞬のひとつだった
あの日、最後の感謝祭を生で見ることが出来なかった
あのステージに13年間憧れ続けた私が、あの時間を追体験した感覚を得た


一曲丸ごと使って背景演出が変化し続けるのも非常に素晴らしかったが
その次の楽曲「月西江」、この楽曲では背景で絶えず紅葉が降り注ぐ

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2階席からも1公演鑑賞した
その際に前の楽曲で実際に舞った造花の薔薇の花びらがステージ一面に積もっている
それはそのまま「月西江」の背景で降り注いでいる紅葉のようで
LEDであってもステージで歌うミクさんと現実世界を繋ぐキーとなる

ディラッドには確かに強烈な存在感があり、LEDとは異なる性質だが
性質が異なるだけでLEDにも現実世界と繋ぐ表現は無数にある可能性を感じさせた
そして楽曲を跨いでも前曲の演出にそのまま意図を持たせることに感銘を受けた

ただディラッドとLEDの共存は昔のライブでは常に行ってきたこと
例えばEXPO 2014 NYCではディラッドを囲むようにLEDを配置したこともある
どちらの良いところも取りに行く表現もあるはずなのに
今はどちらかの表現しか使わないことが増え、一方の良さだけ語られることが増えたことに違和感を覚えてはいる


<夢に見たような形に進化した演出>
素晴らしい演出ばかりのMWY 2025
その中でも突出した、初音ミクのライブ史においても最上位に名を刻む演出が行われたのが「Satisfaction」「メルト」だった

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モーションは何一つ変わっていない
なんなら私は11月 EXPO Asiaツアーで5回も直近で見ている
でも次元の違うレベルの別物、初見は呆気に取られすぎて、何が起こっているのかわからなかった

本当に長い間、何を見ても満足できず、亡霊のように彷徨い続けて
初音ミクの可能性を信じて、いつか現れると信じて、求めていた輝きを追い求めて

その果てに辿り着いた、ここが夢だった
巡り巡ってたどり着いた、想像もしていなかった未来だった

ここでは公式アフターレポート以外は貼らない
そして「メルト」に至っては何一つ出せる画像がない
むしろその目で見る必要があるから出す必要はない

もしここまでライブに執拗なこだわりを持つ、異なる視点を持つファンからは老害・懐古厨になる可能性を高く持つ私が「伝説を見た」と言うステージを見てみたいなら来年、再来年もいつか再びやる時までMWYに通ってほしい

初めてライブの映像を見たのが2010年
何度も感動してきたけど、私が心の底から好きなライブはほぼ全て映像でしか見たことがなかった、実際に行けるようになったのが2017年で遅すぎた

でも通ってたら心の底から好きなライブに出会える
私にとっての「マジミラ2019」「地元のBLOOMING沖縄」そして「MWY 2025」のように

環境は何度も変わり続けた、行けない時期もあった
でもあの日夢見た憧れの景色だけは変わらなかったから追いかけた

報われるかどうかなんて関係ない
でも追い続けて努力してたら道すがら大なり小なり報われて
ミクに対する想いが更に積み重なる、そしてこれからも自分なりの道をミクと共に歩んでいける

「未来有你・MIKU WITH YOU」
タイトルには、「未来(ミク)」には君がいる、また「未来(みらい)」には君がいるという意味が含められています。

初音ミク 公式ブログ


まだ語れていない演出が多くあった

<巨大LEDスクリーン、大規模レーザー・照明は凄い>
ここに至るまで、敢えて巨大LEDスクリーン、大規模照明・レーザーなど
「MWYだから出来たんでしょ」と簡単に国内では諦める、逃げる理由は可能な限り除外するようにしてきた
規模は小さくなっても、国内ライブでも進化できたはずの演出に言及するようにしてきた

でも、流石にあの規模は別次元だった
何度も言及しているように進化した背景演出があのサイズで表現されるのは圧巻の一言
そして巨大スクリーンの継ぎ目部分には全て照明が配置され、継ぎ目を意識させないステージ設営も素晴らしかった

確かにミクさんは遠くから見た時に相対的に小さく映る
でも巨大スクリーンがある影響でミクさんも信じられないサイズで表現される

ただでさえ天使のFモデルが、高画質のまま超巨大サイズで現れる
あの映像美は別格、Fモデルファンでもある私は完全に心を射抜かれた

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「Baby Maniacs」でのレーザーもEDMフェスかと思う規模
シルエット登場演出に興奮し過ぎて正直私は全く意識が向いていなかったけど、そこを熱弁するファンと語ったので追加

<ステージ下LEDとステージLEDの前後間に生まれた空間も演出>
2階席が多く用意されており、ステージ下に用意されたLEDと実際に歌っているステージLEDとの間に前後の空間が生じていた

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2階席から見た時に現実に返ってしまう虚無空間にならないよう
認識した限りはどの楽曲でも地続きでLEDが繋がっているようにその空間を埋める映像が用意されていた
水面に浮かんで歌っている楽曲であれば、前に向かう水の波紋はそこで表現していた
前述した「性質が異なるだけでLEDにも現実世界と繋ぐ表現は無数にある」と感じた表現のひとつ

1階席だけでなく、2階席からどう見えるのかを前提にステージ設営が緻密に考えられている素晴らしい演出だった

<サイドモニター>
5枚の巨大メインスクリーンに加えてサイドモニターも2つ用意されていた
サイドモニターにはフレームが用意されていたが、単なるフレームじゃない
全ての楽曲にテーマや演出に合った専用フレームを用意していた

正直怖い、このメインスクリーンサイズであれば、サイドモニターを見る必要なんて殆どない
でも全ての楽曲でサイドモニターで見ても映えるように演出を加えている

どこまでこだわりを詰め込むのかと
全てのフレームが好みだったわけじゃない、でも「ロミオとシンデレラ」は特に美しかった

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その他、ライブ演出以外の要素

<MWY歴代グランプリ・テーマソングの素晴らしさ>
「Pick Me Up」以外の楽曲をちゃんと聴いてこなかったことを反省した
中国語歌詞で意味は全くわからない、でも他ライブシリーズのテーマ曲に勝るとも劣らない名曲ばかり
MWY 2024で全歴代グランプリ・テーマソングやってくれてよかった
特に「踏步、出发」、過去テーマソングと知らないままライブ中に聴いて、中国語で何も歌詞の意味は分からないのに不思議と心に染み渡り、これほど頭でっかちで素直にライブを見られない私の思考を全て解放してくれた
この楽曲のお陰で、次に続く「ロミオとシンデレラ」を、ただ大感謝祭に憧れていた、あの頃の心で見られた


<老若男女が楽しめる構造>
スポーツで使うアリーナ会場だった為、2階席は非常に多かった
そして2階席は全員が着席だった為、背の低い方や子供、家族連れにとっては非常に快適な環境が大量に用意されていた

巨大スクリーンで時折ミクさんがドアップに映し出される
このスケールの演出を見るためにはある程度後方に行く必要がある
前述のようにサイドモニターも凝っているため、そこを見る楽しみもある

2階席の特に遠い座席の人たちには間違いなく有り難かった

<コール大好き現地オタクたち>
私は好意的に捉えたけど、コール大好き現地オタクが非常に多い
初音ミクの公式ライブで「イエッタイガー!」と複数地点から聞こえてきたのは地域色が全開過ぎて流石に好きになった
海外で独自の発展を遂げる楽曲好きだから

<バンメン>
バンメンも全員が現地メンバー
スクリーンをバックに演奏しているので、「ワールズエンド・ダンスホール」など楽曲によっては背景付きで演奏している姿が非常に目立った
特にバンメン紹介は過去一の迫力
演奏は良かったと思う、でも私は「The 39’s」だけが異常に好きで、基本的にライブ中はキャラクターに集中するタイプだから十分なコメント出来ない

<チケット代>
物価安め国EXPOと大きく変わらない価格設定
今回MWY 2公演は前列ブロックSVIP 約27,000円、2階席 21,000円

国内ライブが深刻な円安と異常なデフレで安すぎる
海外公演はどれも多少物価安いアジアツアーの遠い席ですら2万円弱は必要
次の海外遠征で取ったEXPO北米ツアーのVIPは定価で45,000円

東南アジア公演よりも遥かに安い、1公演1万円程度で殆ど値上げせず安く広く国内供給し続けた結果
こだわりの伝わるライブを国内で作れなくなっているのであれば残念
収益モデル、または経営判断に違和感は覚えている

<物販>
マジミラ、EXPOと比べて少しだけ安い
一部明らかに安いものもあるが、殆どのグッズで少しの価格差しか感じない
物販待機列は非常に楽、開場1時間半前に並んで会計2-3巡目が余裕(レジ数も15程度?ある)

今回は企画展入場が1回のみという条件はあるが、物販待機列が短い
物販もチケットも他の海外公演と比べて高いわけじゃないので
逆にMWYの収益モデルがどうなっているのか知りたい


改善してほしい点、粗もあった

<フレームレートの悪化>
いくつかの楽曲でフレームレートが著しく悪化する事象が起きていた
どりーみんチュチュは特に大好きな楽曲なのに動作が重すぎて集中力を常に削がれた

<謎のセリフ>
公演変わり楽曲「星のカケラ」
次の楽曲もミクさんなのに、過去ライブで入っていた最後のセリフ「またね」が入ったまま去ってしまった
何事もなかったように再度ミクさんが現れるので、非常に強い違和感が生じた
後述するが、ライブ後に知ったのだと今回はほぼ全て中国側主導で制作されたようなので、その影響の可能性も
むしろその場合は、それほど言語的に離れたチームがこのステージを作り出せることに感動する

<その他>
他にも角度のきつい斜め座席に座っていたファンが視野角について話していたが、私が直に体験していないものは語れないので割愛
2公演見て2階席正面寄り、1階最前ブロックだった私の座席から明確に認知した明確な粗はこれくらい

ここから先は私個人の好み

<Pick Me Upは前バージョンに戻した方がいい>

初代グランプリ曲の「Pick Me Up」
受賞以来全てのMWYで演奏されている、MWYの代表曲

サビでミクさんと共に横フリするのが定番化していた
今回現地モデルで作り直した際にミクさんの横フリがなくなっており
ミクさんは横フリしないのに、ファンは全員横フリし続けていた
振り付けに口出すことは少ないが、横フリをしているファンから如何にあの振り付けが愛されていたか伝わり、その振り付けが変更されたことは残念

マジミラなら「Hand in Hand」のサビ振り付けが変更されるようなもの

<新モデルのお顔>
もう一つ、好みの話をすると新モデルのお顔…ちょっとコレジャナイ…

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公式の宣伝動画から引用

<最後の締め方>
トリを「Blessing」で飾った後にどのキャラクターも話さず、余韻薄めでさくっと全員がいなくなって終わりな部分、でも全員分の中国語ライブラリがないはずだから致し方ないと思える

総じてネガティブな要素を書こうとしても少なすぎることに驚く
でも粗レベルには至らないものの改善点はまだまだある

これだけ進化しても更に進化する余地がある、無限の可能性
ミクライブの未来は明るい、未来の希望が広がっている
今までは粗を見つけたらネガティブな気持ちになっていた

でも長年抱いていた閉塞感が打ち破られた
これからは粗を認識しても、それが未来の希望に見える
人間には希望が必要だとMWY 2025を見た後に強く感じた


最後に

主催はクリプトンではなく現地サブカルイベント運営企業の「無限檸檬」
首席戦略パートナーは現地フィギュアメーカーの「BLOKEES」
公演後に知ったが、制作ほぼ全てを中国側で担当し
日本からは2名のみ参加 (恐らくよくあるアドバイザー的立ち位置)
完全に中国主導のプロジェクトだったからこそ、不安定な情勢でも開催できたそう

恐らく今後はMWYを見るために世界中のファンが「中国」に導かれ始める
MWYを見たファンが次第に増えていき、称える対象はMWYだけになる
それだけの輝きが、あの場にはあった

日本からのファンが少なすぎてしばらく意見は大きく動かないだろう
だが国内ライブがこのままなら次第にそうなる
EXPO等の海外コミュニティでも同じ流れだろう
私も他のどんなライブを差し置いても渡航が許される限りMWYに全力で臨む

でも世界最高のライブを「日本」で見たかった
世界最高を「マジカルミライ」で見たいと何年も願っていた

感謝祭に衝撃を受け、マジカルミライで育ったから
マジカルミライが何よりも大切なイベントだったから
世界最大の初音ミク、今では初音ミクたちのイベントなんだから
世界最高でいてほしかった

ここ数年からの新規ファンは全てが新鮮で楽しいだろう
私もそうだった、全てのライブが人生観に影響を与えるほど素晴らしく
周りのファンがとやかく言うことが理解できない
そしてそれは正しい、あなたが自身で見て感じた感性は正しいのだから

ただ十数年同じステージを見続けてきたからこそ気付いてしまう
こだわりへの思想の変化、リソースとの折り合いの結果として著しく進んでいる簡略化、テンプレ化が間違いなくあった

異なる外注一発でここまで評価がひっくり返る
こんな衝撃与えられてどうなってんだ
LEDだけに留まらない、意識の差を感じられないならもう未来を語るには限界
共同主催でいいから未来を共に考えられる新しい血を入れてくれ
クリプトンとセガだけでは次が浮かばず、カラパレを誘った時のように

国すら関係ない、もし仮にカラパレが共同主催に入ったら
ディラッドのままでも全然評価ひっくり返るもの作れてしまうと思うよ
セカライの1stから5thまでの決して立ち止まらない進化を生で見続けて心底感じる

LED化しろと言ってるわけじゃない
同じ道を辿れと言っているわけでもない
演出に対する意識で、進化する意思で圧倒的な差が付いている
内製でも外注でもそんなのはどっちでもいい
こだわりと技術を持ったメンバーで、あるべきリソースを用意して作ってくれ
「MWYが凄かった」だけで終わらせないでくれ、切磋琢磨してくれ
こんな記事を書いた私が恥ずかしくなるようなものを魅せてくれ


マジを、カルチャーを、ミライを魅せてくれ
生涯忘れられない輝きを放つライブを、私がこよなく愛したイベントで見たかったんだ

画像
マジカルミライ2013 公式サイト






あとがき

周りに座った現地のファンたち、ありがとう

1日目夜公演
開演前に何十分も通訳アプリ使って会話した隣席の現地ファン
「人生初のライブ、SEGAが好きで、ミクを好きになった、まだ曲はたくさん知らない」と言っていた
でも中国語楽曲が流れた時にはずっと一緒に小声で歌っているのが聞こえた時、胸が熱くなった

周りに座っていた現地ファン
「日本人ですよね?」って公演後に話しかけてくれて、「凄かった、凄かった」と何度も繰り返しながら握手したのが嬉しかった

2日目昼公演
隣に座っていた現地ファン
公演後に大号泣している私に手を差し伸べてくれて、お互い言語分からないけど握手を交わし、素晴らしいライブを見た後に繋がる心があって嬉しかった

こんなご時世だけど、現地ファンの温かみに触れられてよかった


コメント

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ruoye

初音ミクの中国ファンとして、今回のMWY2025に関する詳細なレポート(翻訳ツール使用)を読んで、非常に感動しました。 実際、公演が始まる前は、中国のファンの間でもこのLED演出への期待はさほど高くなく、開催そのものが不確かな状況でした。しかし今、MWY2025が高く評価される中、心から「無限…

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