【検証2026】Suno有料会員は権利を「没収」される? 規約と「所有権」の正体を徹底解説
最近、AI音楽生成サービス「Suno」の利用規約(Terms of Service)や運用方針を巡り、一部海外メディアの報道をきっかけとして「有料プランでも権利がSunoに残るようになったのではないか?」「実質的に権利を没収されたようなものではないか?」という不安の声が広がりました。
結論から言えば、「有料会員の権利が一方的に剥奪された」というような解釈は、規約の誤読あるいは過剰な懸念です。
しかし、Sunoの公式ヘルプには「所有権を意味しない」という不可解な記述があり、さらにWarner Music Groupとの提携による将来的な運用変更も報じられています。これらが組み合わさることで、「権利を奪われた」という不安な印象(感想)を抱くのは無理もありません。
本稿では、2026年1月3日時点で確認できる規約原文、米国著作権局の動向、そしてSunoがユーザーに求めている「条件」について、法的・実務的な観点から冷静に事実関係を整理します。
1. 規約検証:「権利譲渡」は維持されているが、条件がある
まず、最大の懸念点である「権利は誰のものか」について、一次情報である規約(Terms of Service)を確認します。
原文(抜粋):
"...Subject to your compliance with these Terms of Service, Suno hereby assigns to you all of its right, title and interest in and to such Content..."
訳:「本規約の遵守を条件として、Sunoは当該コンテンツに関するすべての権利、権原、利益をあなたに譲渡します」
確認日 2026/01/03
ここから分かる事実は2つです。
権利譲渡は存在する: 「Sunoが権利を持ち続ける」とする一部の解釈は正確ではありません。契約上、有料プランではSunoが持つ権利はユーザーへ移転されます。
「条件付き」である: 冒頭の「Subject to your compliance...」が重要です。もし規約違反(不正利用や支払いの不備など)があった場合、この権利譲渡が無効になる可能性はあります。ただし、この「規約遵守を条件とする」という文言は、Sunoに限らず一般的なWebサービスの規約で標準的に用いられるものであり、今回の改定で特別に厳しくなったわけではありません。
2. Suno側も「使う権利」を持っている
また、見落とされがちなのが、ユーザーがSunoに対して許可している「ライセンス」です。権利がユーザーに譲渡された後も、Sunoはあなたの曲を利用できる条項が含まれています。
規約には、ユーザーが作成したコンテンツに対し、Sunoが「世界的、永続的、非独占的、サブライセンス可能」な使用権を持つ旨が記載されています。
これはサービスの運営(学習データの改善、プロモーション、検索機能など)に必要な措置ですが、「自分だけのもの」として完全にSunoの手を離れるわけではないことを理解しておく必要があります。
この条項についても、サービスを継続的に運営・改善するために以前から存在していたものであり、とくに特別なものという訳ではありません。
3. 「所有権を意味しない」という公式ヘルプの真意
今回の混乱を拡大させたのが、公式ヘルプセンターにある以下の記述です。
"This does not mean ownership."
(これは所有権を意味するものではありません)
"...we act as the owner, but we give you the rights often associated with ownership..."
(我々は所有者として振る舞いますが、通常所有権に関連する権利をお客様に付与します...)
ownership項目 / Does Suno own the music I make?
確認日2026/01/03
利用規約で「権利を譲渡する」と言いながら、ヘルプコーナーの回答で「所有権ではない」と言う。この矛盾の正体は、「契約(Sunoとの約束)」と「法律(著作権法)」のズレにあります。
米国著作権局(USCO)の壁
現在の米国著作権局のガイダンスでは、「AIのみで生成された作品」、あるいは「人間の創作的関与が認められない形で生成された作品」には、原則として著作権登録が認められない傾向にあります。
Sunoの言い分を翻訳するとこうなります。
契約: 「Suno社としては、権利を全部あなたに譲渡します」
法律: 「しかし、法律(国)がそれを『著作権』として認めてくれるかは別問題です。だから『あなたが法的なオーナー(著作者)だ』とまでは保証できません」
つまり、「法的に所有権(独占権)が認められないリスク」について免責しているのです。
書き方は翻訳すると誤解を招きそうな奇妙な言い回しですが、法的実態としては以前と変わっていません。
※これは米国の見解に基づきます。日本の著作権法や将来の裁判例によっては解釈が異なる可能性があります。
4. Warner Music提携と2026年の展望
もう一つ無視できないのが、大手レーベルWarner Music Groupとの提携・和解の影響です。
Reuters等の報道(2025年11月)によると、この提携によりSunoはライセンスされた楽曲を学習データとして使用可能になる一方で、ビジネスモデルの変更が示唆されています。
ダウンロード制限の可能性: 今後、ダウンロード回数や機能に制限がかかる可能性。
収益分配の可能性: 特定のアーティスト風の楽曲で収益が発生した場合の分配ルールの変更など。
これらは2026年以降の運用変更として取り沙汰されており、規約の改定によってルールが変わる可能性があります。現在は「商用利用OK」でも、将来的に特定の条件下での制限が加わるリスクはゼロではありません。
結論と対策
「曲の権利がユーザーに無くなる」というようなことはなかった: 有料ユーザーへの権利譲渡条項は生きています。商用利用も可能です。
ただし「最強」ではない: 契約上の権利は貰えますが、それが法的な「著作権」として保護される保証はありません(類似曲を排除する権利など)。しかし、これは以前から変わりません。
運用は変わる: Warner提携等の影響で、今後の規約改定には注視が必要です。
【これから使う人へ】
「Sunoにお金を払えば、著作権が手に入る」というのは間違いです。
あくまで「商用利用権(使って稼ぐ権利)は確保されているが、法的保護(他人の模倣を防ぐ権利)は不透明なツール」として、リスクを理解した上で活用するのが、現時点での最適解と言えるでしょう。
今回の改定は、単に無料ユーザーと課金ユーザーの立場を、文言を変えてより明確に示しただけといえます。
まず、生成される曲はSunoが権利を持つ。
なので無料ユーザーは商用利用は許可されない。
有料プランでは、その権利をすべて譲渡する。ただし、その生成された曲にあなただけの著作権があることは保証しないし、他人が同じメロディを生成することも仕組み上可能である。
この法的構造は、以前となんら変わりはありません。
そして最後に大事なこと、もちろんあなたが自分で書いた歌詞には、あなた自身に著作権が存在します。
注:本記事は2026年1月3日時点の規約および報道情報を基に執筆しています。法的助言ではありません。各国の法律やSunoの規約更新により状況が変わる可能性があるため、最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。
参照リンク:
Suno Terms of Service
Suno knowledge base
U.S. Copyright Office - AI Guidelines
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私も文言が法律寄りになったけど現状と変わらないのではないか?と思ってモヤモヤしていたので広く事実ベースで書いていただき助かりました。 ありがとうございます。