検証・メタ社内部文書:なぜ日本で著名人偽広告が蔓延したのか ロイター報道が示す意図的な規制回避の疑い
FacebookやInstagram上に溢れる著名人の名前を悪用した投資詐欺広告。日本社会を揺るがせているこの問題の裏側に、プラットフォーム運営側であるメタ社の「組織的な規制回避」があった可能性が浮上しました。
ロイター通信が2025年12月31日に報じた同社の内部文書調査によれば、メタ社は規制当局からの圧力をかわすための「プレイブック(戦術書)」を作成しており、その最初の成功例として「日本市場」が挙げられているという衝撃の実態が明らかになりました。
日本当局をターゲットにした「検索クリーンアップ」
ロイターが確認した内部文書によると、メタ社は日本政府が広告規制の強化を検討していた時期、特定の戦術を展開しました。それは、日本の当局者やジャーナリストが「詐欺広告の蔓延状況」を確認するために使用する特定の著名人名やキーワードを特定し、その検索結果に現れる広告を優先的に削除するというものです。
この手法は内部で「検索結果のクリーンアップ」と呼ばれていました。記事によれば、この戦術によって「対策が進んでいる」という偽りの印象を与えることに成功し、日本における厳格な広告主本人確認(ユニバーサル・ベリフィケーション)の義務化といった規制導入を一時的に回避、あるいは緩和させることに繋がったと指摘されています。
対策コスト「20億ドル」を巡る冷徹な計算
なぜ、抜本的な対策である「全広告主の本人確認」は行われなかったのでしょうか。流出した文書は、その背景に冷徹な経済的合理性があったことを示唆しています。
内部分析によれば、本人確認の徹底により詐欺を最大29%削減できる見込みがありましたが、メタ社はその導入コストを20億ドル(約3000億円)と見積もり、収益への影響を懸念して導入を見送ったとされています。同社の2024年の売上の約10%が、詐欺や規約違反に関連する広告によるものだったという内部分析の結果も、ロイターによって報じられています。
メタ社側の反論
一連の報道に対し、メタ社の広報担当アンディ・ストーン氏はロイターの取材に対し強く反論しています。同氏は、広告ライブラリからの削除はプラットフォームの安全性を高める正当なプロセスであり、「当局を欺く意図はない」と述べています。また、本人確認は多層的な防御策の一つに過ぎず、同社は一貫してユーザーの保護に努めていると強調しました。
しかし、今回流出した「プレイブック」の記述は、同社の公的な主張と、内部での「規制管理」という戦略の間に大きな乖離があることを示しています。日本で「成功」したとされるこの戦術は、その後、米国や欧州、ブラジルなど世界各国の市場でも展開されたと報じられており、巨大プラットフォーマーの倫理的責任が改めて問われる事態となっています。
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