柔道家・角田夏実、卵子凍結を決断。「将来の結婚・妊娠・出産を考えるうえで余裕と安心が生まれた」
ドーピング問題や副作用…角田さんの場合は?
——どんなスケジュールですすんだのでしょうか? 角田 パリオリンピックが終わったのが2024年8月、そして今年の4月までは試合に出ていました。6月に初めて婦人科を受診し、7月に血液検査を。8月に入ってから卵胞(らんぽう)発育を促すための自己注射と排卵をコントロールするための投薬を始めました。人によって卵胞の成長度が違うと聞いていたのでその都度受診し、卵胞の数を確認してもらっていました。 ——アスリートの場合、ドーピング問題もあるのでスケジュールを慎重に立てる必要があるのでしょうか? 角田 アスリートの場合は、使用可能な薬剤や使用する期間を医師に確認する必要があります。私は試合がない間に決断したのでドーピングの件は問題ありませんでしたが、海外へ行く予定がありました。毎日注射を自分で打つので注射器も持って行くのですが、注射器の持ち込みの件で搭乗する航空会社へ確認が必要になり、その対応が意外と大変でした。 ——副作用はありましたか? 角田 気持ち悪さなどの副作用はありませんでしたが、投薬中は体が少しぽっちゃりしたような気がします。運動は今までどおり続けてよかったので体は動かしていましたが、普段なら筋肉痛になって腹筋が割れてくるところなのに、なかなか成果につながらない感じで、体の中で何か変化が起きているんだなと実感がわきました。 ——スケジュールは順調にすすみましたか? 角田 私の場合、4日に1度くらい病院に検査に行っていました。卵胞が成熟しきってしまうと採取ができないのでギリギリの見極めが大切だそうです。いよいよ「3日後に採卵しましょう」となったとき、ちょうど仕事が入っていましたがスケジュールをなんとか調整して臨みました。フルタイムで働きながら行う方だと、こういう調整は大変だと思います。
卵子凍結を終えた今、思うこと
——婦人科に何度も通うことに精神的な負担はありませんでしたか? 角田 最初にカウンセリングを受けて悩んで、血液検査を受けてまた悩んでと、その都度悩みました。でも、将来のことを考えるとここで決断しないと…という状態だったので私の場合はトントンと進みました。決断してからは流れにのって卵子採取まで進んだので考えすぎることもなくて。でも、終わったあと、とてもほっとしたことを覚えています。知らないうちに少し負担を感じていたのかもしれません。 ——卵子を採取(採卵)する際に痛みはありましたか? 角田 私の場合ですが、麻酔をしていたのであっと言う間に感じました。その後、2、3日は生理痛がひどいときのような痛みがあり、おなかも腫れていました。4日目からはおなかの腫れもひいて、痛みもなくなりました。 ——卵子の採取が終わり、今はどんな心境ですか? 角田 凍結保存した卵子の数が多いほど妊娠の確率は上がると聞いています。私の場合は11個とれて、10個凍結することができました。でも、凍結している卵子を融解する過程で卵子が破損することがあるということも理解しています。実際に私が妊娠を希望したとき、どれくらいの確率で妊娠するかはわかりません。それでもそのときの卵子よりも若い卵子を保存していることは心の安心につながります。この先の自分の人生を考えたとき、「焦り」をぬぐえたのでやってよかったなと思っています。 ——今後の角田さんの夢や活動を聞かせてください。 角田 自分の人生も考えつつも、柔道の普及を積極的に行なっていきたいです。そして柔道を通して子どもたちに体を動かす楽しさや、自分の体を守る大切さを教えていきたいですね。 お話・写真提供/角田夏実さん、取材・文/安田ナナ、たまひよONLINE編集部 卵子凍結を決断し、実際に採卵したことで角田さんは先の人生について考える余裕と安心感を得られたといいます。「迷っているならばカウンセリングや血液検査を受けて自分の卵子の状態を知ることから始めてみては?」とアドバイスをくれました。