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J/53  作者: 池金啓太
二十話「とある家族のアイの話」

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弾の威力と痛み

放たれた弾丸はコンクリートを砕き、深々とその中にめり込んでいった


対して発射台代わりとなった静希はというと、衝撃に体が振り回され、反転しながら後ろへと尻もちをついた


「・・・っつぅ・・・!痛ってぇ・・・!」


完全に前傾姿勢をとり、衝撃を待ち構えたのが災いしたのか、その衝撃をすべてその腕、そして肩で受け止めてしまったために霊装の接合部が悲鳴を上げたのだ


普通銃などは撃つときに衝撃を受け止めながらも、どこかへ逃がすように上へ跳ね上げさせたり、体のどこかに密着させることで衝撃を分散するのだが、腕に直接砲身を取り付けている状態で初めて撃つ静希はそんなことができるはずもなく、その衝撃がそのまま肩にかかる形になってしまったのだ


しかもギリギリまで体で支えようとしても、結局は尻もちをついてしまった、その様子から鏡花は、静希が打つ弾丸がかなり反動が大きいものであると把握した


無理もないかもしれない、本来は人間が生身で撃てるような大きさの弾丸ではないのだ


仮に撃つとしてもどこかに固定したりして衝撃が直接人間にかからないようにしてあるが静希はそうすることができない


扱いに困りそうだなと思いながら全員はとりあえず静希の下へ向かうことにした


「静希君!大丈夫!?」


「うぅ・・・めっちゃ痛い・・・けど・・・まぁ押さえつけるのは失敗だな、上手く受け身とかとれればいいんだけど・・・」


「マットでも作る?後ろに転がってもいいように」


「あー・・・そうだな、頼む」


今回はあくまで試射であり、射撃練習だ、初めから上手くいこうなどと甘い考えはしていない、放たれた弾丸は静希が狙った場所よりも少し斜め上に命中している、やはり少しずれてしまうようだったが、至近距離で撃てばこの程度は誤差だ


「案外威力あんな・・・これなら俺の槍といい勝負できるんじゃないか?」


「ふざけんな、お前のあれと真正面からぶつかったら間違いなく体が吹き飛ぶ、生身の人間なめんなよ」


静希が多少の攻撃力を持った武器を有していようと、圧倒的な身体能力と攻撃力を直接ぶつけあえば間違いなく負けるのは静希だ


どれだけ武装を重ねようと強い人間にとっては所詮小細工、地力で負けている相手には小細工と策を弄してようやくまともに立ち回ることができるのだ


「静希君、あんまり無茶したら駄目だよ?」


「大丈夫だよ、もう痛みも無くなった、あと何回かやればうまく撃てるようになる」


こればかりは何回か撃って負担の少ない撃ち方を自分で学ぶしかない、なにせ腕に銃を仕込むなど他にやっている人間はほとんどいないのだ、自分で試していくしか方法はないのである


「てなわけで鏡花、あと何発か弾丸頼むな」


「はいはい、的も作り変えておくわよ・・・それじゃ陽太、休憩終了、訓練再開よ」


「おうよ!」


どうやら静希の新兵器にやる気が出てきたのか、炎をみなぎらせながらその能力のコントロールに勤しんでいた


陽太と鏡花はいつものように能力の訓練を、静希は射撃訓練、そして明利は静希の体にどういう負荷がかかっているのかを解析し、静希に逐一報告していた


どの方法で撃てば体への負担が一番少ないのかを知るためには明利の能力は最適と言える


撃っては転び、転がり、あまりスマートな方法とは言えなかったが少なくとも体でその衝撃に慣れ、扱いやすい方向へと変えていくことはできる


その度に体が軋むが、ヌァダの片腕のおかげで問題なく負傷は回復していく


残るものはなく、ただ瞬間的な痛みだけが刻まれる


我ながらとんでもないものを作ってくれと頼んだものだと、少し過去の自分を呪いながらもその威力は静希の持つ物理的攻撃手段の中では一線を画している


ナイフ、釘、拳銃、どれも攻撃回数こそ勝るものの、一撃一撃の威力は比較的低い物ばかり


一撃で相手を沈めることができるほどの威力を有した手段というのはそれだけで心強いものだ


一回撃つと弾込めに時間が必要になるのが難点だが、十分実戦でも使えるだろう、撃った後の隙が大きいのも問題の一つであるが、それはこれからどうにかしていけばいいだけのことである


本日何回目かの砲撃、静希は衝撃を感じた瞬間後ろに倒れるように転がることで衝撃を緩和しようと試みていた


左腕で撃っているという事もありそのまま後ろに下がるというよりは斜めに回転するように転がるという方が正しいかもしれない


この方法が一番肩への負担が少なく、また次の行動にもつなげやすいものであると感じていた


「よくやるわね、どうせなら固定具作ってあげようか?そのほうが負担も少ないでしょうに」


「それじゃいざってときに移動しながら撃てないだろ?汎用性を高めるためならこの程度はご愛嬌だよ」


鏡花の言う通り固定具を作れば静希への負担は格段に減るだろう、だが同時に静希は固定した場所から動けなくなってしまうことになる、肉体強化もまともにかかっていない静希が一点から動けないという事はそれだけで危険であることは静希が一番よく分かっていた


だからこそ多少体を痛めても自由に動き回れる方法で撃ち方を学んでいかなければならないのだ


苦労はするが、一度方法を確立してしまえばあとが楽になると言うものである


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