表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
J/53  作者: 池金啓太
十九話「年末年始のそれぞれ」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

707/1032

対抗策とその相手

「・・・私はあんまり賛成できない・・・かも・・・」


雪奈の意見に反対する旨を明利が示すと、雪奈と鏡花の視線が明利に注がれる


人の意見に反対するということ自体が珍しい明利、内容が鏡花の恋愛がらみだからこそだろうか、それとも静希や雪奈と接するうちに少しずつ成長しているのだろうか


「普通の人が相手だったら雪奈さんの案でもいいと思うんですけど・・・相手は陽太君ですよ?ほかの人から聞いたら、直接鏡花ちゃんに真偽を確かめに来ることもあり得るかも・・・」


明利の言葉に雪奈も鏡花も「あぁー・・・」と間延びした声を出しながらその場面を想像してしまう


仮に静希が陽太にその旨を伝えたとして、陽太なら鏡花に直接そのことを確認にきてもおかしくない


デリカシーという言葉の意味など欠片も心がけていないようなタイプの人間だ、しかも何も考えずにほぼ直感で動いているのが性質が悪い


気を遣うなどと言うこともほとんどしないために、相手の気持ちを完全無視して行動することもしばしばだ


『お前って俺のこと好きなのか?』


なんて言葉を特に何も考えずに鏡花に聞いてくる場面が目に浮かぶようである


「確かになぁ・・・陽はそこまで気づかいできるタイプじゃないし・・・」


「積み上げてきたもの全部台無しになりそうですね・・・」


これは静希が作戦を考える時に何度か気にしている点であり、そのことを明利は聞く機会があった


陽太には回りくどいことをさせないほうがいい


陽太にやらせるのは常に一直線でわかりやすい内容であるべきである、陽太はバカだからいくつものことを同時にやらせたり、細かい指示をいくつも与えるよりも、たった一つのことを徹底させた方がいい仕事をするとの事だった


そしてそれはやらせるべきことだけでなく、陽太を策にかける時も同様である


複雑な策を張れば張るほど、陽太はそれを台無しにする


陽太はバカだ、だからこそ策を張る静希のようなタイプの典型的な天敵ともなる存在なのである


「・・・間接案はやめたほうがよさそうだね」


「そうですね・・・でもそしたらどうすれば・・・」


二人が悩んでいると、今度もまた明利が口を開く


「今回のことで少しは鏡花ちゃんのことを意識し始めただろうし・・・これからは接触と意図的に顔を近づけることをするべきじゃないかな?」


「接触って言ったって・・・今までもよくやってるわよ?顔を近づけるのだって」


「一度キスすると意識しちゃうものだよ、唇とか息遣いとか、あとはその人の目とか」


明利の言葉に鏡花は一瞬にやつきながらへぇと明利の方を見る


その視線の意味を理解したのか明利は顔を赤くしながら咳払いして場を取り持とうとするが、雪奈も一緒にこちらを見て笑っているためどうにも場が締まらなくなってしまっていた


「と、とにかく、鏡花ちゃんは間違ってでもキスしちゃったんだし、それをお互い意識すればいいんだよ、鏡花ちゃんが意識すれば陽太君も意識すると思う」


「・・・あの陽太がねぇ・・・」


鏡花の頭の中には、自分が顔を近づけて少し顔を赤くし勢いよく離れる自分と、その様子を間抜け顔をして「どうしたんだ?」なんて言っている陽太が浮かんだ


割と本当にそういう反応をしそうだから腹立たしい


だがあの場所で、陽太の顔はほんの少しだけ赤くなっていたし、慌てていた


陽太は自分のことを少しは意識してくれたんじゃないだろうかという淡い期待がないわけではない


「えぇと一時接触の増加と、顔を近づける・・・ねぇ・・・まぁ寒いからなんとでもいって触っちゃえばこっちのものかな」


「なんかそれだと私痴女っぽくないですか・・・?」


鏡花の言う通り、場合によっては誘っていると受け取られてもおかしくはない、だが相手が陽太であればこれで効果があるかもわからないほどである


なにせ陽太は姉である実月とかなり強い接触を行っている、抱き合うことが日常茶飯事だとすれば触れ合うことなど何の問題にもならないのではないかと思えてしまう


そんなことを考えていると、鏡花はふと思い出す


「そういえば陽太のお姉さん、実月さんって冬休みは帰ってこないの?」


夏休みは研究が忙しいと言ってほとんど帰ってこなかった実月だが、冬休みは年末年始を含んだ少し特別な時期だ、この時期に帰ってこないというのはさすがに問題があるのではないだろうかと思えてしまったのだ


「あー・・・そういえばどうなんだろ、去年は帰ってきてたよね?」


「うん、三十日から二日くらいまでいたと思うよ、メールで聞いてみよっか?」


「そうね、ちょっと挨拶とかアドバイスとか欲しいかも・・・そういえば静希んちはどうなの?」


帰省というキーワードで一番危険性が高いのが静希の家、つまりは五十嵐家である


なにせあの家は今人外の巣窟となってしまっている、以前五月に帰ってきた際は一日もいなかったために誤魔化すことができたが、数日いるとなると人外たちをどうやって隠すかが問題になってくるのだ、能力で封じ込めようにも静希の能力では完全に人外たちを抑え込むことなどできない


「あー・・・それに関しては、静が何とかするって言ってたよ、例年通りならたぶんそろそろおじさんたちから連絡がいくんじゃないかな?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ