新運命「愚弄」の行人「マネモブ」   作:異常猿愛者

4 / 63
矛盾点は全部田代さん時空でゴリ押そうと思ってんだ。


仙舟「ROUGH」
マサイの戦士、騙されない 邪悪なウソは匂いで分かる


「はいっ侵入完了。」

「マネモブ、門ノセキュリティヲゴア博士ノ遠隔操作デハッキングシテ侵入トカ大丈夫ヤンケ?同盟ニシバカレルヤンケ?」今日のマネモブ達は仙舟「ROUGH」の停泊地にいた。平気で不法侵入する辺りは猿世界の住人らしい倫理観のなさである。

 

「しゃーないやろ。正式に入港手続きしようと思ったのに全然反応ないし…やはり無理矢理突破するしかないか。」そーはならんやろとトダーは思った。

 

「トダー、今日の俺達の目的は分かってるよな?」

「アァ、立川博士ノ研究資料トシテ長命種ノ肉体サンプルヲ回収スルヤンケ。」立川博士とは薬学と生体科学のプロフェッショナルだ。異常に筋繊維が肥大する最強のドーピング薬”タチカワスペシャル”を開発し元々そこまで強くなかった空手家、菊多サナエを無差別級総合格闘技の世界大会である”ハイパー・バトル”準決勝まで駒を進めさせた実績を持っている。

 

「狙うなら魔陰の身と化した”忌み物”だ。奴等に人権はない、殺しても犯罪にはならない筈だ。」

「マ、豊穣由来ノモノヲ同盟外ニ持チ出スノハ重罪ダカラバランスハ取レテナイヤンケ。」マネモブには猿空間送りがある。証拠は残らないしバレる事はないだろう。

 

「ソレニシテモ静カスギルヤンケ。入口デ無視サレタ事トイイ、羅浮ニ何カアッタヤンケ?」トダーはそれとなく不安を感じながらマネモブと先へ進む。

「確かに(笑)悪い気が辺りを漂っていてリラックス出来ませんね。」灘神影流には空眼と気眼の二つの目付がある。灘を極めた者はオカルトパワーである気を何となく感じ取れるのだ。

 

「だ、誰か!お助け下さい!」あてもなくブラブラ歩いていた二人は不意に助けを求める女の声を聴いた。

「なんだあ。こんな所でレイプかあ?」

「モシカシタラ目当テノモノガアルカモヤンケ。急グヤンケ。」トダーはか弱き女子が忌み物に襲われてるかもしれないと考え時速100㎞で走った。人助けも兼ねて一石二鳥というところか。

 

「!そこのお二方、どうかお助けー」悲鳴の元へと駆け付けると、禍々しい化け物達が狐耳の女と銀色の鎧と長槍を装備した兵隊達に襲い掛かっていた。戦況は兵隊側が劣勢である。辺りには戦闘で散ったであろう死体が転がっている。

 

「オオッ、丁度良イヤンケ。アイツ等倒セバ今回ノ仕事終ワリヤンケ。」「しゃあっ」二人は勢いよく忌み物たちに殴り掛かる。

 

『グルァ…』音速を超える二人の鉄拳は常人には目視不可能である。

”灘神影流” ”霞突き” 悪魔を超えた悪魔と呼ばれる男が最も得意とする技、相手は気付かぬ内に地へと伏せている。ただ早いから見えないという理論もへったくれもない技だ。その連続コンビネーションを喰らった忌み物達はどんどん絶命していく。

 

「あの男とオムニックは…味方で良いんだよな…?」半信半疑であるがボロボロで死に掛けていた生き残りの兵士達は戦闘の緊張状態がほぐれ安堵していた。

 

「フーッ、大シタコトナカッタヤンケ。マネモブモ機械以外ガ相手ならヤッパシ強イヤンケ。」

「ワシは機械には勝てんけど人間相手なら超能力者にも負けんで。」久々に格闘でまともな活躍が出来た事で完全に鼻を伸ばしている。

 

「旅のお二方、ありがとうございます。私は「羅浮」天舶司の接渡師、停雲と申します。」

「俺達は雲騎軍だ、戦いを生業にする者として情けないが…正直助かったよ。」助けられた連中が二人に近付いてくる。

 

「今羅浮は何者かに持ち込まれた星核の対処に追われててな…星核が引き起こす汚染が忌み物を大量発生させて困ってたんだ。」分かりやすい状況説明ご苦労である。

「天舶司?接渡師ッテナンダ?」

「まあ簡単に言えば…観光ガイドのようなものですよ。」

「………。」マネモブはトダーと会話する停雲を厳しい表情で見つめる。

 

「あの…私が何か?」停雲もマネモブに訝しむような態度を取る。

「マサイの戦士、騙されない。邪悪なウソは匂いで分かる。お前は嘘を吐いている。」

「マサイ…?停雲さんが嘘を吐いている…?」雲騎軍はマネモブの唐突な発言を理解できてないようだ。

 

「ははっ、何を御冗談を…面白い事を言いますね。」

「マネモブガ嘘ヲ見破レルノハ本当ヤンケ。オマエ誰ヤンケ。」マネモブの言葉に呼応したトダーはファイティングポーズを取る。

「………。」停雲を騙る偽物の顔は強張り思わず後ずさるが、

 

「しゃあっ」我先にと動いたのはマネモブだった。悪と見做せば相手が女であろうと躊躇なく暴力を振るえる。この際鬼龍の提唱するフェミニズムより"ファントム・ジョー"が掲げる悪を許さないという考えを優先した。

 

”灘神影流” ”鬼の五年殺し” ”塊蒐拳”

長命種は殊俗の民、短命種に比べると非常にタフである。そんな相手に通常の打撃は少々効きが悪そうだと判断したマネモブは、相手の体内の”気”を乱す事で内臓機能の低下、数年後には確実に死に至るという危険すぎる殺法を選択した。

 

「ッ…」ボウッ「な、なんだあっ」塊蒐拳を喰らう直前、停雲の身体から炎のような何かが抜け出した。マネモブの言動に混乱しその場を動けなかった雲騎軍は驚愕する。

 

「あれは…歳陽じゃないか?」

「実体を持たず、人やからくり等に憑りつき悪さをするというあの…」

雲騎軍達もマネモブの言葉はあながち間違いではなかったと状況を把握しだした。

 

(童の演技は完璧だった筈…30年も天舶司の停雲に成り代わり同盟を騙してきた。それが今日会ったばかりの男に何故…!)

正体不明の歳陽は計画が大いに狂った事に焦る。

 

(………まあいい、手駒はまだ幾らでもいる。ここは引いて適当な薬王秘伝の信者に憑依し建木の元へ行けばいい。)

歳陽はこの場にいる者達に霊体の自分を捕える術はないと高を括っていた。

 

「もしかして俺達から逃げられるなんて奇跡を信じるタイプ?」

「なにっ」しかし。歳陽の読みは外れた。見えない手に拘束されているかのようにその場を動けない。

”陰陽互根の術”相手の魂の陰、言い換えるなら悪意などの負の感情を掌握し術者の魂と同調させる技である。この敵は悪意の塊であった為に陰を掴む事は容易だった。

 

「霊体モ魂モ似タヨウナ物ヤンケ。マネモブガ魂二触レラレタノガ運ノ尽キヤンケ。大人シクオ縄ニ着クヤンケ。」

「あんさんからは鬼龍と同じ蛆虫の匂いがするでヤンスよ。取り合えず猿空間にワープ?」この霊魂は危険やと直感で理解したマネモブは猿空間に封印する事にした。

 

「こんな所で…!」30年掛けたらしい計画が何ともつまらない失敗を迎えた事に恨み節を言い掛けながら猿空間に消えて行った。

「ふー、ありがとうございました。んじゃ俺はこれで…」

悪を倒した正義のヒーロー気取りに充足感溢れるマネモブは残された雲騎軍と憑かれていた被害者を置いて去ろうとするが…

 

「…いや待て。」一部始終を見ていた雲騎軍はマネモブとトダーに槍を向ける。

「えっ」悪因悪果を実行した俺達が何故武器を向けられるのかとマネモブは理解出来ない様だが…

「停雲さんに憑いていた歳陽を取り除いてくれた事には感謝する。だが…」

 

「ううっ…」停雲の方に目をやると胸の辺りに手を当て苦しんでおり別の雲騎軍が心配そうに彼女を介抱していた。塊蒐拳が起こす気の乱れがしっかりと効いているようだ。

 

「治安維持も俺達の仕事なんでな…傷害の容疑でお前達を拘束させて貰う。」

「う、嘘やろ…こんな事が、こんな事が許されていいのか…!!」正義を成したのにこんなの理不尽だとマネモブは嘆く。公判へ続く…




拘置所にて
「マネモブ、ボロボロな雲騎軍相手ナラワシ等逃ゲレタヤンケ。ドウシテ大人シク捕マッタヤンケ?」
「同盟はカンパニーやファミリーに並ぶ宇宙有数の巨大組織やしのお。それに指名手配されるのはウマくないでっ。だったらここからが俺達の見せ所や。同盟相手にどうやって清廉潔白を証明するのか?」
「不法侵入、忌み物ノ死体持チ帰ロウトシタ、余罪ガバレタラ大変ヤンケ。」
「どないする?まあ隠しとけばええやろ。」太卜司の的中率100%の占いの前に隠し事は不可能だという事をマネモブはシラナイ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。