稚拙な文章ではありますが、楽しんでいただけると幸いです。
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大変励みになりますので、何卒。
アンビーとビリーをホロウ内から救出してすぐにニコが待つ「Random_Play」に帰還する。
最初はニコが迎えに行くと言って聞かなかったのだが、アキラとリンから怪我の事をつつかれてしまい、渋々折れてくれた。
俺が六分街に向けて車を走らせている途中、疲れているであろう2人に寝とけと言っても大丈夫の一点張りだったのは正直驚いた。
ビリーは兎も角アンビーも普段からこのような仕事をしてるからのか、体力が無尽蔵にあるのではと錯覚するほどだった。
イアスもアキラとの同期が切れたのか、車内でンナンナ言いながら短い手足をプラプラさせていた。恐らく鼻歌のようなものなので、あまり触れずに運転する。
もうすぐ六分街に到着する矢先
「お、そうだダンナ!明日、弾の補給をしに行ってもいいか?」
「それなら私も同行するわ。ビリーがどこで弾を補給してるか気になってたの」
「おう、それなら準備しとくから来てくれ」
…自分もしっかり疲れてはいるんだがお客さんの頼みなら仕方がない、と自分に言い聞かせながら3人の待つ場所まで少しスピードを上げて向かうのだった。
━━━
「Random_Play」の裏口に到着すると、3人の姿が見えた。
どうやらニコが2人に例の金庫に関する事を説明している最中だったようだ。
それからは、アンビーとビリーがホロウ内で起こった事を話し、今後はニコの方で金庫の在処の特定、パエトーンはニコから貰ったメモリディスクを解析し金庫の暗証番号を解読をする事で話はまとまった。
話が終わったところで、俺は明日の準備をすると言って作業場に向かい、彼ら用の用意をしてから寝床に着いた。
━━━━
次の日の朝方、工場の扉がガンガンと叩かれる。監視カメラを見る限り、アンビーとビリーだろう。しかし2人の後ろには見た事のないボンプがいることが分かる。
細かい事は2人に聞けば良いか、とドアが壊されたら堪らんのでさっさと扉を開けてやる事にした。
「おはよう、修理屋さん。朝早くからごめんなさい」
「お客さんの頼みなら何時でも歓迎するぞ?」
それでもよ、と真剣に答えられるので調子が狂う。アンビーの目線から逃れるように連れてきていたボンプの方を見る。
黄緑色と黒の二色がベースのボディをしており、バツ印の描かれた左目が特徴的なボンプだ。邪兎屋もこのようなボンプを保有しているとは思わなかったので、ついまじまじと見てしまう。
見られていると気づいたのか、こちらにポテポテと歩いて来たので挨拶でもしようかと口を開いた瞬間「ンナ!ンナ、ナ!(弾!欲しい、急ぎ!)」…何故にカタコトなのだろうか?
「気にしないで、ニコが言語プラグインのメンテナンス費用を削っているからこんな喋り方なのよ」
「あぁ、同じ機械のよしみとして心苦しいが、俺にも生活があるから中々直してやれねぇんだ…」
「…先に断っておくが、ボンプの修理や改造はやってないぞ」
「おう!もちろんわかってるぜ!必要なのはアミリオンが使う銃弾だからな」
アミリオンというのは話の流れからしてこのボンプの名前なのだろう。にしてもボンプが銃を使うとは恐れ入った。その気になれば軍事ロボとして活躍できそうなものだが…そうなったらボンプ愛好家が黙ってないだろう。
「話は分かったが、とりあえずこの子が使う武器を見せてくれ、それと今使ってる銃弾だな」
そう言うとアミリオンが地面に円形の箱のような物を放り投げたと思うと、カチャカチャと音を立てながら勝手に組み立てられあっという間に機関銃が完成した。
ビリーから補足説明が入り、ニコも同様の折り畳み収納技術を組み込んだ武器を保有しているらしく、その類似品だということが分かる。
アミリオンはいつもの癖で機関銃を乱射しそうになるところをアンビーに止められる。ビリーの説明に気を取られていたので、危うくニコに請求書を放り投げるところだった。
「…助かった、アンビー」
「えぇ、アミリオンもわざとじゃないの、わかってあげて」
随分と愛されてるじゃないか。所々ケチられてはいるが、それ以上に頼りにされているらしい。
さて、アンビーがアミリオンを止めている間に組み上がった機関銃を見る。
サイズはボンプ相応だが、その殺傷力は凄まじいというのが簡単に見て取れる。
機銃本体も手入れされているのか、傷一つ見えない。正直、これに関してはあまり弄らない方が懸命だろう。
もしかしたらアミリオンやニコにしか分からない拘りがあるのかもしれない。
次に使用している弾丸はどんなのか見てみると…
「やっすい弾使ってるな!」
「そうなんだよ、ニコの親分が何処で仕入れたのか知らないんだが、見ればすぐ分かるような安弾を使わされてるんだ!」
はぁ、頭を抱える。先程、アミリオンやニコにしか分からない拘りが、と言ったがその拘りが安弾用に調整された物だとしたら手詰まりだ。
「なぁビリーよ、この機関銃は他の弾丸を込めてもしっかり撃てると思うか?」
「どうだろうな。でもこの前まだマシな弾丸を持っていった時は、撃てはしたんだが、アミリオンがそれに慣れてなかったせいか相手にカスりもしてなかったな」
「ダメだこりゃ」
それならそうと先に言って欲しかった。あいにくボンプ関係はてんでダメなのだ。そういうのはエンゾウおじさんに言うのが1番だろう。
邪兎屋としての立場的に難しいのなら、アキラかリンにアミリオンを預けたら良い、という事でこの話は落ち着いた。
解放されたアミリオンはそそくさと機関銃を回収した途端に「ンナ!ナ!(観察料!1万ディニー!)」と叫んでいた。
…どうやら飼い主の可愛くない所まで似てしまったようだ。
━━━
アンビーとビリーの買い物が終わり、他に来る予定が無いかノックノックを確認していると
「修理屋さん、この後予定はある?」
「確認中だ…うん、もう店を閉めても問題無さそうだから予定はないな」
「なら、少しホロウに付き合って欲しいの。あまり調査の進んでない所だから、貴方にも利があると思うわ」
アンビーとは知り合ってまだ日が浅いが、彼女からそういった誘いがくるとは思っていなかった。
もちろん、断る理由も無いので二つ返事で了承する。ビリーはどうするのか尋ねると「やべぇ!スターライトナイトの特番が始まっちまう!」とアミリオンを抱えてさっさと出ていってしまった。
しょうがない事にして、向かうホロウがどのような物なのかアンビーに聞くと、未だ調査が進んでおらずエーテリアスも多数存在しているらしい。
彼女から武器の携行をお勧めされたので、回収する荷物の事も考えてコンバットナイフとスタングレネード数個のみ持っていく事にした。
「…貴方がそれでいいなら、問題無いわ」
と後ろからボソッとつつかれた気もするが、聞かなかったことにする。
━━━━
行く先はアンビーが案内してくれたので、特に問題無くホロウ内に到着した。
入る前にアンビーから、目をONにしとけと言われたので大人しく従うとした。
辺りを見渡すと、あまり荒らされておらずただホロウに飲まれただけの空間、というのが正直な感想だ。
確かに他のホロウレイダーが探索したような痕跡は無い為、探しがいがありそうな場所ではある。
しかし、危険だと言っていたエーテリアスの姿がまるで見えない。隠れているのか、それとも偶然いないだけなのか…と考えていると、エーテルの波が自分の身体を横に突き抜けた。
「っ!」
咄嗟に持っていたナイフを波の軌道上に合わせると、なんとアンビーが電磁ナタを振り抜いており、ナイフと弾き合う形になった。
「びっっくりしたぁ!なんか気に障るような事でもしたか!?」
「いいえ、でも昨日の貴方の戦いを見て勿体無いと思ったの」
「なんだ嫉妬か?」
「それも違うわ。ただ、磨けば光る原石があるのならそれを磨きたいと思うのは当然でしょう?」
つまりなんだ、俺に稽古をつけてくれるという事だろうか。
今日までコツコツ生きてきた善良な市民に対して何たる仕打ちだろうか。どうやらアンビーという人の見方を変えないといけないらしい。
どんな軍隊も訓練前にはある程度、予告するものだと思っているのだが、唐突にかつ真剣での訓練など誰もが御免こうむるだろう。
無論、俺もそうだ。生き残るための術を教えてくれるのは助かるが余りにも力技すぎる。まるで元々、誰かにそう教えていたかのような立ち振る舞いだ。
「貴方のその目と瞬発力なら、確かに武器をナイフにしたのは正解ね」
「そりゃどうも。正解のご褒美にさっさと帰るってのはどうだ?」
終わったらそのご褒美を上げるわ、と言ったのも束の間、エーテルの波が荒々しく乱れるのが見える。
それは全て、自分を縦に横に割くように流れる。ほぼ同時に見えるが、感覚的に縦の方が早く流れたように見えた。
瞬時に頭上にナイフを構え、アンビーの一閃を弾く。続いて真横になぎ払いがくるが、これを上体を逸らして躱す。伸びきったアンビーの身体を押して体勢を崩そうとするが、咄嗟に電磁ナタを逆さに持ち替えて攻撃してくる。
それに気づいた俺はバックステップで距離を取ろうとするが、今度は下顎付近からエーテルの波が貫いてきた。
慌てて横へローリングするとアンビーが下から突き上げるように追撃してきた。
「容赦って言葉、知ってるか?」
「えぇ、最近同じセリフを映画で聞いたわ」
━━━━
それから、どれくらい経ったのだろうか。
問答無用で降り注ぐ攻撃を、弾き躱し受け流しの繰り返しだ。
オマケに目を力いっぱい使用しているため、頭痛も酷い。
しかし、その甲斐あってか少しだけエーテルの波を以前より早く感知できるようになった。
始めたてはギリギリの攻防だったが、時が経つにつれて経験の差で押されていった。
アンビー曰く、俺はパリィのように相手の攻撃を弾くのではなく逸らすようにした方が良いらしい。
どうもパリィする際に、必要な力と武器の性能的に相手の体幹を崩すのに向いてないと言う。
まぁ、それに関しては自覚していた部分ではあるのだが、人から指摘されると少し悔しく思うものだ。
しかし、かといってすぐに直せるものでもないし大人しくそのアドバイスを汲むことにする。
「…正直、攻撃面に関してはまだ改善の余地はあるのだけど、今日はここまでにしましょう」
「はぁ、はぁ、なんっで、息すら切れてないんだよ」
やっと終わったという開放感と、圧倒的な体力差を見せつけられて少し嫌になる。
ともかく、これで終わりなのだ、さぁ限界の身体にムチを打ちさっさと拾える物だけ拾って帰ろうとする。
そう自分がフラフラと探索しに行くと、後ろからアンビーが声をかけてくる
「…そういえば、ここに人気が無いのは調査が完了したからというのと、ホロウが小さすぎてエーテリアスも滅多に発生しないからよ」
「急にどうしたんだよ…まぁエーテリアスが発生しない事には何の問題も無いだろうに」
「いえ、私が言いたいのは調査が完了したという事は、既に殆どホロウ内の残留物は残ってないという事よ」
…な、なんだと…!
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色々とズタボロとなった身体を引き摺りながら六分街に戻ってきた。もう既に日は沈み、月が煌々と夜の街を照らしている。
「今日は色々と付き合ってくれてありがとう」
「問題は無いんだが、ただ次やる時は予め言って欲しいけどな?」
「次からは善処するわ」
少し微笑みながらアンビーが答える。その笑顔は一体どのような意味合いなのだろうか、帰ったらアキラに聞いてみようか。
日中はずっと動いていたからか、腹が減って仕方が無い。とりあえず何でもいいから固形物を口に入れたい程には飢えていた。
そしてそれはアンビーも同じなのか、帰る前に食事でも、とお誘いを受けた。実際、帰ってから料理する気は微塵も無かったのでそこらで買って帰ろうかと思っていた所なので都合が良かった。
辿り着いた所はここらで有名なバーガーショップだった。あまりこの手合いのジャンクフードは食べないのだが、たまには良いだろう。
適当なバーガーセットを受け取り、先にアンビーが座っている席につく。
アンビーは既にハンバーガーを口に含んでおり、両頬がもきゅもきゅと動いているのが分かる。
「アンビーはハンバーガーが好きなのか?」
「えぇ、ハンバーガー程完成された料理は無いと思っているわ。
炭水化物、脂質、タンパク質、食物繊維やミネラルまでこの1つに集約されているもの」
…最初の3つはまだ納得できるが、食物繊維?ミネラル?もしやそれをバーガーの挟まっているレタスとトマトに任せてしまってるのだろうか。
レタスの食物繊維は少ない部類なのだが、こんな所でグチグチ言う事でもないので、適当に返事をして俺もかぶりつくことにした。
久しぶりに食べたハンバーガーは、疲れていた事もあってかとても美味しかった。
転生要素いらなくない?
…まぁ、いいでしょう。
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