新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話   作:ぽこちー

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照ちゃん可愛いやったー



照 ①

 

 

 野菜がたくさん入った買い物袋を両手に、『あなた』は自宅へと向かって帰路を歩いています。

 今日は運良く新鮮なにんじんが手に入ったため、にんじんを使った料理がいいだろうと、頭の中でいくつもの献立を思い浮かべていました。

 

 カレーや肉じゃが、野菜炒め、きんぴらごぼう。

 次々と案が浮かんでは消えていきましたが、やがて『あなた』の中でひとつの答えに辿り着きます。

 やはり、あれしかない、と。

 

 そんなとき、背後から『あなた』を呼ぶ、聞き慣れた明るい声が聞こえてきました。

 

 

「やっほー、お疲れ様!」

 

 

 振り返ると、そこに立っていたのは『照』でした。

 TOPSの監査組織『クランプスの黒枝』に所属する、“常勝不敗”の異名を持つウサギのシリオンの女性です。

 

 可愛らしい外見とは裏腹に、底知れない実力と冷酷さを秘めており、彼女を恐れる者は決して少なくありません。

 しかし、『あなた』にとっての照は、そうした存在ではありませんでした。

 なぜなら、照は『あなた』の恋人なのですから。

 

 

「あー! これって、今話題になってるにんじん!? ザオちゃんのために買ってきてくれたの!?」

 

 

 照は買い物袋へ視線を向けると、宝物を見つけたかのように目を輝かせ、『あなた』を見つめてきました。

 その視線があまりにも素直で、『あなた』は思わず優しく微笑み、ゆっくりと頷きます。

 次の瞬間、照は年相応の花が咲いたような笑顔を浮かべ、『あなた』に勢いよく抱きついてきました。

 

 

「やったー! ありがとね!」

 

 

 その無邪気な喜び方に、『あなた』は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じます。

 もっとその笑顔を見ていたくなり、『あなた』は照に、今日の晩ご飯は何がいいかと尋ねました。

 

 

「晩御飯? うーん……ザオちゃんは、キミが作ってくれるものなら何でもいいんだけど……」

 

 

 照は少し考え込むような仕草を見せつつ、どこか言いたげな表情で、ちらちらと『あなた』を窺っています。

 本当は食べたいものがあるのでしょう。

 しかし、それを口にするのが少し恥ずかしいようでした。

 その気持ちを察した『あなた』は、穏やかな笑みを向けながら、先ほど心に決めた料理を提案しました。

 

 

「えっ? また特製のサラダを作ってくれるの? それも、にんじんスティック入りの? ざ、ザオちゃん的には嬉しいんだけど……キミは嫌じゃないの? 昨日も一昨日もそれだったし……」

 

 

 照の瞳は一瞬きらめきましたが、すぐに申し訳なさそうに揺れます。

 それを見て、『あなた』は首を横に振り、問題ないことを伝えました。

 

 

「ほ、本当? ザオちゃんに合わせて無理してるとかじゃなくて?」

 

 

 無理などしていない。

 むしろ自分も好きなのだと正直に伝えると、照は目を見開き、驚いた表情を浮かべました。

 

 

「す、好き!? そ、そっか……それなら、それでお願いしようかなーって……」

 

 

 照は顔を赤く染め、慌てたように視線を逸らします。

 その仕草があまりにも愛おしく、『あなた』は迷うことなく、自分の想いを言葉にしました。

 

 

「“もっと好きなのは、照と一緒にいること”?……うーーーー!! も、もうっ!!

 どうしてキミは、そんな恥ずかしいことを平気で言えるのっ!?」

 

 

 顔を真っ赤にした照は、照れ隠しのように『あなた』をぽかぽかと叩いてきます。

 その様子が可笑しく、また嬉しくて、『あなた』の口元には自然と笑みが溢れました。

 やがて照は、顔を『あなた』のお腹に埋め、小さな声でぼそりと呟きます。

 

 

「ざ、ザオちゃんも……き、キミのことが……大好き……だよ……?」

 

 

 上目遣いでこちらを見上げる照があまりにも愛おしく、『あなた』はそっと彼女のおでこにキスをしました。

 照は「えへへ」と小さく笑い、キスをされた場所に手を当てます。

 

 そして、どこか満足そうな表情を浮かべると、『あなた』の持っていた買い物袋を手に取り、空いているもう片方の手を差し出しました。

 

 

「はい、ザオちゃんが持ってあげる! だから、ね? 『等価交換』だよ?」

 

 

 『あなた』は、差し出された手を優しく握り返しました。

 照の小さな指が絡み、ぎゅっと力を込めてくるのを感じます。

 その温もりがあるだけで、不思議と今日一日の疲れがほどけていきました。

 

 買い物袋を揺らしながら、二人は並んで歩き出しました。

 どんなに辛く厳しい世界でも、帰る家があり、そばにいてくれる人がいる。

それだけで、この世界は十分に優しいのだと『あなた』は思いながら、照と共に歩みを進めていくのでした。

 





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本当は感想欄に書いて欲しいんですけど、ハーメルンの規約的にNGっぽいので……。
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