ロドスとレユニオンの両陣営を高速で反復横跳びする一般9級フィクサー()の奮闘劇   作:名も無き悪魔の執筆家

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皆様、アンケートありがとうございます!結果として、溜め込んで放出するということになりました
1話だけ公開して欲しい人たちが何人か居たので、予告編のような形で少しだけ内容を見せようと思います!
下記にリンクを貼りますので、気が向いたらご一読ください!

https://syosetu.org/novel/360759/


特色フィクサー『黒い沈黙』

「はぁ、はぁ、はぁ......」

 

火に包まれた都市の大地を、一つの集団が駆ける。その統率の取れた動きは彼ら一人一人の練度の高さが見て取れる。天災の被害をもろに食らったチェルノボーグにてドクターを救出したロドスは、突如として現れた『レユニオンムーブメント』のボス、タルラの手から逃れ、都市の郊外へと脱出しようとしていた。

 

「もう少しでこの地獄から脱出できる」

 

そう思う彼らの顔ぶれは明るいものだけではなかった。それもそのはず。今回の作戦では想定以上の被害が出てしまったし、負傷者も少なくない。それになんと言っても.........

 

「Aceさん.......」

 

誰かがポツリと、そう呟いた。

 

Ace、ロドスのエリートオペレーターであり、ロドスの頼れる兄貴分。みんなからもよく慕われていて、内外問わず友人が多い。最近ではフィクサーの『ローラン』という青年とよく飲んでいた。

 

そんな彼が死んだのだ。ドクターを、アーミヤを。ロドスの皆を逃すために。いや、まだ死んだとわかったわけではない。だが、片手を無くし、ボロボロの状態で、レユニオンの幹部とリーダー相手に、自分と自分が率いる部隊の少数だけで、レユニオンの前に立ち塞がったので、まず持って生きている可能性は低いだろう。そして特色フィクサーの『黒い沈黙』。奴がこの戦場に立つだけで盤面がひっくり返った。あの場にはいなかったが、おそらくチェルノボーグの何処かにはいるだろう。目をつけられたら一貫の終わりだ。彼らの犠牲を無駄にしないためにも、急がなければ。

 

そうして、多くの犠牲を出しつつも辿り着いた脱出スポット。後は要請した貨物ヘリでこの都市を脱出するだけだ。

そうして先頭の部隊が一歩前へ進んだ時.......

 

カチッ

 

と、何か音がした後

 

ドガァーン

 

と爆発と衝撃がロドスを襲う。

 

舞う粉塵。脳に響く衝撃。耳をつんざく様な爆音。眼を覆う煙。肌を焼く爆炎。それらが一斉に、アーミヤたちの元へ襲いかかった来た。

 

「なんだ!?一体何が起きた!?」

 

動揺するロドスの面々。あまりにも唐突な出来事で誰も対応することができなかった。巻き込まれたオペレーターを救助しようと医療オペレーターが駆け寄るが、そこにさらに爆発が起こる。圧倒的被害多数。動けばどこに仕掛けられたかわからない爆弾が爆発する状態。下手に動くことのできない状態で固まったロドスの前、粉塵の向こうから声が聞こえてくる。

 

「ダメじゃない。そんな簡単に脱出しちゃ。あなたたちにはまだやってもらうことがあるんだから」

 

そうやって煙の向こうから現れたのは一人の少女。銀の髪に赤と黒を基調とした服。後ろにはいくつものいくつものラテラーノ銃を携え、穴の空いたグローブをはめる手には起爆装置のスイッチの様なものを握っている。何より目立つのは、彼女の頭に生えているどの生物のものとも取れない角。サルカズ.......『悪魔』と呼ばれる種族のものだ。

 

「サルカズ?なんでここに.......レユニオンの仲間か?」

「ぴんぽ〜ん、大正解〜。まぁ実際は傭兵として雇われただけだけど」

 

傭兵。テラの大地を流浪し、金を積まれれば雇い主の命令を聞く忠犬........フィクサーほど仕事を選ばないわけではないが、レユニオンに雇われた以上、奴らの命令通りに敵を殲滅する。しかも相手はサルカズだ、楽に通らせてはくれないだろう。

 

「さて、本来だったらここであの気に食わない龍女.....タルラの言う事なんか聞かずに仕事終わらせて帰るつもりだったんだけど、そうも行かなくなったのよね」

 

そういうと、目の前の少女の背後から、横の建物から、瓦礫の下から、何人ものサルカズが現れる。一人二人と現れては、ロドスの面々を着実に包囲していく。

 

「先に自己紹介と行きましょう。あたしは『W』。サルカズの傭兵にして、レユニオンの幹部の一人。そして........」

 

____黒い沈黙の依頼人でもあるわ

 

Wはさもありなんと、当然のことかのように言う。だがしかし、それは黒い沈黙をこの戦場に呼んだのが目の前のサルカズということであり、彼女の存在によっては、ロドスの犠牲者も、チェルノボーグの犠牲者も存在しなかったかもしれない。

 

「そんな怖い顔しないでよ。別にあたしはあんた達と殺りあおうってわけじゃないから。ちょっと用があってね」

 

そう言って軽快に近づくW。一歩一歩、距離が縮まれば、こちらの命を刈り取らんとする死神の距離も縮んでいく。辺り一帯に緊張が走る。

そうして、あと一歩でも近づけば、即刻叩き伏せるような状況になったとき、その直前でWの動きが止まる。彼女の目の先には守られるように囲まれた一人の人物。フードを深く被った人物、ドクターの方を向いている。

 

「ドクター。あんたはあたしのことを覚えてないだろうけど、あたしは一度たりともあんたのことを忘れたことはないわ。あんたが何をしたかもね」

「あいにく私は今何も覚えていないのよね。私が何者なのか、私が何をしていたのか。だから貴方に感情をぶつけられても何ら響きはしないわね」

 

凛とした声で、突き放すように言うドクター。事実であることを述べているだけなのだが、それが人の神経を逆撫でするように、人の感情を知らない機械のように淡々と告げる。

 

「あぁ、そういうところだけは変わってないみたいね。安心したわ。あんたが馴れ馴れしく話してきたら鳥肌が立ってエンケファリンでも吐くところだったわ」

 

ドクターの発言に対して、皮肉混じりに返すW。爆弾のスイッチに手が伸びたことで一触即発の空気が流れる。その場にいた全員の神経が極限まで研ぎ澄まされる。

スイッチを手にかけたまま、Wは言う。

 

「まぁそんなわけで、あたしはあんたらのドクターに用があるわけ。だからそいつをあたしに渡してくれない?」

「そんなことは論ずるに足りん。そんなことをして何も得がない」

「まぁまぁ、焦らないで頂戴。言ったでしょう?事を構える気はないって。それに、あんたらにとっても興味のありそうな情報もあるんだから」

 

そういって両手を広げておどけて見せるW。だが、情報を持っていることは間違い無いのだろう。そうでなければここまで危険なことはしないはずだ。

 

「さっきそこであんたたちと同じような服を着た人たちを見たわ。偽装してたみたいだけど、ウルサス人を何とか誤魔化せる程度ね、それじゃあたしの目は誤魔化せないわ」

「偵察チームの皆さんでしょうか.........?」

 

Wの言う人物に覚えがあるのか、アーミヤはそう呟く。それを聞いたWは何か企んでいるような口調と声でアーミヤに向かって話しかける。

 

「そこのウサギさん。あなたが彼らのボスよね?貴方に聞きたいことがあるの」

 

獲物を見つけた獣のような、それでいて狡猾な蛇のような企みを含んだ眼で、続ける。

 

「あなたがどんな魔法を使ったら、あなたのためなら命だって喜んで投げ出す下僕にしたのかを」

 

ニヤリと笑みを浮かべながら、悪魔はそう言った。

 

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金属同士がぶつかり合う音が、戦場の音色を奏でる。小気味のいいリズムで武器同士がぶつかる音がすれば、装備ごと叩き潰すかのような鉄の塊が、肉を潰して鈍い音を響かせる。

一人、また一人とそれを繰り返せば、気づけば足元に血溜まりと死体が散乱していた。もはや原型すらわからない肉塊だが、ついさっきまでは動いていたと思うと、この世界にとっての命の価値がどれほどのものなのかを考えてしまう。

そうして、彼の足元にまた一つ死体が増える。ロドスのオペレーター。それも一般兵ではなく、よく訓練された兵士だと言うことがわかる。エリートオペレータである『Ace』の部隊である以上、生半可な兵士であれば入隊しても生き残れるか不安なところだ。

もっとも今この瞬間に、この部隊は壊滅することが決定したのだが。

のっぺりとした黒い仮面をつけたナニカ。特色フィクサー『黒い沈黙』は、ドクターたちを逃すために時間稼ぎをしたAce率いる部隊をほぼ単独で壊滅させ、残ったのはAce一人だけとなった。

片腕をなくし、味方もいない。出血多量で今にも倒れそうなほど不安定な体は、もうすでに限界を迎えているのがわかる。しかし、それでも倒れることなくこちらに向かってくる彼の意志の強さは、まさに戦士といったところだろう。

黒い沈黙は、Aceを見つけると少しばかり時間を置いた後に、長剣による一線をAceの首を刈らんと向ける。しかし、直前のところで盾によって防がれ、そのまま体重を乗せてバランスを崩させようとしてくる。

防がれた反動を利用して後ろに軽く下がった後、今度は手袋によって音を消し、先ほどとは別角度から短剣による斬撃を加えるが、寸でのところで躱され、傷を与えはしたものの大したダメージにはならなかった。

そうして手を変え品を変え、1()2()()()()()()()()使()()()()..........

 

不気味なほど静かな戦場と、彼の黒いスーツに何度目かわからない返り血が、彼を汚した

 

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「あんたがどんな魔法を使ったら、あんたのためなら命だって喜んで投げ出す下僕にしたのかを」

 

Wにそう問いかけられたアーミヤは最初、その意味を理解できなかった。

 

「あなたは......一体何を.........何を、言ってるんですか.............?」

 

思わずそう返してしまったアーミヤに、Wは蛇のように狡猾に目を細くすれば、畳み掛けるように続ける

 

「あんたには本当に........彼と違って、多くの犠牲の上に立つだけの資格があるのかしら?」

 

『彼と違って』。その言葉にどこかひっかりを覚えたアーミヤだったが、何を言うこともできず、ただただ息を呑むことしかできなかった。そうして、Wが何かを続けて何かを言わんとした時.......

 

「あなたは一体何をしたいのかしら。私を連れて行きたいなら、さっさと周りにいるあなたの部下を差し向けて攫えばいいし、ただただ話したいだけなら危険を冒してまでわざわざ姿を晒す必要はないわ。理解できない行動をするのは私にとってはどうでもいいけど、邪魔をするならさっさとどこかに行ってくれないかしら?」

「まだあんたの番じゃないんだけど......」

「順番なんてものがあったのね。てっきりところ構わず噛み付く駄犬かと思ったわ」

「殺されたくなかったら黙ってなさい。あんたらの命を握ってるのがあたしだと言うことは忘れてないわよねぇ?」

 

ドクターからの挑発に、手元の起爆スイッチで牽制するW。命を握られている感覚が、体中に悪寒を走らせる。

 

「ま、いいわ。遠回しに言うのはやめにしましょう。いらっしゃい、ウサギさん。あなたの可愛い下僕をあたしに差し向けるといいわ」

「あなたは......あなたは何もわかっていません」

「わかるわからないはこの際関係ないわ。この世界じゃ言葉に大した意味はないもの」

「W、ロドスの皆さんが私に命を預けてくれたのは、誰もが自ら選択した結果です。私の下僕になった人なんていません」

 

Wからの問いかけに、悪寒を抑えながらそう言い返すアーミヤ。Wの言葉は、アーミヤにとって受け入れ難いものだった。

 

「ロドスの皆さんの命は、全員かけがえのない価値と輝きを持っています。これ以上、あなたにその命を穢させはしません!」

 

そう言い放ったアーミヤは、精神を集中させ、アーツを発動させる。漆黒の多面体が周囲に浮かび、Wの方へ照準を向ける

 

「ドクター!!」

「えぇ。総員、戦闘準備」

 

出口は目前。ここを抜ければ生きて帰ることができる。そのために、この逆境を乗り越えようと、最後の力を振り絞り、この状況を突破しようとする。

一触即発の空気で、ただ一人笑みを浮かべているWは「ふふっ」とだけ笑って、おちゃらけたように両手を挙げる。

 

「降参よ降参。あたし自身あんたらに矛を向けるつもりはなかったし」

「そう簡単に見逃すと思っているのか?」

「あんたらだって無駄に犠牲を出したくないでしょ?用があったのはそこの捻くれフードとウサギさんの二人だけだったから、あたしからもう用はないわ。それに..........」

 

見せびらかすようにレユニオンの無線を取り出すと、こちらに向かって放り投げる。慌てて受け取れば、ノイズ混じりの音声と共に女性の声が聞こえる。声からしておそらくタルラだろう。

 

『黒い沈黙が時間稼ぎをしたロドスの部隊を殲滅させた。総員集合し、残存する勢力を見つけ出し、排除せよ。可能なら捕縛してくれとメフィストからの要望だ。それとW、早く戻ってこい。単独行動は許可したが、なんでもしていいという訳じゃないぞ』

「あんたらのお仲間は勇敢に戦ったみたいね。結構粘った方なんじゃない?」

 

残酷な現実を無惨に、そして平然と突きつけてくるW。他人事のように話す彼女は、命に対して何を思っているのだろうか。

 

「じゃああたしはこれで。あんたたちも早く行ったほうがいいわよ〜。あたし以外の誰かが来るかもしれないし」

 

ひらひらと手を振ってここから去るW。後を追うにも彼女の部隊のサルカズに阻まれ、近づくことすらできない。

しばし呆然としていたが、これ以上状況が悪化しないためにも、彼らの犠牲を無駄にしないためにも急いでロドス・アイランド号の元へ向かう。

 

地獄のような任務の最後は、あまりにもあっけないものだった。

 

 

 

 




さてさて皆さん。お久しぶりです。まぁあまりにもお久しぶりすぎてもはや忘れてしまっている人もいるかもしれませんが。
まずは遅れてしまい申し訳ありません。リアルが忙しかったのはありますが、オリジナルの小説を別で作成していたのが一番の理由だと思います。現在第一話が完成し、第二話を作成中なのですが、おそらくと言うかほぼ確で投稿には長い期間の空きが生まれます。そのため、皆様にアンケートを取りたいと思います。
第一話だけでもいいから投稿するか、話数を溜め込んでおいて、数ヶ月後に一気に投稿するか。
皆さんがしたいようにしてください。その結果をもとに判断します。期限はこの話を投稿してから2週間とします。お気軽に投票してくだされ。
また、オリジナルの方をメインに執筆する関係でこちらの作品の投稿が遅れる可能性があります。ご了承くださいませ。私の方もできるだけ早くできるように取り組んでまいります。
それでは皆様、アンケートの回答お待ちしております。
では、またどこかでお会いいたしましょう。
あとリンバスのホーエンハイム好きなんだけどわかる人います?めっちゃ良くないあのダウナー系研究者お兄さん。背景ストーリー含めてドストライクでした。みんなもリンバスカンパニーを、やろう!(布教)

オリジナル小説を現在完成してる第一話だけ投稿するか、それとも溜め込んで数ヶ月後に一気に投稿するか

  • 一話だけ投稿する
  • 溜め込んで一気に投稿する
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