ロドスとレユニオンの両陣営を高速で反復横跳びする一般9級フィクサー()の奮闘劇   作:名も無き悪魔の執筆家

4 / 9
感想と評価ありがとうございます
ついにお気に入りも200人。 やったぜ。
これからも頑張っていこうと思いますので何卒よろしくお願いします。

追記
皆様、アンケートありがとうございます!結果として、溜め込んで放出するということになりました
1話だけ公開して欲しい人たちが何人か居たので、予告編のような形で少しだけ内容を見せようと思います!
下記にリンクを貼りますので、気が向いたらご一読ください!

https://syosetu.org/novel/360759/


仮面と静寂

暴動が起きたチェルノボーグは、正に地獄と言って良い様相だった。あちらこちらから火の手が上がり、爆発によって廃墟が並び、レユニオンの構成員たちは目に付く全てを破壊していった。

 

当然、この事態にはチェルノボーグ憲兵団であるウルサス軍警が総動員されているわけだが、被害は酷くなるばかりだ。それに、先程から何処とも連絡が取れない。前線で感染者を抑え込んでいる部隊はともかく、後方部隊や作戦本部から何も応答がないのはあまりにも不自然だ。

 

そう言えば、ついさっきまで聞こえていた爆発音や戦闘音が聞こえなくなっていた。もしや戦闘が終わったのか思い、急いで本部へ戻ろうとする。戦闘が終わっているなら、わざわざ戦況の報告などをする必要もない。それなら連絡が取れないのも説明がつく。取れないのではなく、取らないのだ。そうだ、そうに違いない。そもそも、感染者如きが陛下のウルサス帝国に勝てるはずがない。そんなことを頭で考えていれば、ふとある事に気が付く。

 

_________先程から妙に静かだ。戦闘が終わったにしてもおかしい。てっきり市民がパニックを起こしていると思ったが、悲鳴も叫び声も怒号も足音も聞こえない。不思議に思って部下の方へ向き、確認を取ろうとするが、後ろには誰もいない。おかしい、ついさっきまでやり取りをしていた筈だ。

 

もしや嵌められたか?そんな予想が頭にちらつく。だが物音も少しも出さずに人を殺すことなど可能なのか?感染者如きに?だが警戒するに越したことはない。前方を視察させていた部下と連絡を取らなければ。そう思い前へ駆け出すが..........

 

_________ポツン

 

頭に何か液体が落ちてくる。はて、雨でも降り始めたのだろうか?落ちてきた液体を触ってみれば妙に粘ついている。一体何が落ちてきたのだろうか。液体に触れた手を見てみれば、そこにあったのは想像していた水のように透明な液体ではなく、赤黒いナニカであった。瞬間理解する、自分が一体どんな状況に置かれているかを、そして部下に何があったのかを。武器を出し、辺りを極限まで意識を集中させる。敵の姿がわからない以上、どこから来るかわからない。前後左右上下、あらゆる方向を警戒s............

 

 

 

 

 

 

 

ぽとっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かが落ちた。それと同時に己の視界が回転する。何者かの攻撃を喰らったか、それともアーツか。慌てて体勢を立て直そうとするが体に力が入らない。なんだ、一体何が起きたんだ!?

 

 

そうして回転する思考と視界の中、あるものを見つける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の体だ。血を流し倒れている。首から上のない、小さい子が人形で遊んだあとみたいな、そんな姿の己の体。そうして理解する。自分は殺されたのだと。人は首を落とされても数秒は意識があるというが、どうやらその通りらしい。

 

なんてくだらないことを考えていれば、だんだんと視界が暗転する。

 

暗くなる視界の中、闇よりもより黒いナニカと目が合った気がした。

 

 

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血で汚れた裏路地の中、血塗れの剣を振り払って血を落とした後、()()()()()()。転がった首を一瞥しながら通信機で連絡を取り合う。

 

 

「W、こっちは終わったぞ。後方部隊、移動中の部隊、支援小隊、予備戦力はあらかた片付けた。本部との通信の妨害もしたから向こうも動きづらくなった筈だ」

『...........やっぱあんた一人だけでよかったんじゃない?というか、ジャミングなんてあんた出来たのね』

「俺は本来情報戦が得意なんだよ。戦闘に関しては大体不意打ちで終わらせたからな、これなら誰でも出来るだろ」

『全員があんたみたいに動けるわけじゃないのよ、感覚マヒってんじゃない?』

 

 

もはや驚愕通り越して呆れと言った声のWに反論するが、悲しいかな。特に意味を成すことは無かった。

 

 

『まぁいいわ、とりあえずあたしの方に帰ってきなさいローr.........オルランド』

「いい加減名前を間違えないでくれよ」

『今までその名前で呼んでたんだからしょうがないじゃない』

「はいはい、とりあえずそっちに戻るか」

『早く帰ってきなさいよ』

「わかってるって」

 

 

そう言って通話を切る。先ほどの裏路地から通りへ出てみれば、それはもう酷い有様だった。いや非道いというべきか?

 

美しかった街並みは軒並み廃墟と化し、窓から中を覗けば女子供関係なく死体が転がっていて、それは通りでも同じことだった。レユニオンの構成員たちは通りを占拠し、手当たり次第に破壊の限りを尽くしている。軍警も対処しているがあれはダメだな、士気が低い。敵前逃亡してる奴らもいるし人数に差があり過ぎる。これじゃあもうチェルノボーグの警察機関は機能しないだろうから、ウルサス軍が派遣される筈だ。だが今まで音沙汰も何もないのが不思議だ。こういった状況になったら上の連中はすぐに軍を動員すると思ったんだが...............もしかしてレユニオンの連中は裏工作もしてるのか?だとしたらとんでもないな。

 

..............それにしても、感染者の怒りがここまでだったとはな。死体が転がる通りを歩きながらそんなことを思う。ウルサスがやってきたことへの恨みが、今日まで積もりに積もった結果がこれなのだ。ある意味自業自得とも言えるだろう。

 

そんな中、無惨にも転がっていた死体と違って縄で拘束されているレユニオンの構成員を発見する。全員気絶しているようで、命に別状はなさそうだ。だが、一体誰がこんな手間のかかることをしたのかが疑問だ。

 

とりあえず適当に一人起こして聞いてみるか。拘束を解く前にブービートラップの類が仕掛けられていないかを確認してっと............問題なさそうだな

 

 

「おいお前、一体何があった?」

「あ.....あんたは...........?」

「今回依頼された特色フィクサーの黒い沈黙だ。名前が必要ならオルランドとでも呼んでくれ。で、誰と交戦した?殺されてない以上、ウルサスの奴らじゃなさそうだが..........」

 

 

あいつらだったら一片の慈悲もなく殺してるか拘束して強制労働施設送りだろうからな。協会の連中か、それともチェルノボーグに在住していたフィクサーの仕業だろうか。そんなことを考えていれば、目の前のやつは怒気を孕んだ声で言う。

 

 

「....そうだ.......ロドス.......あの...裏切り者ども.....あいつらに俺達はっっ!!」

「落ち着け、全員無事だ」

 

 

立ち上がり、今すぐにでも飛び出していきそうなそいつを無理やり抑えて周りを見させる。他の奴らには出血や目立った外傷もなくただ気絶しているだけなのを伝えれば、安心したのか座り込んでしまった。

 

 

「.....そうか..............よかった」

「一体何が起きたんだ?結構な奴らが縛られているが、ロドスはそんなに大所帯で来たのか?」

「...........わからない。ただ気付けば味方が次々と倒れていって......こっちの行動が全部分かってるみたいで、何もできずに............」

 

 

自身の力不足に肩を下ろすそいつを尻目に、頭の中で情報を整理する。ロドスの連中は人を殺そうとしない。例外もいるにはいるが、基本的にはその通りだ。だが問題は部隊を率いている人物だ。ロドスには戦闘を指揮する指揮官が不在と聞いていたが.......ケルシーあたりがやったのか?まぁいい、目的が何にせよ警戒するに越したことはないな。

 

 

もし戦うことになったら............嫌だな、考えたくもない。だけどチェルノボーグは広いし、そうそう会うことはないだろ。

 

 

「あらかた把握した。お前らはこれからどうするんだ?」

「あんたについていくよ。俺らだけじゃ生き残れそうにないしな.......。いいか?」

 

 

手負いのこいつらを連れて移動するのはリスキーだが...........捕まって俺のことを話されても困る。なるべく俺が依頼を受けていることは知られたくない。それに、奥から何かが来てる。大方、軍警の連中だろうが見つかればどうなるかは想像に難くない。俺だけならバレずにここから離れられるが、こいつらは別だ。見殺しにするのは目覚めが悪い。

 

 

「ここで待ってろ」

「え?」

「ウルサス軍警が来てるから、今のうちに全員起こして動けるようにしておけ」

「あんた一人で行くってのか⁉︎」

「問題ない」

 

 

そういって前方へ駆け出す。無線でタルラに『作戦の達成は保証されている』なんて言われたんだ。やることはやらないとな。

 

 

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 ウルサス軍警隊長は焦っていた。チェルノボーグで起きている感染者の暴動はもはや止まることを知らず、対処のしようがなくなっていた。だというのに政府の連中は一向に増援を寄越さず、挙げ句の果てには暴動は鎮圧されたなどと世迷言を言いやがる。だがそれよりも許せないのは、感染者のクズ如きに我々ウルサス軍警が押されているということだ。

 

 

「くそっ!どうしてこんなことになったんだ...........」

「隊長、これからどうするんです?本部にも連絡が取れませんし、増援も来ないじゃないですか............」

「黙れ、そんなの俺が聞きたいくらいだ」

「敵前逃亡する隊員が出てくるせいで各個撃破され、後方の補給地点は壊滅。天災も目前だというのに、いまだに移動の様子はなしか」

「もしかして俺達見捨てられたんじゃ.................」

「馬鹿野郎。縁起悪いこと言ってんじゃねぇ」

 

 

不吉なことを言う隊員を一喝しながら、通りを歩く。この通りをずっとまっすぐ行けば、別の都市にいけるはずだ。そうすれば何とか生き延びることはできるだろう。幸い、部下の数もそこそこいる。何かあった時の囮ぐらいにはなるだろう。

 

 

「はぁ、こんなことになるなら、感染者の処置を追放や強制労働といった人道的なものではなく、即刻処刑にでもすればよかったな」

「そんなことばっかしてるからこんな目に遭ってるんじゃないか?」

 

 

ポツリと言った呟きに、部下から返答が返ってくる。はて、()()()()()()()()()()部下はいただろうか?まぁいい、まさか聞こえていると思っていなかったため驚いたが、部下の返答はどうも納得しかねる。

 

感染者の奴らは生かす価値のない連中ばかりだ。どうせいつかは死ぬ連中に使い道を見出していると言うのに、それに歯向かってきた以上、奴らには死という運命以外の選択肢はないだろう。そんなことをそいつに言うが、鼻で笑うだけだった。おかしい、自分の部下にこんな奴はいただろうか?

 

 

「いやまぁそうか。この街はこんな奴らばっかだからここまでの恨みを買うわけだ」

「お前何を言って.......いや待てそもそもお前は誰d」

 

 

拭いきれぬ、言いようの無い違和感。目の前のそいつの正体を知ろうと、問い詰めようとした瞬間。胸に焼け付くような痛みと感覚が走る。反射的に見れば、そこには一本の長剣が己の心臓を貫いていた。耐え難い苦痛に悲鳴を出すが、なぜか口から声が出ない。攻撃してきた何者かに反撃しようと武器を振るうが、容易く避けられさらに剣で突かれる。ボロボロになった体は動くこと叶わず、誰かに伝えようとした己の声は誰に聞こえることもなく、ただ沈黙に飲み込まれていく................

 

_________________

 

 

 

 

 

剣に付いた血を払い落とし、辺りを見回す。ざっと数えて20名、認識阻害の仮面の効果で隊長と思われる人物を殺したはいいが、ここからはノープランだ。だが残ったのは状況を把握できずに狼狽えている奴らばかり。特に警戒する必要のない烏合の衆だ。今の俺は、隊長を唐突に殺した部下と軍警には認識されているはずだ。ならこの手を逃すわけにはいかない。

 

 

「ゆる~くやってきましょっか。考えすぎないのが一番だろうし」

 

 

その言葉を皮切りに、近くにいた二人をデュランダルで切り払い、遠くにいた狙撃兵をロジックアトリエの拳銃で撃ち抜き、続けてショットガンで近くのやつの体に穴を空ける。ほぼ半狂乱の状態で切り掛かってきた奴はムク工房の刀でバラバラになり、大人数に包囲されたときは攻撃を回避しながら軍警の防具の隙間をクリスタルアトリエの双剣で貫き、盾を使って攻撃を防ぐ奴はホイールズインダストリーの大剣で盾ごと上から叩き潰す。

 

 

「そんな隙だらけじゃ、刺してくださいって言ってるようなもんだよな」

 

 

固まって動く奴らは狼牙工房のナイフとガントレットで切り裂き、アラス工房の槍で空洞を作り、老いた少年工房のハンマーで体を凹ませ、ケヤキ工房のメイスと斧でいくつもの傷をつくる。気づけば敵の数は目に見えるほど減少し、今や片手で数えるほどとなった。

 

慌てた様子で逃げ出そうとする奴らを無慈悲にも撃ち抜く。通常であれば情けない声を上げていただろうが、悲鳴も銃声も肉の絶つ音も沈黙に呑まれていく。通りには血溜まりが広がり、見るも無惨といった状況だ。屍が転がる中、全身真っ黒で返り血まみれの男が佇んでいれば逃げ出したくもなるだろう。

 

 

............こんな姿、あいつらには見せたくないな

 

 

なんてことを思いながら、残っている奴らの方向を向く。残ったのは二人、片方は怒りの感情を滲ませ、もう片方は絶望の表情で泣き崩れていた。お互い何かを言っているようだが、何を言おうともただ静寂の音が響くだけだ。何も聞こえない。

 

 

..........何も聞きたくはない。もし命乞いでも聞けば、俺は殺せなくなるだろうから。

 

 

心に迷いが生じる前に首を切る。血飛沫が舞い、また返り血で汚れる。あいつらのところまで戻ろうとする時、視界の端に映った倒れた奴らの瞳が、俺を見ているような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




自分の行いをロドスのみんなに見られたくなくて会わないように願ってるローラン君..........かわいいですね。
会った時にはどんな反応するかな?
大丈夫だよローラン君。仮面のおかげでバレないし、もしバレても『それはそれで、これはこれ』でしょ?

オリジナル小説を現在完成してる第一話だけ投稿するか、それとも溜め込んで数ヶ月後に一気に投稿するか

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