「べらぼう」のチーフ演出・大原拓に「蔦重のこれから」と、新たな物語の注目ポイントなどを伺いました。
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日本橋で始まる新たな展開
壮年期を迎えた蔦重は、これまで以上に書を広めていかなければという思いを強くしていきます。吉原だけにとどまらず日本橋に進出するのは、そこに多くの人が集まるから。地方の商人たちが仕入れに訪れる場所であり、そこで本屋をやれば最終的には地方の人たちに娯楽を届けることができる。それが日本橋で本屋をやることの大きな理由です。
もちろん心の中に常に瀬川や源内がいることは変わらないけれど、吉原の人のためだけでなく、より多くの人々のために書を耕して世に伝えていこう。蔦屋重三郎という人間が心の娯楽となる本を出版するために、たくさんの人と関わり、そこから新しい発想をどんどん形にしていく。そんな娯楽を意識した本作りが一つの見どころになると思います。
つい最近、蔦重が初めて日本橋にオープンした店でお客様を迎えるシーンを収録したのですが、そのときの横浜流星さんの笑顔が本当に素敵(すてき)でした。あれは第3回で初めて自分が作った『一目千本』という本を手にしたときに見せてくれた笑顔にも通じるものがありました。
笑顔の質にもにっこり、柔らかいほほ笑み、破顔といろいろあります。蔦重のキャラクターには明るい要素も含めて破顔してもらいたいという思いがあるので、「ああ、いい笑顔が撮れたな」とうれしかったですね。
期待に応えて有名な人物も続々
ここからの物語で、蔦重に大きく関わる女性として登場するのが福原 遥さん演じる花魁(おいらん)・誰袖と、橋本 愛さん演じるていです。関わり方もアプローチもタイプもまったく違う2人なので、その違いを楽しんでいただきたいですね。ただ相変わらず、蔦重は女性の気持ちがわからないという設定です。人間はそんなに変わらないですよね(笑)。
また皆さんがおそらく期待してくださっている大田南畝や喜多川歌麿など有名な狂歌師や絵師もたくさん登場します。
彼らの人物像についてはわかっていないことのほうが多いのですが、そこは森下さんと話し合ってキャラクター作りを進めています。南畝に関してはとにかく明るい。一方の歌麿は、ずっと絵を描く動機を探しているやや陰のある人物になっていくと思います。
これまでも絵を描くパートでは役者さんにリアルに描いてもらい、手元から顔までをそのまま撮るということをしてきました。自然科学で小さな虫を撮るときに使うような特殊な(カメラ)レンズを使っているのですが、それは絵の良さを見るときに遠距離と近距離の両面があることを表現したかったからです。遠距離ではふつうに(全体が)見られますが、近くで見ることで浮世絵がより面白く楽しいものになる。それを表現するために、今後も同じような撮影方法を続けていくので、絵を描くシーンにも期待してください。
横浜流星は蔦重そのもの
これまでずっと流星さんを見てきて、役に対する取り組み方がとても繊細でありつつ大胆だなと感じています。流星さんはよく“蔦重を生きる”という言い方をされていますが、現場の流星さんは、横浜流星ではなく蔦重です。横浜流星を消して蔦重としてそこにいるわけです。これはなかなか簡単にできることではありません。相手によって何色にでも変化できるのは流星さんのすごさであり、最大の魅力だと思います。
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