トップオピニオンインタビュー新春対談 日本の保守再生はなるか(下) 皇室・家族政策 政権合意に期待

新春対談 日本の保守再生はなるか(下) 皇室・家族政策 政権合意に期待

小川「自虐史観衰え保守基盤健在」

田村「魚離れ危機を救った歌の力」

出席者
 政治評論家 田村重信氏
 一般社団法人日本平和学研究所理事長・文藝評論家 小川榮太郎氏
 司会=窪田伸雄(本紙編集局長)

新春対談に出席した政治評論家の田村重信氏(左)、一般社団法人日本平和学研究所理事長・文藝評論家の小川榮太郎氏
新春対談に出席した政治評論家の田村重信氏(左)、一般社団法人日本平和学研究所理事長・文藝評論家の小川榮太郎氏

 ――自民党・日本維新の会の連立政権合意書の第3項に「皇室・憲法改正・家族制度など」がありますが、どのようにご覧になりますか。

 小川 皇室の問題も藤田文武維新共同代表も大変な尊皇家ですが、悠仁殿下の加冠の儀は参政党の神谷宗幣代表と維新の藤田さんの祝辞が、実に立派でした。左翼から見たら戦前回帰と言いたいでしょうが、大日本帝国時代は日本の文化、文学の全盛期ですよ。その観点から見ると、あ、安倍さん、戦後レジームというのはあなたの亡くなった後だけど、本当にみるみるうちに変わってきましたよと思いながら加冠の祝辞を聴いておりました。ですから皇室、家族制度についても、しっかりとした保守的基盤がある。

 田村 そうなんですよ。合意書をちょっと読みますと、「古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえ、現状の継承順位を変更しないことを前提とし、安定的な皇位継承のため、皇室の歴史に整合的かつ現実的である『皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする』案を第一優先として、令和8年通常国会における皇室典範の改正を目指す」ということになっている。

 旧姓の問題では、「戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する。そのために、旧姓の通称使用の法制化法案を令和8年通常国会に提出し、成立を目指す」、それから「令和8年通常国会において、『日本国国章損壊罪』を制定し、『外国国章損壊罪』のみ存在する矛盾を是正する」というのも合意文に入っている。だから、やるということなのです。

 小川 すでに先生もおっしゃっているように、書いてあることを臨時国会でやり始めた。私から見ると自民党が一番びっくりしているんじゃないか。

 田村 連立政権というのはそういうことなのです。僕は自社さ政権(自民党・社会党・新党さきがけ)、自自公政権(自民党・自由党・公明党)などを自民党の事務職として見てきましたが、連立政権のすごさというのは党同士で合意しないと政策として乗らない。自社さ政権でも新党さきがけは小さな政党だけど、すごい存在感があるんですよ。

 小川 党内だけの公約だと、その後の党内の勢力の反対があったりする。

 田村 それで維新が反対したらだめになっちゃう。維新が離脱すると、高市政権が持たない。内閣不信任決議案が通ってしまうわけです。

 小川 そう。だから自民党の皆さんはおとなしく粛々と頑張っている。

 田村 人口政策および外国人政策も合意書に、わが国最大の問題は人口減少という認識に立ち、政府に人口減少対策本部を立ち上げ、子ども子育て政策を含む抜本的かつ強力な人口減少対策を検討実行する。ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応することが、日本社会になじみ貢献している外国人にとっても重要という考えに基づき対策を講じる、と書いてあります。

小川榮太郎氏

歴史・国語教育、自己否定脱却へ

 ――戦後の80年間は米国はじめ海外文化の影響が強まり、リベラルな風潮が日本を席巻しました。小川先生は著書『「保守主義者」宣言』(育鵬社)で、保守主義の基盤は日本の場合、「記紀萬葉以来の文学伝統と天皇伝統」とされ、これが昭和の終焉(しゅうえん)と共に破滅に瀕していると指摘されましたが、文化保守主義は復興できますか。

 小川 文化というものはいろいろな紆余(うよ)曲折があるものですが、戦後、歴史と国語を自己否定してしまった。これは一種の自殺なんで、立ち直るのが難しい。歴史の自己否定、これは自虐史観ですが、アカデミズムがそれに染まってしまうと、全てがその基準になりますから。

 しかし、希望はあります。新しい教科書を作る運動などができてきて、その流れの教科書も3種類出ました。若い子たちはユーチューブとかインターネットで見ますから、もう自虐史観の影響はほとんどなくなっています。しかし、それは受験エリートだけには残るんですよ。

 だから、ここは教科書にしても、採択基準にしても、高市政権時代に大胆な見直しをすべきだと思います。

 それと、これは政府の問題ではないが、文学の世界がやっぱり自己否定した。例えば、川端康成、谷崎潤一郞、三島由紀夫、小林秀雄の時代の後に、文学というものが安っぽい消費物になっていってしまう。国語教科書も、近代の小説と批評の超一流の作品をきちっと読めるというのを高等教育の目標に明確にしないといけません。

 高校国語で教えられるようになった「実用国語」については大いに疑問があります。契約書、説明書など「実用」の文章は、日常生活の中で学べばいいのです。今は「トリセツ」(取扱説明書)などが教科書に出てくるんですよ。あと、市役所にある文書とか。頭を鍛えれば、そういうことは後からついてきます。

 田村 そう。その通りです。

 小川 だから、もともとのオーソドックスな知的教育に戻す、そういう機運というものを醸成していく時期に入ったと思います。私は希望を持っています。

 田村 今、小川先生が言われたように、役に立たないことみたいだけど、基本中の基本となる哲学とか昔の文学とか、そういうものを学生の時に勉強をしておくことは極めて重要です。大人になっていくと、応用が利くんですよね。すぐ目先で何か実用的に役に立つようなことばかり追っかけていくとだめなんです。やっぱり、偉大な発想、偉大な発明というのは、基本的な哲学的なことを学んでいたかどうかが左右するのかなと、そんな感じが僕は最近します。

 田村重信氏

歌で自衛隊や憲法改正を応援

 ――田村先生は歌手として歌の効用も説いておられますが。

 田村 歌の影響って大きいです。僕は歌手をやっていますけど、それは水産の問題を通した経験からです。中曽根康弘内閣の時、大変な問題だったのは北洋漁業の救済対策です。米国とソ連が「200カイリ漁業専管水域」を設けて沿岸200カイリに入ってきた日本の漁船を全部閉め出すという話になって大変なことになった。そうすると締め出された船は、結局、日本近海に帰ってきても他の漁船があって仕事ができませんから、全部スクラップになる。外交でこうなったために国家で補償することになり、スクラップにした船についての減船補償、それから北海道地域は影響を受けるからその救済対策をやった。

 当時、僕は自民党で水産部会を担当していましたが、水産部会では問題が大き過ぎるものですから政務調査会全体でやったんです。当時は藤尾正行さんが政調会長で責任者になって北洋漁連の救済対策の委員会をつくって、やったんですよ。

 その頃の国民は魚を食べなくなってきた。ハムやソーセージなどを食べるようになり、魚は目玉があるとか骨があるとか、料理するのも奥さん方が大変だとかで、魚離れになった。それで魚の消費を拡大しようと思って、美味(おい)しいお魚ヘルシーライフといって大キャンペーンをやったけど、うまくいかなかった。

 イギリスのマイケル・クロフォードという学者が『原動力』という本(『The Driving Force』1989年)の中に、日本人と米国人の子供の知能指数を比べたら日本人の方が高いと書いた。その原因をいろいろ研究したところ、それは日本人が歴史的に魚を食べるからだという結論になった。それから、いろいろ調べてクロフォードさんを日本に呼んでヤマハホールで討論会をやりました。マスコミに取り上げてもらったり、結構売れましたが「魚を食べると頭がよくなる」という本を出版してもらったり、ポスターを作ったり、魚の消費を伸ばすためにいろいろやりました。

 このような日本での取り組みが海外でも話題になっているだろうと思ったのですが、当時、水産庁の担当者だった石原葵(まもる)水産流通課長がジュネーブに行った際に日本大使館員が知らなくてがっかりして帰ってくるんです。その帰りの飛行機で音楽を聴くわけですよ。それで、空港から僕に電話で「田村さん、歌はどう?」っていうから、僕がサンミュージックの社長に頼んで歌を何曲か作ってもらった。どの歌を選ぶのかは水産庁の若い人に選んでもらった。それで誕生したのが「おさかな天国」(1991年)なんです。魚を食べると頭がよくなるという歌詞の歌はヒットして魚の消費が伸びたでしょう。石原課長は後に農林水産事務次官になった方でした。

 そういうことがあったので、僕は憲法改正の本を6冊書いているのですが、いよいよ自分で「憲法よりも大事なもの」(2019年発売)という歌を作った。これはカラオケの「JOYSOUND」でも配信曲に登録されています。ユーチューブの「田村重信・たむたむ歌のチャンネル」には2曲出していて、一つは70年代フォークバージョン。歌で憲法改正をと思っていますから是非応援していただきたい。

 それから沖縄の与那国島に自衛隊を配備するとき僕はコミットして、それで自衛隊を応援しようと思い、「西果ての防人(さいはてのさきもり)」(2021年発売)という歌を作ってCDを出した。それもユーチューブに出ていて、与那国の観光PRも兼ねていますから是非ご覧ください。映像で海底遺跡も出てくる。

 歌というものは世の中を変える。生きていく上で楽しく、生活する上でも歌というのはいいですね。小川先生もクラシックや音楽に造詣が深いですから。

 小川 (笑い)

 ――どうもありがとうございました。

新春対談 日本の保守再生はなるか(上)

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