有明海の「アカエイ」20年かけ新種と解明…長崎大学チーム、江戸時代からの同一種との混同を覆す
長崎大の研究チームは、日本各地に生息する「アカエイ」の新種が国際学術誌に記載されたと発表した。江戸時代から長年にわたり同一種と混同されており、20年以上に及ぶ研究で複数種であることを学術的に解明した。有明海で見つかったことにちなみ、新種は「Hemitrygon ariakensis(和名・アリアケアカエイ)」と名付けており、生態解明が期待される。(山崎祥太) 【写真】アカエイとアリアケアカエイの皮褶
アカエイは、ドイツ人医師で博物学者のシーボルト(1796~1866年)らによって、長崎周辺を含む各地で採集されオランダの博物館に送られた複数の標本に基づき、1841年に「Hemitrygon akajei(和名・アカエイ)」が記載された。
長崎大水産学部の山口敦子教授(魚類学)と古満啓介研究員は、有明海でアカエイと似ている魚がいることを発見し、2003年から研究に着手。10年に特徴を解明し、アリアケアカエイと和名を付けた。
アリアケアカエイは、アカエイと外見は酷似しているが、尾の裏側にある「皮褶(ひしゅう)」と呼ばれる部分が黒く、アカエイにはない白い縁取りがある。また、腹側にあるエラの5番目の穴付近に横溝があるという。
別々の種とわかったが、山口教授らが調べているアカエイが、学名の基準として指定されているアカエイの標本と同一かどうかを明らかにする必要があった。13年にオランダの博物館に所蔵されている標本を調査し、幼魚と成魚両方を調べるなど通算約20年、1000匹以上を調査、研究してアリアケアカエイの新種記載に至った。
明治後期から作成された「日本西部及び南部魚類図譜」(通称・グラバー図譜)にもアカエイが描かれているが、特徴からアリアケアカエイと判明した。
山口教授は「アカエイの記載時からずっと混同されていた。日本各地の水族館に展示されているアカエイの中にもアリアケアカエイが混ざっていると思う」という。アカエイは、魚や甲殻類など様々なものを食べることから、生態系への影響が大きい種だといい、「生態を詳しく調べて、生態系の解明や保全につなげたい」と話した。