2026.01.03 13:00

仏ルーブル美術館、外国人の入館料を大幅に値上げへ 1月14日から

フランス・パリのルーブル美術館(Getty Images)

フランス・パリのルーブル美術館(Getty Images)

フランス・パリの観光名所ルーブル美術館は、警備体制の不備や老朽化した設備、膨大な来館者数といった問題を抱えながら、激動の10年を迎えようとしている。長年遅れていた改修の費用を賄うため、ルーブル美術館は14日から、欧州連合(EU)とシェンゲン圏外からの訪問者の入館料を現行の22ユーロ(約4000円)から45%引き上げ、32ユーロ(約5900円)にすると発表した。日本人も値上げの対象となる。

ルーブル美術館にとって試練の年となった2025年

美術館としては世界で最も多くの人が訪れるルーブル美術館にとって、昨年は試練の年となった。

● 10月、建設作業員に扮した窃盗団が高所作業用のリフトを使って同美術館に侵入し、わずか8分足らずで8800万ユーロ(約162億円)相当の貴重な宝飾品を盗み出した。
● 同美術館の職員は6月以降、深刻化する混雑や悪化する労働環境、増大する安全上の懸念を理由に、定期的なストライキを実施している。
● 11月下旬、深刻な漏水により300点以上の学術誌や科学文書が損傷し、老朽化した設備の管理に対する懸念も生じている。

フランス政府は同美術館の改修に推定7億~8億ユーロ(約1300億~1500億円)を投じる計画で、外国人向けの入館料の値上げによる増収分で一部を賄う見通しだ。仏紙ルモンドによれば、同美術館の来館者の69%がEU域外またはシェンゲン圏外から訪れており、値上げによる増収は年間1500万~2000万ドル(約24億~31億円)程度に上ると見込まれている。

過密状態に苦慮するルーブル美術館

年間約900万人がルーブル美術館の門をくぐり、モナ・リザやミロのビーナス、あるいはナポレオン時代にさかのぼる巨大で印象的なダイヤモンドを目にするのを心待ちにしている。

新型コロナウイルスが猛威を振るっていた頃、ルーブル美術館はオンライン美術館を開設し、実際に足を運ばなくても、モナ・リザを含む世界的に有名な絵画を鑑賞できるようにした。オンライン美術館には71日間で1000万人が訪れ、大成功を収めた。だが、今もなお人々の実際の訪問は止むことがない。

世界でも最も有名な建造物の1つであるルーブル美術館の中庭にあるピラミッドを含む建物群は、モナ・リザ、ミロのビーナス、サモトラケのニケという「三大名作」を一目見ようと押し寄せる絶え間ない観光客の群れに対応するのに苦慮している。来館者の8割は主にモナ・リザを目当てに来るため、同作品の周りには廊下まで行列が続き、混雑の原因となっている。気候変動による猛暑も、同美術館の廊下を移動しようとする人々の混雑に拍車をかけている。

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翻訳・編集=安藤清香

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2025.12.15 11:00

テクノロジーを武器に社会に貢献する──高い専門性で課題を解決するEYストラテジー・アンド・コンサルティングのプロフェッショナルたち

社会課題がますます増加し、複雑化するなか、テクノロジーの活用なしにはその解決が難しくなっている。EYストラテジー・アンド・コンサルティングには、そうした社会や企業の課題解決をテクノロジーの力で取り組むプロフェッショナルたちがいる。彼らが自らの知見を生かし、活躍する現場を取材した。


総合コンサルティングファームの「Big 4」の一角として、世界150以上の国と地域でサービスを展開するEYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)には、テクノロジーを専門とする部門がある。AI活用やDX推進など、従来のコンサルティングの枠を超えたサービスを提供。課題設定を含む戦略策定からシステム導入まで一気通貫で支援し、クライアントの変革を加速させている。

この部門には、社会的意義の高いプロジェクトを推進するプロフェッショナルが集う。自動車業界でのプラットフォーム構築、自治体のDX推進、グローバル企業のシステム刷新──その業務は多岐にわたる。彼らはどのようにして、企業や社会のテクノロジー変革を支えているのか。現場のコンサルタントたちに話を聞いた。

自動車業界のユーザ向けサービス統合プラットフォームの構築に従事し、社会的意義を実感

EYSCマネージャーの青木美和は、社会的意義のある仕事をしたいと考え、大学卒業後に大手SIerでエンジニアになった。金融機関のシステム開発にやりがいを感じていたが、次第に「もっと上流の自由度のある仕事に関わりたい」と考えるようになり、行き着いたのはコンサルタントへのキャリアチェンジだった。

青木は現在、自動車業界のユーザ向けサービスの統合プラットフォームの開発プロジェクトに携わっている。日本の基幹産業に関わる大きなプロジェクトだが、エンジニアとしての経験が生かされているという。

「ユーザ向けのいろいろなサービスをプラットフォームでつなぐため、領域を跨ぐことがあり、関わる人の数も多い。ウォーターフォールで開発を進めるなか、その数が多ければ多いほど、どこか1箇所が少し遅れるだけで全体への影響が大きくなるので、関係者との調整が大変です。

幸い私は前職の経験から、システム開発におけるリスクをある程度把握していました。そのおかげで、先回りして調整することができ、リスクになりそうな部分をあらかじめ潰すことができました」(青木)

こうした青木の働きもあり、プロジェクトは現在、順調に進んでいるという。「社会情勢がダイレクトに影響する業界なので、急な変更に右往左往することも多い」と苦労を口にしつつも、基幹産業の重要なシステムであるがゆえに青木は、理想としていた「社会的意義」を感じているという。

「誰もが安心して自動車を選び、手に入れられる環境を整えることは、移動の自由を守り、暮らしの選択肢を広げることにつながります。自動車は、社会を支える重要なインフラの一部です。だからこそ、誰でもどこでも自動車に関わるサービスを受けられるようにする取り組みには、大きな社会的意義があると日々感じています。

今後もデジタルの活用により、お客様の車に関するサービス体験をよりスムーズにすることで、人々の移動と暮らしをITで豊かにしていきたいと考えています」(青木)

青木美和 EYストラテジー・アンド・コンサルティング テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション マネージャー
青木美和 EYストラテジー・アンド・コンサルティング テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション マネージャー

映像AIでインフラ点検や監視を自動化、地方の課題解決に喜びを感じる

新卒で入社したシニアコンサルタントの稲葉健允は、神戸大学大学院で映像AIの研究に取り組んできた。研究で培った技術を社会で生かせる仕事に就きたいと考えていたが、同時に、人と対話しながら課題を共に解決することにも強い魅力を感じていた。

稲葉はもともとコミュニケーションが好きで、チームで成果を生み出す働き方を得意としていた。そのため、技術だけでなく顧客や仲間と向き合いながら価値をつくる仕事に携わりたいと考えるようになった。さらに、単なる開発にとどまらず、ビジネスの方向性を決める上流工程にも関わりたいという思いも強かった。

「ビジネスの課題をITで解決する架け橋になりたい」――そうした志向を総合的に満たす環境として、稲葉が選んだのがEYSCだった。技術と対話、そしてビジネスをつなぐ役割を担える場所だと感じたからだ。

とはいえ、入ったからといってAI関連の業務に就くことが保証されていたわけではない。稲葉は熱意を伝えることで、その仕事を勝ち取ってきた。

「業界関係者の講演会に積極的に足を運び、名刺を渡しにも行きましたし、自分がやりたいことを常に周りにアピールしていました。自分のアサインメントを管理してくれるカウンセラーにも、キャリアの進め方などについてたびたび相談していました。案件の状況やタイミングもあると思いますが、そうして希望を出し続けた結果、チャンスに恵まれたのです」(稲葉)

そうして稲葉は、マルチモーダルAIなど映像AI関連のプロジェクトを任されるようになった。映像AIは社会課題の解決に用いられることも多く、自治体の案件も少なくない。人手不足の問題を抱える地方都市では課題が切実で、それを解決することに稲葉は社会的意義を感じている。

「ドローンと(画像識別)AIを活用したインフラ点検、(人物検知)AIを活用した立入禁止エリアの監視、(状態検知)AIを活用したイベントでの人流分析などに取り組んできました。エンドユーザーの課題分析からクライアントの提案実行までを伴走して解決する、手触り感のある社会貢献ができていることに喜びを感じています。

AIが好きで、人とプロジェクトを進めることが好きだという自分のモチベーションの源泉があるからこそ、熱意をもってやりきれるのだと思います」(稲葉)

稲葉健允 EYストラテジー・アンド・コンサルティング AI&データシニアコンサルタント
稲葉健允 EYストラテジー・アンド・コンサルティング AI&データシニアコンサルタント

ERPのマスタを標準化、日本企業のグローバル展開を後方支援

ディレクターのチェン・シンエックはキャリアを通して、日本の大学を卒業して以来、一貫してSAPのプロジェクトに関わってきた。日本のコンサルティングファームに勤務したのちに、10年ほど母国・マレーシアで働いていたが、再び日本でグローバル案件に関わりたいと考え、5年前にEYSCにジョインした。

主にSAPを中心に、グローバル企業のERP領域でマスタ標準化を支援するチェン。日本語・マレーシア語・英語・中国語を操るマルチリンガルとして、ビジネス慣習が大きく異なる国々とのプロジェクトでも、双方の意図を丁寧にくみ取りながら、現場を着実に前へと動かしている。

「例えばドキュメンテーションをひとつとっても、日本と海外とでは考え方がまったく異なります。海外では口頭で済ませることが多く、資料があまりありませんが、日本では、見積もった工数以上に資料をつくりすぎてしまう。どちらの肩をもってもうまくいかないので、私は“和洋折衷”で間を取るよう心がけています。最低限つくらなければならないドキュメンテーションなどを決めることで、うまくいくケースが多いですね。私は日本のプロジェクトにも海外のプロジェクトにも長年、取り組んできているので、その匙加減は、肌感覚でわかっているつもりです」(チェン)

両者が納得する形でプロジェクトを進めることができるのが、チェンの強みなのだ。

人口減少が加速する日本で、企業が持続的な成長を目指すには、海外市場への進出が重要な選択肢となるしかしその一方で、海外法人とのコミュニケーションに思うように橋がかけられず、足踏みしてしまう企業もまだ多い。チェンは、そうした課題の解決にやりがいを感じている。

「日本企業は、海外法人とのコミュニケーションに苦手意識をもつ企業もあり、それぞれの拠点がそれぞれにプロセスを定義していることもよく見られます。そこに私たちが入って標準化するのですが、定期的にワークショップやミーティングを開いたり、ニュースレターを発行したりすることを呼びかけ、拠点間での仲間意識を醸成しています。マスタ標準化が会社のためにあることを起点に、顧客のグローバルコミュニケーションの促進にも微力ながら貢献していると思っています」(チェン)

チェン・シンエック EYストラテジー・アンド・コンサルティング デジタル・プラットフォーム ディレクター
チェン・シンエック EYストラテジー・アンド・コンサルティング デジタル・プラットフォーム ディレクター

垣根を越えて、自分のやりたいことに挑戦できる環境がここにはある

3人が口を揃えるのは、社会的意義を感じながら、日々のプロジェクトに向き合えるやりがいだ。それはEYSCが手がけるプロジェクトが多様であり、社会課題解決を目指す案件も多いからだが、同時にそれぞれが自分の力を発揮し思い切り挑戦できる環境をEYSCが整えていることも大きい。

青木は、「現場はもちろん、社内でも学びが大きく、EYSCには自分のやりたいことを実現できる環境がある」と言う。

「前職のSIerでは経営層の意見を聞ける機会があまりなかったのですが、EYSCでは、パートナーレベルの上司との接点が日常的に多くあります。自分の意見も伝えやすく、やりたいことに積極的にチャレンジできる会社だと感じています」(青木)

稲葉は、研究成果を社会実装できる環境に満足している。

「大規模から小規模まで、プロジェクトは本当に幅広く、いろいろな分野でさまざまな技術を実装する案件があり、EYSCには自分の強みを生かせる案件に確実に出合うことができます。会社にとって利益になると思わせることができれば、自分のやりたいことができますし、動き方次第で、無限にキャリアを積んでいける環境があります」(稲葉)

チェンはほかの大手コンサルティングファームに勤務していた経験もあるが、グローバルの各拠点とダイナミックにプロジェクトを進められることがEYSCの強みだと言う。

「EYSCでは、海外拠点所属の人が普通にアサインされますし、日本国内でも、他ユニットの担当者や、ビジネスコンサルティング、ストラテジーといった別サービスラインの人がプロジェクトに加わることが珍しくありません」(チェン)

EYSCはプロジェクトの実効性を高めるためには、垣根を越えてプロフェッショナルが集まり、プロジェクトを進めることがごく自然な文化として根付いているようだ。

各々の強みを生かし、社会課題の解決に挑むコンサルタントたち。そこにはEYSCでしか味わえないやりがいがあり、EYSCだからこそ感じられる喜びがある。彼らの高い視座と専門性が、社会を動かす力となるに違いない。

EYストラテジー・アンド・コンサルティング テクノロジー部門
https://www.ey.com/ja_jp/services/consulting/technology-consulting


あおき・みわ◎テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション マネージャー。自動車業界において、購入検討プラットフォームプロジェクトやペーパレス対応プロジェクトに従事。日本の基幹産業のDXに貢献している。

いなば・けんすけ◎AI&データシニアコンサルタント。通信事業会社の映像AIを扱う部署の立ち上げや、自治体での映像AIを活用したインフラ点検導入などを支援。

チェン・シンエック◎デジタル・プラットフォーム ディレクター。日本語、マレーシア語、英語、中国語の4ヵ国語を駆使し、SAPをはじめとするERPのマスタ標準化の構想策定やMDMツールの導入を支援。

promoted by EYストラテジー・アンド・コンサルティング / text by Fumihiko Ohashi / photographs by Shuji Goto / edited by Akio Takashiro

連載

EYが拓く、未来を実装するコンサルタントの仕事

アート

2025.02.07 12:00

ルーブル美術館はどう変わる?「新ルネサンス計画」を深堀り

2025年1月27日、訪れる人で混み合うフランス・パリのルーヴル美術館(Photo by Mohamad Salaheldin Abdelg Alsayed/Anadolu via Getty Images)

2025年1月27日、訪れる人で混み合うフランス・パリのルーヴル美術館(Photo by Mohamad Salaheldin Abdelg Alsayed/Anadolu via Getty Images)

所蔵する作品の価値が総額350億ドル(約5兆4300億円)を超え、1日の入館者数が3万人を超えるパリのルーブル美術館は、世界で最も来館者数の多い美術館だ。

長年にわたって過度の混雑と老朽化に悩まされてきたそのルーブル美術館について、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が先ごろ、待ち望まれていた改修工事を2026年から開始すると発表した。

同美術館については、長蛇の列や混み合った館内の状況に呆然としたり、いら立ったりする世界中からの来館者たちによるSNSへの投稿や、その状況に関する各国の報道が以前から関心を集めていた。

また、仏紙ル・パリジャンは大統領の発表に先立ち、ローランス・デカール館長がラシダ・ダチ文化相に宛てた「極秘」メモの内容伝えていた。流出したそのメモの中で館長は、「内部は非常に劣化が進んでおり、機械設備は時代遅れ。漏水があり、大幅な温度の変化が所蔵作品の保存状態を危険にさらしている」などと訴えたほか、「由緒あるこの施設の状態は、国際的な基準を下回っていると警告」していた。

また、フランス労働総同盟(CGT)の関係者は仏紙ル・モンドに対し、「館内では塗装が剥がれ落ちたり、室内が水浸しになったり、停電が起きたりしているほか、予算不足のためサービス提供者への支払いが遅れることもある」と明かしている。

一方、英紙ガーディアンは、「ルーブル美術館はかつての炭鉱の町、北部ランスに開設した別館や、アラブ首長国連邦(UAE)とともに同国内に建設したルーブル・アブダビなど、いくつかの新しい施設に投資してきた。だが、パリにあるこの大規模な美術館は数十年間にわたり、構造的な部分の改修を行わないままできた」と伝えている。

ルーブル美術館の「ヌーヴェル・ルネサンス」

レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「モナ・リザ」の前でマクロン大統領が明らかにした「ヌーヴェル・ルネサンス(新たな再生)計画」によると、6年をかけて行うこの改修工事は、美術館の内部だけでなく、周辺地域も対象となる。

「モナ・リザ」が専用の展示室に移され、新たなエントランスが建設されるほか、地階展示室の増設や旧式の機械設備の交換、水漏れや温度の問題の解消に向けた工事なども行われる。また、これらに向け、2025年中に国際建築コンペティションを行う予定だという。
次ページ > 工事費用は「莫大な額」に

編集=木内涼子

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