再会と答え
疲れていても日々の習慣とは抜けないものらしい、静希が目を覚ましたのは何時もの起きる時間と数分のずれもないころだった
寝ぼけ眼をこすり大きく欠伸をして自分の体の調子を確認する、疲労はそこまで残っていない、体力もだいぶ回復した、体の調子も悪くない
連日行動している中ではずいぶんまともなコンディションである、これでもし野宿などを繰り返していたらもっと体調が悪くなっていただろう、本当にカエデには頭が上がらない
布団を軽く片付けて店の方へと足を運ぶとすでに店を開けているのか、コーヒーや紅茶の良い香りがしてくる、客でもいるのかカエデの話し声が奥まで聞こえてきた
「おはようございます、カエデさ・・・ん・・・?」
奥からやってきた静希を見かけると、客だと思われる男性は陽気な声でやぁと手を上げて見せる、それは静希も見知った顔だった
「エド・・・お前どうしてここに?」
そこにいたのは先日静希と再会したエドだった、両隣にはホットケーキを頬張っているアイナとレイシャの姿もある
どうやってここを突き止めたのか気になるところだが、それを聞くよりも早くカエデが静希にも紅茶と朝食のサンドイッチを出してくれる
「もうこんないい人が知り合いにいるなら紹介してくれればよかったのに、この人随分いい男じゃない?」
「ははは、そんなに褒められると照れる」
エドの日本語もだいぶ上達し、比較的自然に聞き取れるのだが、今はそんなことを話すべきではない、というよりカエデの姿にまったく動じていないあたりやはりエドは大物なのだろう
「で?お前どうやってここを?」
「あぁ、依頼人からの助言でね、君の居場所に心当たりがないか聞いたら、ある人から情報を貰ってくれたんだ」
依頼人、今回の場合は明利のことだろう、明利がある人物からもらった情報ということは、恐らく該当するのは一人だけだ
「なるほど、実月さんか」
「ご名答、彼女は腕利きの情報屋のようだね、僕もいつか仕事を頼みたいくらいだ」
カラカラと笑うエドだが、恐らく実月に仕事を頼むつもりなどほとんどないだろう、情報は何に置いても優先されるとはいえ静希の交友関係を利用して商売をしようとするつもりは無いようだった
なんと言うかバカ正直というか、損をするタイプの人間だなと今さらながらに思ってしまう
「それで?わざわざ来たってことは報告があるんだろ?」
「あぁ、とりあえず君に頼まれていたことは完了した、これがそのデータだ、目を通しておいてくれ」
エドが手渡したメモリをカエデから借りている端末で見てみると、そこには警察本庁の見取り図と、上層部の人間の最低限の情報が載っている
和田よりも地位の高い人間からの指示であることは予測ができていたためにある程度の情報を集めてもらっていたのだ
本庁の方からも不自然な動きをした人間が何人かいたために、捜査本部のある警察署だけではなく本庁の方にも手を伸ばして調べてもらったのだ
載っているのはここ数日のスケジュールと、今日の予定、見るのに少し時間がかかったが静希はすべて頭の中に叩き込んだ
「背後関係に関しては、僕じゃ調べきれなさそうだから、別のところからアプローチをかけてみてくれ、それともう一つ」
エドは足元に置いてあったアタッシュケースを手に取って静希に渡す
空けてみるとそこにはある警察職員のかなり詳細なデータが記された書類が入っていた
顔や年齢体格、今日の大まかなスケジュール、そして彼が良く使っているスーツや制服、そして警察手帳のレプリカまで用意してあった
「これだけのもの用意するの大変だっただろ?」
「なに、コネはこういう時に使うものさ、それほど苦労はしなかったよ、見取り図の方が困ったくらいさ」
物を仕入れるということの方がエドにとっては楽なのだろうが、彼の目の下にはわずかに隈のようなものができている、恐らくほとんど寝ていないのだろう、大きな借りを作ってしまったなと静希は感謝しながらアタッシュケースを閉じる
「エド、本当にありがとう、この借りは必ず返す」
「何を言っているんだい、返しているのはむしろこっちなんだから、気にしないでくれよ」
疲れがあるだろうにそれをおくびにも出さず、エドは笑って見せる
これが大人の余裕と言うものなのだろうか、静希は本当に良い大人に恵まれる
自分の運に感謝しながらも静希はとりあえずアタッシュケースの中身を再度確認し始めた
「あぁそうそう、これは私が仕入れた情報なんだけどね、件の警察署の署長さん、今本庁に呼ばれてるみたいよ?」
「へぇ・・・どうやら向こうもちゃんと仕事したみたいだな」
あら一体何をしたのかしら?とカエデが楽しそうに首をかしげる中静希はわずかに邪笑を浮かべている
「シズキ、まさか昨日の段階でここまで読んでいたのかい?」
「まさか、打てる手は全部打ったってだけのことだよ、蒔いた種はしっかりと芽を出した、それだけのことだ」
邪笑を浮かべる静希を見て本当に頼もしいなと呟きながらエドは微笑みを崩さない
だが数分するとさすがに限界を迎えたのか机に突っ伏して眠り始めた、その様子を見てアイナとレイシャが嬉しそうにしていたのが印象的だった
警察の本庁では、ある噂が流れていた
いや、正確に言うならば本庁だけではなく、先の議員殺人事件にかかわるすべての部署や機関でと言ったほうがいいだろう
その内容は今回の事件にあたり調書及び証拠を改竄した人物が複数いると言うもの
噂というにはあまりにも精度が高く、また警察内での不審な動きから上層部も関わっているのではないかという噂が警察内外問わずあらゆるところで流れていた
警察関係者だけではなく、報道各所のメディアにまでこの噂が流れているということで、火種は小さくとも少しずつその火は大きくなり始めていた
明らかに証拠不十分なのに犯人と断定していたり、余計な捜査をさせずに犯人を即時連行することを優先したりと、目に余る点は多い、調べれば調べるほどに不審な点が出てくるのだ、その不信感は一気に加速していく
議員の殺害、能力者学生の逮捕、そしてそれを逃がした警察の不始末、さらに見つかった警察内部の不審な動き、これらの話題性に事欠かないような内容にマスコミが飛びつかないはずはなかった
最初はただ能力者が逮捕され逃がした警察を責めるだけだったのに対し、話の流れは徐々に別の方向へと変わってきていた
この噂を流したのは城島、今まで静希と接触してきた警官、そして捜査に不信を抱いていた実働捜査を行っていた警察官、そして実月やカエデをはじめとする情報に強い人間たちである
このことを依頼したのは無論静希である
拘束された当時からこの事件に対して不審なところがあると警察官や担当者たちに告げていたことが実を結んだとでもいうべきか、鏡花宛てに記したメモに書いてあった二つ目の依頼がこれだった
警察相手に情報戦と心理戦を行う、そんな考えを追われている人間が行うだろうか
事実このようなことが起こっているからこそ静希は面倒に巻き込まれているわけだが、当事者である警察関係者はこの噂に対して機敏に反応した
特に本庁の人間は緊急に対策本部の置かれている警察署の責任者数名を本庁へと出頭させた
噂の正否に関わらず、今回の事件に対する調査に不審な点があるのは事実、そのことについての詰問も目的に含まれたのだ
無論そのことをかぎつけたマスコミも本庁に集まってカメラなどの準備を終え着々と報道をし続けていた、こういう時に情報化社会であることを強く実感してしまうのは仕方のないことだろう
夕方、警察本庁のある一室に、警視総監をはじめとする警察最上級幹部たちを含めた数名が、今回の事件の捜査を中心的に行っていた警察署署長、橋本を呼び出し、話を進めていた
「では、事実無根であるというのだね?今回のことは根も葉もないうわさだと?」
「はい、我々としては正当な捜査をしていると自負しています、噂は噂にすぎません」
繰り出される質問に対して橋本は淡々と答えを返していく、視線は常にまっすぐでまったく微動だにしていなかった
「では今回の事件の被告、五十嵐静希に対しては?現在わかっているのは彼の毛髪が見つかったことと、目撃者の証言があったというだけのようだが、何故彼が犯人だと?彼にはしっかりとしたアリバイもあるようだが?」
「彼は能力者です、しかも委員会によって情報秘匿が施されている項目があります、ただの能力者ではないのは明白、我々の思いもよらぬ方法で実行したとしか考えられません」
学校でクラスメートや友人、教師などが静希を見ているのは確認されている、だがあくまで署長である橋本の主張は静希が犯人だと決めつけているようだった
そして橋本の言葉に警察上層部の何人かは僅かに唸ってしまう
彼らは幸か不幸か無能力者だった、能力のことにさほど詳しくなく、実際にそんなことができる能力があるのではないかと、そう思ってしまったのだ
無能力者にとって能力者はまるで魔法使いのように見える、見えてしまう、自分たちが持っていない不思議な力を自由に扱えるのだ、それが魔法でなくて何だというのかという気持ちなのだ
「だがもし彼ではない誰かが犯人だった場合どうするのだね?真犯人を逃した挙句、無実の少年をかなり強引に逮捕したととらえられても仕方ないが?」
「現在は五十嵐静希は逃走中、こうして逃げていることが何より彼が犯人であるという証拠ではないでしょうか?」
それは悪魔の証明に近い、いくら無罪を証明しようとしてもやっていないことを証明するのはかなりの証拠と証言を必要とする
現代において能力者がかけられる不当さの中にこの無罪の証明も含まれる
能力ならできるのではないか、その能力において実行できないことを証明する
これは本人にしか使えない以上、いくらでも改ざんができてしまうため、明確な証明ができないのだ
だからこそ、能力者は常に強い束縛に晒されている、それを理解しているからこそ橋本は強気でいられた
だからこそ彼は、今この場で拍手をすることにした
「いやぁ、流石は警察のお偉いさん、随分とのんびりおしゃべりしますね」
部屋に響く拍手と、聞きなれない声にその場にいた全員が声の方を向く
そこには一人の警察官が立っていた
「誰だ君は、今は会議中だ、退室したまえ」
「お言葉ですがそうはいきません、逃げてるのが犯人の証拠だというなら、ここに来たら犯人でないと理解してくれるんでしょうか?」
そう言って警察官は顔に手を当てて少し力を込める、その下には、見るものが見たら震え上がるあの邪笑が浮かんでいる
「初めまして警察のお偉いさん方、五十嵐静希です」
静希はかなり早い段階で警察の本庁に侵入を終えていた
エドに手配してもらった警察官データを丸々真似ることで、内部に侵入した後悠々と行動できたのだ
侵入経路は何時ものように屋上から、正面からではさすがにリスクが大きいために上空から一気に落下して屋上に降り立ち、内部に侵入し行動を開始していた
秘匿性の高い会議を行う際に使用される部屋というのは、エドの情報から簡単に割り出すことができたため、後はその部屋で待機するだけだ、案の定目的の人間がのこのことやってきてくれた
変装も解き、素顔を晒して待機していたのは賭けの要素が多少強かったが、これはこれでいいアピールになったことだろう
「・・・五十嵐静希!?」
橋本が動くより早く、静希は彼の腕を掴み捻りあげる
同時に近くにいた警察上層部の人間が立ち上がり警戒するが、唯一警視総監だけは座ったまま動こうとはしなかった
「ぐ・・・何の真似だ!?警察に手を上げて、ただで済むと思うのか!?」
「このままあんたたちに任せてたらそれこそただじゃ済まないことになるからな、悪いけど口出しさせてもらうよ」
静希は二つの再生機を警視総監の前に投げる、テーブルをバウンドし無機質な音を出しながら転がるそれが前にやってきたとき、警視総監はようやくその体を動かした
「・・・これは?」
「再生してくれれば、面白いものが聞けますよ、特にこのタヌキ親父のちょっとした悪事とか」
その言葉に橋本は急に暴れだそうとするが、左腕で関節を極めている静希の拘束からは抜け出せない、そしてその中身に興味を持ったのか、警視総監はそれを手に取って再生し始める
僅かなノイズの後に、聞こえてきたのは二人の会話、静希と目撃者である赤城元也のものだった
『正直に真実を話せ、そうすれば危害は加えない』
『あ・・・あの時、部屋には誰もいなかった、金子さんの死体以外何もなかった・・・!』
『警察への証言では『五十嵐静希』を見たと言ったそうだが?』
『あ、あれは違う・・・!私を取り調べに来た最初の刑事が、そういう証言をしろと・・・でないとお前を殺人容疑で逮捕すると・・・!』
『その言葉に嘘はないな?』
『ほ、本当だ、本当にあの時現場には誰もいなかった・・・!』
『なら、お前にそういう証言するように指示した警官の名前はわかるか?最初に来た刑事と言っていたな』
『あの時・・・入ってきた刑事が書類を机に置いて・・・名前を・・・確か・・・和田、そう和田と言っていた・・・下の名前までは・・・』
『・・・いや、十分だ、もう一度確認するが今までの話の中に嘘はないな?』
『な、ない、全部本当のことだ』
『・・・き、君は一体何なんだ?一体なぜ私を・・・?』
『・・・この事件の真相を追っている者だ・・・話してくれて感謝する、約束通り貴方は無傷で家に帰す』
静希の声は編集されているようだったが、赤城元也の声は無編集で部屋中に流れた、そしてこの会話を聞いたとたんにその場にいた全員の表情が変わる
「で、出鱈目だ・・・!でっち上げだ!そんなもの信じる価値もない!」
「信じられないというなら声紋分析でも何でもやってみてください、警察の総本山にまで来てそんな面倒なことするならとっとと逃げてますよ・・・それにまだ聞いてほしいものは残ってる」
静希が指さすもう一つの再生機、警視総監はそれを手に取ると再び再生する
するとノイズと共に、再度会話が部屋の中に響いた
『よし、では質問する、赤城元也のあの証言、五十嵐静希を見たという証言、あれは真実か?』
『・・・ほ・・・ほん』
『ちなみに赤城元也本人から、お前に証言を強要されたということを知らされている・・・嘘は通じないぞ?』
『お前自身がこの証言をさせたのか?それとも誰かに指示されたか?』
『・・・うぅ・・・』
『お前に危害を加えることはしない、お前の不利になるようなことはない・・・質問に答えろ』
『しょ・・・署長に指示された・・・五十嵐静希を見たと、言わせるように・・・言わせないと・・・俺がやった不正の証拠を公表すると・・・!』
『署長とは・・・この建物・・・この警察署の署長か』
『そうだ・・・橋本署長だよ・・・!あのタヌキが指示してきた・・・!』
核心に触れる部分が流れたことで、全員の視線が静希に拘束されている橋本署長へと注がれる、当の本人は顔が赤くなったり青くなったりと忙しかったが、今は冷や汗を流しながら小刻みに震えていた
「どこの誰に指示されたのか知らないけど、俺を犯人にしようとした、俺がただの能力者だったら、これだけで十分ハメられたのにな」
静希の邪笑を見ながらその場にいる警察官たちは非難の目を橋本に対して向けている
すでに決着はついたも同然だった、その場にいる全員が、ここにいる静希ではなく橋本を今回の元凶に限りなく近い人物であると認めたのだ、それは静希の提出した音声だけではなく、目の前にいる橋本の態度を見ても明白だった
「・・・五十嵐静希君だったかな?」
「はい、なんでしょうか?」
警視総監が立ち上がり、橋本を拘束し続けている静希の横に立つ
「今回は部下がとんだ迷惑をかけたようだ・・・だがもし我々が彼の側だったら・・・どうするつもりだったのかね?」
眼前に立ちはだかる警察のトップの言葉に、静希は薄く笑う、返答などわかりきっているだろうにという表情だ
「まずは先の音声を各メディア、およびネット上にアップロード、後は今回の事件のあらましをすべて載せ、ほとぼりが冷めるまで海外に高飛びですかね」
「・・・警察の総本山からそんなに簡単に逃げられるとでも?」
「えぇ、そりゃもう簡単に」
挑発的な笑みを浮かべる静希に対し、警視庁のトップたる警視総監はわずかに眉をひそめていた、長年警察として生きてきた彼の直感が言っているのだ
この少年は危険だと
だが今回彼は被害者、むしろこちらに非がある状況ではこれ以上何かを言うことはできない
「君が本当に無実であるというなら、あと数日時間をくれるとありがたい、事実確認を含め、私が直接対応しよう」
「・・・一応マスコミとかにも俺は無実だって言ってくれませんかね、でないとおちおち町にも出られない」
静希の言葉にわかったと言いながら、内線で人を呼び、橋本を拘束させる
ようやくまともに連絡ができると携帯の電源を入れ、一息入れることにした
どこか電話できるところで連絡を入れようかと思った瞬間、静希の視界にそれは入った
「あ、なんだもう終わったの?」
そこにいたのは鏡花率いる一班の人間だった、まるでそこにいるのが当たり前、問題解決するのが当たり前とでもいうかのようにその場にやってきていた
「おぉ、遅かったな、一応解決・・・結構助かったぞいろいろとな」
「あらそう、そりゃよかったわ」
少し皮肉を混ぜたつもりだったのだが、鏡花は飄々としている
自分たちの信頼を確保するためとはいえ全力の陽太を自分にぶつけたことへの恨みは残っている、貴重な体験でもあったが、かなりきつい戦いでもあったためあまりうれしい事態ではなかった
「静希君・・・よかった・・・無事で・・・」
静希が無事であることを確認して安心したのか、それとも静希の姿を見て感極まったのか、明利は静希に抱き着いて僅かに涙を流していた
「あー・・・心配かけて悪かったな・・・ごめん・・・」
「ううん・・・大丈夫なら・・・いいよ」
明利を抱きしめていると陽太が不満そうにやや後方にいることに気づく、陽太がこんな表情をしているのは珍しいと思いながら静希は苦笑する
「どうした陽太?あんな終わり方じゃ不完全燃焼だったか?」
「あ?あぁいやそうじゃねえよ、ちょっとな」
てっきり静希は勝ち逃げのような形で戦いを終えさせたあの時のことに不満があるのかと思っていたが、どうやらそうではないようだった
そして事情を知っているのか鏡花は苦笑して放っておいてあげなさいと呟いた
「にしてもお前ら、明利以外誰も感動の再会してくれないのかよ、もっと感動があってもいいんじゃないのか?」
「感動?あんたが捕まっても警察が潰されるかあんたが国外に逃げるかの二択しか想像できなかったわよ」
こっちは最初から心配なんてしてないのよと吐き捨てる鏡花に静希は項垂れてしまう、いや事実心配なんてしていなかったかもしれないがもう少し歯に衣着せてもよいのではないかと思えてしまう
これが鏡花の持ち味なのだからいいのかもしれないが
「あぁそうそう、静希、一応携帯生き返ったなら実月さんに連絡しなさい」
「へ?あぁそうだな、終わったって報告しなきゃだけど・・・なんでお前が・・・」
何故鏡花が実月に対して電話をするように言ってきたのか、その疑問を浮かべた瞬間に答えが思いついたのだ
不満そうな陽太の態度、そして鏡花から出た実月の名
恐らく陽太は実月から情報を仕入れるために何らかの取引をしたのだろう、具体的には今度帰って来た時に相手をするなどの直接接触のあるような内容だと思われる
最後に鏡花が明利と陽太に出した指示は、実月に力を借りて情報をとにかく集めることだった、そしてその過程で静希が実月から情報を受け取っていたことを知り、情報をまともに共有できたのだ
「なるほど・・・陽太があんな顔になるわけだ・・・『説得』させたんだな?」
「そりゃ実の姉弟なんだから、それくらいやってくれなきゃ・・・あと頼んでおいたことの答えが見つかるかもしれないのよ、電話しておきなさい」
「・・・?答え?」
話の流れが見えない中、静希は鏡花の言う通りにすることにした
鏡花の言う『答え』、一体何のことを言っているのか静希にはわからなかったが、とりあえず電話をすること自体は異論はなく、数日ぶりに電源を入れた携帯電話から実月へ電話をかけるべくコール音を響かせた
ここまで来るのに非常に苦労した、大人たちに頼ることになったのに対しては本当に頭が上がらない、後日礼をしに行くべきだろう
二十回投稿中、現在八回分投稿完了
予約投稿なので一時間に一つずつ上げるようにしたいと考えています、ご容赦ください
これからもお楽しみいただければ幸いです