スタッフがあわててストップする場面も…

 矢沢以外にも堺正章(79)、布施明(78)、高橋真梨子(76)、天童よしみ(71)、松任谷由実(71)、郷ひろみ(70)など、70代の歌手が7人も出場。また、“究極の大トリ”として特別企画で『青い珊瑚礁』を披露した松田聖子ら60代の出場歌手も多く、ベテラン歌手が大きな存在感を放つこととなった。

「近年の『紅白』は将来的な受信料確保の観点などから、若い世代の視聴者層を強く意識した企画になっていました。でも、テレビ業界や音楽業界がまだ元気だった時代に幅広い世代に愛された昭和や平成の流行歌はコンテンツとしていまだに強い。昨年は放送100年の節目ということもあり、いつも以上にベテラン歌手をより積極的に起用したのだと思います」(同)

 その一方、サプライズ感が薄まってきた「特別企画」の乱発には一部の視聴者からブーイングがあったのも事実。放送作家はその背景をこう話す。

「そもそも、男女で分けた『紅組』と『白組』に分かれての歌合戦形式を続けていることにも違和感がありますが、それに加えての『特別企画』ラッシュですからね。はっきり言って『なぜこの歌手の出場が特別企画扱いなのか?』といった出場者もいますし、もはや大半の視聴者がこの歌手が『紅組』なのか、『白組』なのか、『特別企画』なのかさえ関心は持っていないのではないでしょうか」

 また、ネットやSNS上では司会の進行のつたなさを指摘する声も見受けられた。

 たとえば、今田が「M!LK」の曲紹介をしようとした際にスタッフがあわててストップをして進行が止まったり、TUBEとアーティストたちのコラボ企画の際も有吉が「皆さんTUBE好きですね〜!」とつなごうとするも10秒近い沈黙があったりと、ところどころで妙な「間」があった。紅組のトリを務めたMISIAでも同じような場面があり、不自然な「間」が気になっていた視聴者も多かったのだろう。

「確かに進行の悪さやグダグダぶりが目立つ場面もありました。ただ、その責任を司会だけに求めるのは酷な気もします。そもそも、番組進行がスムーズにいかない理由の大半は制作サイドにありますし、『特別企画』が多いと進行も複雑になりやすい。21年以降は『総合司会』、『紅組司会』、『白組司会』という組分けを廃止し、すべて『司会』に統一しました。その結果、それぞれの司会の役割分担も複雑になった印象です。司会進行の細分化と特別企画の多さは、どうしてもハプニングが起きやすいと言えるでしょう」(同)

 課題は残しつつも、放送100年の節目の年に何とか巻き返しに成功した「紅白」。2026年の大みそかは、さらなるV字回復に期待がかかる。

(立花茂)

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