①-0 「新しい戦前」~いつか来た道
①-1 積極財政ファシズムの台頭
①-2 全体主義化した世界
②-1 積極財政ファシズムの台頭を後押ししたリベラル派
②-2 ピケティの「バラモン左翼 VS 商人右翼」
②-3 デモスの所在
②-4 未来の日本 - ドイツは移民規制を進めた
③-1 カルチュアル・バックラッシュと対抗策
③-2 「逆出羽の守」論法
③-3 ロドリック教授とキーン教授の警告
「私たちが重々心しておくべきことがあります。
戦前のドイツで、できたばかりのワイマール共和国の民主主義体制を守ろうという社会民主党を中心とした支配勢力は、第一次世界大戦後のハイパーインフレのあつものに懲りて、世界大恐慌いうの大量質失業時代にも均衡財政を守ろうとして、不況を悪化させてしまいました。
この状況を攻撃して政権についたアドルフ・ヒトラーは、大規模な公共事業で完全雇用を実現し、支持を盤石にしたのです。
当初のヒトラー政権は、いつ吹き飛んでしまうかわからない脆弱な政権でした。この経済政策の成功によって、国民の圧倒的な指示を獲得することができて、ヒトラーは戦争へ突き進むことができたわけです。
私たちの目の前にこの歴史が待っているのではないかと身ぶるいします」
これは、私が師と慕う松尾匡・立命館大教授により2015年に書かれた「この経済政策が民主主義を救う(2016)」の一番最後のページ(P.233-234)の締めの文章だ。
この当時は安倍晋三政権に勝つための経済政策として「左派からの積極財政」を掲げていたが、参政党・神谷の台頭によりこの時の懸念が終わったものではないのだと再び身ぶるいする思いになった方も多いかもしれない。
*この記事を執筆中の7月17日、松尾教授自身もこの件について触れている。
https://note.com/matsuo_tadasu/n/na55ac86859fd
私は2016年にこの本を読んで松尾教授に接触することとなったが、同じような経緯で同時期に松尾匡に師事することとなったのが山本太郎だ。
山本太郎は、松尾ロジックを元にれいわ新選組を結成したと言っていい。
(16年以前の私は藤井・三橋派や政府通貨・ポジティブマネー派のロジックに多く触れていた。現在、かつて参考にしていた三橋氏が参政党に加担していることは残念でしかない)
さて、上記の「ナチスの台頭」ロジックについては、後述にてデータ付きで事実であることを証明したいが、いったん話を進めたい。
真っ向からのファシズム・カルト「参政党」の人気が高まり、危惧している方も多いと思うが、なぜ日本社会がファシズムを許容する状態に陥ったのか、また、その処方箋を積極財政左派の視点から提示する。
(*参政党のカルト面について知りたいという方は私のツイッターでも見てほしい https://x.com/cargojp )
我々反緊縮左派(*反緊縮財政=積極財政の本名)のあいだで共有される三つの有名なロジックがある。
(私自身はガチ左翼ってわけじゃなく右翼左翼を自称しているが、大雑把には左翼応援団だ。ガチ左翼から見たら私の視点もまた少し違うかもしれない)
① それはまず上記の「緊縮財政と不況 → 積極財政ファシズムの台頭 → 戦争」という三段階を経た戦争への懸念。
② そしてピケティの「バラモン左翼 VS 商人右翼」に代表される第三の道(リベラル派)への批判。これは第三の道が①のストーリーを後押ししてしまっていることが理由だ。
③ 最後に右派ポピュリスト(積極財政右派)への3つの対抗策となる。これは主にノリス&イングルハートの「カルチュアル・バックラッシュ理論」などに代表される。
重要項目が3つあり、それぞれに3段階の区分けがあるという感じになる。
反緊縮左派の闘いは、「積極財政を通じた戦争阻止のための闘い」だと言える。
参政党のヤバいふるまいを見て、「積極財政右派ってまんまナチスじゃん」と危機感をつのらせた方たちにはぜひ我々のロジックに触れていただきたい。
1年前に作った欧州、米国、日本の政治マトリックス。ポピュリズム研究者のサラ・ワーグナー教授のものを参考にした。
図の日本の部分にある「反米右翼」に参政党が含まれるが、我々はこれらのグループを「文化的リベラル」の方向に寄せたかった。しかし現状を鑑みるに失敗している。
(*実際に参政党が反米なのかは微妙で、現在の私は、実際は親米だろうと考えている)
なぜ失敗したのかをこれから説明してゆく
従来から日本のリベラル派は「国債発行は戦争への道」として、「右翼が積極財政によって人心を掌握し戦争に突き進む」と勘違いし、積極財政自体を攻撃してきた。
しかし、それは短絡的で誤った分析だ。
ナチスと大日本帝国の場合、戦争の前に大不況と緊縮財政があった。
我々はそれが今の状況と酷似していると仮定している。
「失われた30年」に加えコロナ不況+インフレ不況、そしてウクライナ戦争とトランプの再選を経験し戦時ファシズム体制構築への流れが仕上がりかかっている。
この長きにわたる不況はそもそも緊縮財政がもたらした人災であり、世界恐慌前後のドイツや日本の状況とよく似ているということだ。
このような不況の拡大を防ぐために積極財政左派は、国民経済を支えるために国債を発行して消費税を廃止し、また公共事業の拡大をずっと訴えてきた。
(*変動相場制を採用し自国通貨発行国であれば国債は何の問題もなく発行できるが、本稿では経済学の理論については触れない)
ドイツの場合は、世界恐慌を前後してブリューニング政権が財政再建しようとして緊縮財政をしき、それがさらなる不況を招き人心を荒廃させたことでナチスの勃興を許したかたちになった。
上述した松尾教授の端的な解説の通りである。
日本の場合は、ドイツと同様に世界恐慌期に緊縮財政を講じたことで社会経済が荒廃し、高橋是清財相が積極財政により経済を立て直すもインフレを心配し軍事費を削減したところ226事件で暗殺され、その後は軍部の独裁体制がしかれ日中戦争に突き進んでいった。
*MB/MSとは、マネタリーベース≒中央銀行発行の準備預金、マネーストック≒世の中に出回る現金や預金のこと。(ちなみに「岡ちゃん」とは立憲の衆議院議員である)
まとめると、「積極財政が戦争に導いた」のではなく、緊縮財政によって社会経済が荒廃したことでファシズムのつけ入る余地が与えられ、ファシスト政党がクーデター(国会議事堂焼き討ちや暗殺)などを介して政権を完全掌握し、かつ積極財政で人々を手なずけるといった流れが日独の共通項となる。
(*イタリアの場合はだいぶ違う。 参考 https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12551752708.html )
参政党支持者や右翼たちは、「ナチスだなんてそんな大げさな!我々はナチスでもネオナチでもない!」と反発するだろう。
だけど、ウ露戦争のおりにずっとネオナチの研究をしてきた私にしてみれば、現在の参政党人気は危険極まりないと警告せずにはいられない。
私は真正面からの「ファシズムの台頭」だと分析している。
【参考】
右翼が考える抑止論が「安全保障のジレンマ」に陥ることはウ露戦争が証明している。
2014年にアメリカが支援したクーデターが成功し、ネオナチを含む親欧米派が政権を握りファシズム体制を構築、ロシア語話者の多く住む南東部を攻撃し内戦に発展、民間人1万人あまりを殺戮した。それが22年のロシアとの戦争に繋がる。
その間、ウクライナは主に米英から数兆円レベルの財政・軍事支援を受け軍事費も3倍に拡大した。
後に発覚することだが、停戦協定である「ミンスク協定は軍備拡張・ロシアとの戦争準備のための時間稼ぎだった」と当事者だったポロシェンコ大統領、メルケル独首相、オランド仏大統領が認めている。19年に大統領になったゼレンスキーはミンスク合意破棄を再三宣言し、21年春にはクリミア奪還軍事作戦の大統領令を発布し、あげく21年末にはロシア側からの平和協定の申し出を一蹴している。
ロシアへの対抗措置として、また2014年に独立・ロシアへの併合を経たクリミアを奪還するためとして軍事力を増強、戦争準備を進めていった。
まさしく抑止力と言う名の戦争遂行能力を拡大してゆく「安全保障のジレンマ」こそががウ露戦争の発端だった。
東京外語大の伊勢崎教授や国連事務総長の顧問を18年間務めたジェフリー・サックス教授も同様の発言を重ね警鐘を鳴らしている。
(*松尾教授はこの説を取っていない)
しかしながらこの我々の論理を、リベラル派は「陰謀論だ!」「ロシアのプロパガンダだ!」として完全に封殺してきた。我々の警鐘にまったく聞く耳を持たなかったのだ。
【参考】 ▼連載「全体主義からの脱獄」 まとめページ
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12818653084.html
彼らリベラル派が信頼するのは、彼らが権威と目する西側主流メディアの大本営発表・プロパガンダだけである。マスコミや多くの識者も戦争の拡大を回避しようとそれ以外の公文書やオルタナティブな研究から学ぶことはかった。
その大本営は、あろうことかネオナチ旅団のアゾフを「英雄」として扱っていたのにだ(笑)
如何に頭のおかしいことがこの数年の間進行中だったのか振り返ってもらいたい。
このように、自陣に都合が良ければネオナチでさえも英雄として扱う世相こそが参政党という極右ファシズムカルトを生む土壌を整えたのではないか。
リベラル派は、大本営発表を妄信し「気の狂ったプーチンが領土拡張を目的にいきなりウクライナを侵略した!」との官製ナラティブに倣ってしまっている。
一方で政府筋や右翼は「今日のウクライナは明日の日本!台湾有事は日本の有事!ロシアや中国が攻め込んでくる!安全保障の脅威だ!」とするMade In USAの妄想に乗っかってしまっている。
これにはリベラル派も一定反対しているが、参政党の反中路線が拡大すればうねりを止められなくなるのではないだろうか。
【参考】
▼ネオナチの系譜 シリーズまとめ
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12796606615.html
▼ジェフリー・サックス教授「日本人に伝えてほしい」 - 全体主義からの脱獄⑦
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12812435489.html
積極財政左派は、積極財政右派、つまりファシズム信奉者たちに本物の積極財政が奪われることを危惧していた(*全ての積極財政右派がファシストではないが、本稿ではあえてこのような構図にさせてもらった部分が多い)。
ファシズムが台頭する前に積極財政により国民生活を浮揚させなければならなかったのだ。
積極財政右派とはもちろん参政党、自民党・高市一派、日本保守党、そして国民民主党のことだ。
国民民主党の危険性については以下のシリーズで散々語っている。
(▼CIAと「Bチーム」シリーズ まとめ https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12878720630.html)
社民党の候補、ラサール石氏は「(これらの勢力は)同じ頂上を目指して、別のルートから登っている」と表現しているが、その通りだ。
正直、こんなに早くその時が訪れるとは思っていなかったが、この責任は、「失われた30年」をプロデュースしてきた自民党と公明党、そしてそれに協力した立憲と国民民主、維新、そしてマスコミや官僚機構にある。
リベラル派は、参政党とその支持者らのせいだけにするのではなく、真正面から自らの愚かな緊縮財政の過ちを振り返り、いい加減に猛省しなければならない。
この項はリベラル派にはたいへん耳の痛い部分になるだろう。
リベラル派は我慢して聞いてほしい。
しかし俺たちは10年前から同じことを言ってきたのだ。
(私は左翼応援団だが、ド緊縮のエリート教条主義で底辺差別をするバラモン・リベラル派には心底怒りを感じているので批判にも力がこもる)
上述した「第三の道」というのは、英ブレア首相や米オバマ大統領がやったような、リベラルのフリをしたネオリベ政策を指す。
リベラル派はこのことから目を逸らすが、私から見たら「君たちはだいぶネオリベと同じことを言ってるんだが」となる。
私は、新自由主義の三大要件を以下のように定義している。
新自由主義の三大要件
①緊縮財政
②規制緩和(民営化)
③グローバリズム(ヒト・モノ・カネの自由化)
上記、「新自由主義のハッピーセット」は、かならず①の緊縮財政が起点になる。
そして「国の財政が足りないから民営化で財源を得よう、規制緩和で経済を活性化させよう」、「国の財政が足りないから外国から投資や労働者を呼び込み、自由貿易をしよう」というロジックに帰着する。
この点に関して、ド左翼のビル・ミッチェル教授は「日本はネオリベ国家です。なぜなら、日本政府と日銀が主流経済学派の考えに寄っており、緊縮財政を採用しているからです」と端的にズバっと表現してくれている。
(▼MMTミッチェル教授の講演 https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12876695593.html )
新自由主義の最大要件である「緊縮財政」を、何十年ものあいだリベラル派は声高に主張してしまってるのだが、少なくともこの10年いっこうに反省もしないし、ほとんど学術的理解の進歩もない。
つい先日のことだが、緊縮志向を捨てられない共産党大門氏の不勉強を指摘する私に、専修大・石塚教授が同調してくれていた。
リベラル派は、我々のことを陰謀論者だのカルトだのと馬鹿にしているが、「どっちが科学を理解しないカルトなんだよ」と言いたい。
脇道に逸れたかもしれないが、とにかく、あろうことかリベラル派こそが経済・財政への無理解から新自由主義を後押ししてきたのだと厳しく批判しなければならない。
加えて言うなら、上記要件の②規制緩和と③グローバリズムに関しても、小泉竹中時代から後押ししてきたのがリベラル派だ。
野口悠紀雄、金子勝、明石順平、井手栄策、米山隆一…、リベラル論客のロジックを思い返してほしい。すべてネオリベの亜種である「第三の道」だ。
神谷が吹田市議だった時代(2010年代前半)に深い付き合いのあった西谷文和氏によると、神谷は竜馬プロジェクトを始めた頃から一貫して新自由主義を批判していたという。
https://youtu.be/bLg9IwUCm2E?t=2900
あらゆる政策や方針について嘘をつき、前言を翻し続ける神谷が、唯一堅持しているのが「反ネオリベ」といっていい。
そんな神谷が反ネオリベ論の骨子である積極財政主義に傾くのは当然であるし、要件③のグローバリズムに反対するのは必然と言うほかない。
(ついこないだまで「消費税廃止なんてできるわけない」と言っていた神谷が積極財政を言い出したのはここ1、2年であり、「人気のある言説に乗っかろうとしただけ」とも考えられるが、とにかく取り入れた)
この要件③の「ヒトの自由な移動」には移民政策が含まれることは付言するまでもないだろう。
リベラル派は「コスモポリタンな多様性が大事だから~」ってことでその移民政策を後押ししてきた。それが財界のネオリベ達の壊国のセオリーと利害が一致しているとも理解できずに。
トマ・ピケティが「バラモン左翼 VS 商人右翼(Brahmin Left vs Merchant Right)」を発表した2018年、あんなに「21世紀の資本」を絶賛していたリベラル派は、ピケティによる「現代の左翼は庶民のことを考えず、彼らを痛めつける緊縮財政を進めている」との指摘があまりに都合が悪かったため、悉くダンマリを決め込んだ。
(ピケティ「Brahmin Left vs Merchant Right、2018 http://piketty.pse.ens.fr/files/Piketty2018.pdf)
それ以前に松尾匡やミッチェルが同じことを発していて、ピケティによりそれが事実だと太鼓判を押された形になったことも完全に黙殺し、そればかりか「無駄を削れ!財源がないので緊縮財政が必要だ!」「財源のないバラマキはけしからん!」とそれまで通りの愚かな主張を続けた。
(松尾は上述の「この経済政策が民主主義を救う(2016)」によって、ミッチェルは「Reclaiming the State(2017)」によってピケティ(2018)と同様の主張をしていた)
ミッチェル教授が 2024年に「Reclaiming the State(2017)」に沿うかたちで、元The Hillのアンカー、ブリアナ・ジョイ・グレイのインタビューに答えている。
(この頃ブリアナは、チョムスキーの「製造された同意=Manufactured Consent」よろしく、ウクライナ戦争やガザ虐殺に反対したため、「事実陳列罪」によりThe Hillを解雇されていた)
【参考】
このインタビューの中でミッチェルが強調したのが、人々が心の内に抱く「デモス)」の存在だ。
デモスとは、民主主義発祥の地ギリシアにおいて、人々の意見を部族単位(デモス)ごとに集約したとされるデモクラシーの語源だ。
デモスは民族とかその共有価値とも解釈できるだろう。
ミッチェルはこう言う(抄訳)。
・・・・・
歴史的に、左翼はコスモポリタニズムなど国際的視点を重視してきた。例えば過去にはインターナショナルな労働者の団結を目指した。
EUも左翼が欲してきたものだが、これこそが法的枠組みに新自由主義を取り入れた先進的形態といえる。
彼らは、国民国家が軍事的紛争や人種差別、ファシズム[eg.ナチス]を生み出すと信じた。
しかし、例えば通貨は国家的(デモス)なもので国際的に拡張することはできない。気候変動への対処などは国境を超えることはできるが、人々はお互いの世話をするために働きたいと考えるためグローバル化はできないのだ。
…イタリアやギリシャ、フランスなどそれぞれのEUの国々の人には強烈な、国固有の文化がありデモスが存在する。EUの枠組みはデモスを破壊したのだ。
・・・・・
リベラル派は国民国家の枠組みを壊すことこそがファシズムを防ぐのだと誤解してきたが、それは真逆方面に間違っていたということだ。
ミッチェルは「アイデンティティ政治は『分断と征服(Divide & Conquer)』のために利用された」、「フリードマンとマネタリズムが現れたとき、左翼には対抗する手段や知識がなくなっていた」とも述べるが、リベラル派の過剰な自由主義こそが新自由主義の侵略を許したといえる。
人々はデモスを失いたくない。
民族としての共有価値を失いたくないのだ。
あなたの住む地域の鎮守の森が、開発業者にゴミ処理施設に変えられてしまうとしたらどうだろうか?
全力で反対するだろう。
デモスとは経済的尺度では測れない価値観や風景だ。
人々は見慣れた風景が変わることを許容できない。
ゴミ処理施設と同一視するわけではないが、以下はデモス的共同体に対する異質なものの流入という意味で「風景が一変した」ことを示すデータだ。
そしてそういう風景の変化を受けたことで人々の心象が変わった。
衝撃的なのはNHKの世論調査だ。
「外国人が優遇されている」事実などないに等しいのだが、それでも64%の人がそう信じている。
さらには、以下は都議選で参政党に投票した人達の投票理由だ。積極財政面よりも「日本人ファースト」を支持してしまっている。
もちろんこれは根も葉もないデマを真に受けた結果でもあるが、景色が変わったことを恐れる人々の心象のほうに注目してもらいたい。
これに対して、「多様性が大事だ」、「差別をやめろ」、「移民の犯罪は多くない」、「中国人が土地を買い占めているわけではない」「社会保障にタダ乗りしていない」とリベラル派が理詰めで諭そうとしても彼らにはあまり届かないのではないだろうか。
それが正しかったとしても、人々は真に納得はしないだろう。
繰り返すが、なぜならそれがデモスというものだからだ。
ハンナ・アーレントの説に沿うならば、ナチスはゲルマン系の「Nation State/民族国家」の中に住む、異分子であるユダヤ人にドイツの経済的不調の原因を求め、彼らを排除しようと標的にした。
緊縮財政により人為的に作られた経済的不調・不況によりできた隙間に「あなた達が貧乏になったのは外国人のせいだ」との針小棒大な宣伝が刺さってしまった。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12763032481.html )
それこそが全ての人々を包摂する「左派側からの積極財政」だし、次項で述べる移民への対応となる。
5ヶ月前に総選挙のあったドイツの移民事情、そしてポピュリズム左派「BSW」と極右と言われる「AfD」について論じる記事を書いた。
(この記事は松尾教授にも引用してもらった。 https://note.com/matsuo_tadasu/n/nc08b57567b85 )
現在、ドイツは移民・難民の受け入れを縮小させ、規制している。
これは、極右AfDだけではなく、政権与党のCDUをはじめ社会民主主義のSPD、ポピュリズム左派BSW、そしてなによりドイツ国民の7割が望んだ結果だ。
現在のドイツの姿は未来の日本と言えよう。
人々のあいだで軋轢を生じさせないためには移民・難民の受け入れを規制するしかないと答えは出ていると言ってもいいのではないか。
(*ドイツ人は移民と難民にあまり区別をつけていない。多くの難民は事実上の移民で、申請基準が緩い難民として入国する傾向もあるため、日本とは事情が違うことにも留意の必要がある)
「無秩序なコスモポリタン論」は既に崩壊したのだとリベラル派は気づかねばならない。
残念ながらデータをもって「外国人は優遇されていない」と示しても大衆にはあまり響かないだろう。
むしろライトな支持者に対してはカルトから脱会させるような包摂のケアが大事ではないだろうか。
長年にわたる自民党・民主党双方からの緊縮財政によって痛めつけられた人々には癒しこそが必要だろう。
もちろん、事実の提示がムダだと言っているわけではない。ファシズム・カルト参政党を許してはいけない。
しかし繰り返すが、その侵略を許したのはリベラル派の欺瞞があったからこそなのだ。
リベラル派に再度問いたいが、あなたは「財政には限りがあるので無駄を削減しろ」、「身を切る改革だ」、「国債発行で将来世代にツケを回すな」、「貧乏人たちは減税ポピュリストだ」、「コーポレート・ガバナンス改革こそグローバル・スタンダードだ」、「規制緩和で成長戦略」、「人手不足の解消には移民受け入れだ」…などという訴えをしてこなかっただろうか?
ノリスとイングルハートの「カルチュアル・バックラッシュ理論」という有名な論文がある。
この「カルチュアル・バックラッシュ理論」では、リベラル派の過剰な多様性や(新)自由主義・グローバリズムの押しつけこそが右翼の伸長を誘発してきたという文脈が語られている。
この論文は2019年に発表された少し古いものなので、6年経った現在、若い世代(特に男性)が急速に右傾化しているトレンドは捕捉できていないため、現状はもっと深刻だ。
その深刻さはトランプの復権に現れている。
細かい話は上記ツイの画像を読んでもらいたいが、大事なのはその処方箋だ。
以下、()内は私の解釈となる。
「カルチュアル・バックラッシュ理論」における処方箋
①レジスタンスやカウンターデモ、選挙での対抗動員(BLM=Black Lives Matterなどのデモ)
②経済的格差を緩和する政策(積極財政)
③文化的断絶への対応(デモスの理解)
現在、リベラル派は参政党への対抗策として①の「カウンター」しかやっていないといえる。
これは当たり前のことで、とんでもない排外主義のファシズム政党が増長しつつあるんだからカウンターにより訴えなければいけないだろう。
しかしながら、彼らには②と③の知識が足りていないと言わざるを得ない。
特に「②格差の解消(積極財政)」こそが我々が10年以上声高に主張してきたことだ。
「衣食足りて礼節を知る」とも言うが、貧すればその原因を何かに求めるものなのだ。
その答えはもちろん為政者の失政なのだが、現在のライトな参政党支持者の多くは「外国人が優遇された結果、俺たちが貧乏になった」という妄想にその答えを見出している。
ファシズム・カルトにより本格的な戦時体制が構築されるまで、まだ間に合う。
②の積極財政、③のデモスに関する理解が絶対的に必要だ。
「①カウンター」しかやらないと彼らとの溝は深まるばかりで、参政党ムーブメントの阻止に失敗するとその先に待っているのは戦争だ。
参政党支持者界隈を見ると、カウンターに対しては「パヨクだ」「しばき隊だ」等とレッテル貼って敵愾心しか抱いていない。
三橋氏なんかは暴走しまくってしまって酷いもんである。選挙後に暴行や名誉棄損で逮捕の可能性もあるのではないだろうか。
とは言うものの、積極財政左派も「左右の違いより上下の対決」を優先し、積極財政右派のファシズム面やカルト面を十分に批判できてこれなかったかもしれないことは反省しなければならない。
私自身は何百回も批判してきた(ブログの記述を見ればわかるが、書籍3冊分くらいは批判している)が、積極財政左派の規模自体が小さいため、あまり届いていなかったのだと思う。
コロナ禍以降、トランプ、独AfD,仏FN、英リフォームUKなど右派ポピュリズムの伸長がめざましい。
バラモン・リベラル様は「欧米では~」、「北欧では~」、「ドイツでは~」といった「出羽守論法」で大衆をバカにしてきたが、現在は「ドイツでは極右が伸長して当たり前になっている」、「アメリカでは保護主義を唱える右派ポピュリストのトランプが政権を担った」などという「逆出羽守」論法が成り立ってしまう。
リベラル派はくだらない「出羽守論法」をやめることだ。
特に緊縮財政やグローバリズムの押しつけは実際に日本人を貧乏にさせてきたし、理屈抜きにしても大衆から嫌われるだけである。
去年作ったグラフだが、近年「生活の質が悪化している」との人々の心象が史上最悪となった。
◇◇◇◇
実は欧米でも日本でもライトな右派ポピュリスト党の支持者らはファシズム体制を構築しようなどと思ってはいない。
それは欧州の右派が、口先では「戦争に反対する」と言っているからでもあるだろう。
AfDは、ロシアへの経済制裁とウクライナへの武器供給に反対しているほか、ウクライナのEUとNATOへの加盟にも反対し、即時の停戦を求めている。
https://afdbundestag.de/positionspapier-ukraine-krieg/
この部分だけを切り取れば、いたってまともな主張だ。
これに対してウクライナ戦争を煽り倒し武器供給を声高に訴えたのがドイツ緑の党だった。
リベラル派が戦争の拡大を求めたのだ。
イギリスでもウクライナへの武器供給に反対したコービン元労働党党首を追い出し、永久除名したのはスターマー労働党だった。
そればかりか、ガザ虐殺に加担するべくイスラエルへ武器やインテリジェンスの提供を進めたたのは米バイデン民主党、英労働党、ドイツ社民党SPD、仏マクロン政権など他ならぬリベラル派の政権だった。
すでにリベラル派の「欧米では~」なんていう「出羽守論法」は完全崩壊し、一切通用しない。
このような極度に欺瞞に満ちたリベラル様が極右・右派ポピュリスト政党に対抗できるわけがないことは自明に思えるが、一方で米トランプ共和党、英リフォームUK、独AfD、仏FNら極右勢力もまたシオニスト党でもありガザ虐殺を行うイスラエル政府を支持している。
この面でも、ウクライナ戦争にもガザ虐殺にも明確に反対する米サンダースや英コービン、仏メランション、独ワーゲンクネヒト、そして日本ではれいわ新選組のような左翼ポピュリスト(積極財政左派)こそが極右に対抗できる存在であると言いたい。
欧州のポピュリズム右派は口先では「戦争に反対している」と言うが、実際はただの右翼国家応援団である。ロシアもイスラエルも右翼国家だ。
(いわゆる親露派の私が「ロシアは右翼国家」と言うのだから信じてほしい。同様にウクライナも右翼国家だが)
参政党はトランプに同調している。どこからこんなデマカセのナラティブを仕入れたのか知らないが、「イスラエル・イランの停戦を調停した」とトランプを評価している。
上記ツイのツリー下で、「イスラエルの違法なイラン攻撃は米国との共同作戦」であった証拠を示している。
ダニ・ロドリック(ハーバード大教授・トルコ系移民・国際経済学/公共政策)の有名な論文「グローバリゼーションはなぜポピュリズムを煽るのか?経済、文化、そして右派ポピュリズムの台頭、2021」では、「グローバリゼーションのショックは、しばしば文化やアイデンティティを通じて作用し、ポピュリスト、特に右翼運動への支持を高めるのに重要な役割を果たしてきた」と論じられる。
https://drodrik.scholar.harvard.edu/publications/why-does-globalization-fuel-populism-economics-culture-and-rise-right-wing
結論部分は以下のようになる。
上記のように、アメリカでは共和党が意図的に新自由主義やグローバリズムを推進してきたとの指摘もある。
繰り返しになるが、リベラル派はここにこれ以上乗っかってはいけない。
参政党も自民党や統一教会との繋がりが取りざたされる、支配層の製造したBチームである可能性も高い。
実際、党首の神谷は「自民党との連立を目指している」と語っている。
https://youtu.be/Rh0DeqwNOVw?t=305
*上記は神谷の肉声だ
下記は元参政党候補の証言。
参政党が台頭する前の5月3日に、私はスティーブ・ホール教授(社会学・犯罪学
https://www.researchgate.net/profile/Steve-Hall-8 )の発信を引用した。
ピケティや松尾匡、ミッチェルら反緊縮左派が言ってきたことの延長線上に位置する投稿だ。
*上記のスティーブ・キーンはスティーブ・ホールの間違い。また、ファラージはリフォームUKの党首
ホール教授も「緊縮財政」をきっかけにナチスが台頭したことを引き合いに、リベラル左派の欺瞞を批判している。
カルチュアル・バックラッシュ理論でいう「②経済的格差の解消」こそがファシズムを防ぐ未然の方策なのだ力強く訴える発信だ。
ホールのロジックは我々積極財政左派に共通するロジックなのだ。
リベラル派は、参政党支持者をバカにしている場合ではなく、一刻も早く積極財政の知識を学んでほしい。
これは緊急事態だ。
我々は10年、言い続けている。
以上
cargo










1
憲法改悪を許さない
2025-07-22 08:10:24
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